(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・5月末までの入荷・支払完了を考慮しイラン原油輸入は3月でストプ:富士石油担当者談。
(中東関連ニュース)
・チュニジアでアラブ連盟サミット開催。パレスチナ問題など討議の予定。
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・5月末までの入荷・支払完了を考慮しイラン原油輸入は3月でストプ:富士石油担当者談。
(中東関連ニュース)
・チュニジアでアラブ連盟サミット開催。パレスチナ問題など討議の予定。
3/27 Saudi Aramco
Saudi Aramco signs share purchase agreement to acquire 70% majority stake in SABIC from the Public Investment Fund of Saudi Arabia
https://www.saudiaramco.com/en/news-media/news/2019/aramco-sabic
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・原油価格下落 Brent $67.57, WTI $59.17。トランプ大統領がOPEC減産要請のツイート。
(中東関連ニュース)
・サウジ国王、アラブ連盟サミット出席のためチュニジア入り。 *
・サウジアラムコ、PIF所有のSABIC全株70%を690億ドルで買収。
・サイバーセキュリティ世界ランク、サウジがアラブトップの13位。日本は14位。 **
・カタール諮問議会議長、GCC合同会議出席のためサウジ入国。 ***
*参考レポート「サウジ皇太子と安倍首相の電話会談が語るもの-焦るムハンマド」
http://mylibrary.maeda1.jp/0461MbsAbeMar2019.pdf
**ITU Global Cybercecurity Index参照。
https://ega.ee/wp-content/uploads/2018/05/ncsi_digital_smaller.pdf
***レポート「カタールとサウジ国交断絶」(2017年7月)参照。
http://mylibrary.maeda1.jp/0416GccDispute2017July.pdf
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・カタールNakilat海運年次報告書:LNGスポットレートが倍増。LNG船急増。
(中東関連ニュース)
・エジプト/ヨルダン/イラク3か国カイロで首脳会談。イスラエルのゴラン主権宣言を非難。
・アブダビでマイクロソフトをパートナーに先端技術スタートアップ支援、ソフトバンクも投資。
初出:2007.9.10
再録:2019.3.24
(注)以下の人名、肩書はいずれも2007年当時のものです。
(最終回)サウド家の後継問題(3):混沌とする後継者レース[1]
これまで19回にわたってサウド家の歴史、政官界における勢力図、いくつかの有力家系等について解説してきたが、最後に今後サウド家を担い将来サウジアラビア国王になる可能性のある王族について私見を述べてみたい。
次期国王はスルタン皇太子であることは決定済みである。彼がアブダッラー国王より先に亡くなるなど余程のことがない限り、これは既定路線である[2]。従ってここではアブダッラーが亡くなり(重病で生前退位というケースも考えられるが)、スルタンが第7代国王となった時に王族の中で誰が皇太子に指名されるかという、ポスト・スルタン問題として検討してみたい。
アブダッラー国王は83歳の高齢であるが健康状態は良好のようであり、今後数年間はアブダッラー体制が続くと考えられる。従ってスルタンは80歳を超え、場合によっては80台半ばでの即位となる可能性が高い。その場合はスルタン体制が短期間になることは多分間違いないであろう。
スルタンの即位が80台半ばとなれば新皇太子の指名は今後5年或いはそれ以上先のこととなる。これまでポスト・スルタンの候補者として、スルタンの実弟ナイフ内相の名前が取り沙汰されてきたが、5年先となれば彼自身80歳を超え、皇太子としては余りにも遅すぎる[3]。5年後でも第二世代の王族のうち十数名は存命中と思われ、1945年生まれのムクリン・ハイール州知事などはその時点でも年齢的には十分皇太子となることは可能である。第三世代の王族については、今年マッカ州知事になった1940年生まれのハーリド王子(ファイサル第3代国王子息)から1971年生まれのアブドルアジズ国務相(ファハド前国王子息)まで年齢に大きな幅がある。
次期皇太子としては第二世、第三の両世代にチャンスがある。5年後或いはそれ以上先と想定されるスルタン国王誕生の時点で、新皇太子を選任する「忠誠委員会」(前回参照)が開催され、年齢及び健康面で問題が無く、将来のサウド家の家長として指導力があり、かつ人望と識見を備えた第二世代或いは第三世代の王子が皇太子に指名されることになる。
現状では後継者レースは混沌としているというのが実情であろう。ここでは問題を単純化するために現在の王族のうちアブダッラー現国王を除く全員が存命していると仮定して考えてみる。まずこれまで最有力と言われてきたナイフ内相は、上述のとおり年齢的に無理があると考えられる。しかも兄弟のスルタンとナイフで国王及び皇太子を独占することに対して他の王族から反対が出る恐れが強い。ナイフ自身はこれまでも実兄のファハド前国王及びスルタン現皇太子の影で彼らを補佐する黒幕的な存在であった。従って彼としては血縁関係の濃い若い王子を皇太子とし、自分の影響力を維持することを狙うものと思われる。
スルタン、ナイフの実弟であるサルマン・リヤド州知事も有力な後継者候補とされてきたが、第8回「要職を独占するサウド家の王族(その2)」で書いたように、筆者はサルマンの能力と性格は国王に適していないと考えており、年齢的にも彼が皇太子になることはないと考える。
第三世代の有力王族の中でこれまで後継者(次期皇太子)候補に挙がったのは、サウド現外相(1941年生、ファイサル国王子息)、バンダル元駐米大使(1950生、スルタン皇太子子息)、アブドルアジズ国務相(1971生、ファハド前国王子息)の3名である。このうちアブドルアジズが後継候補に擬せられたのはファハド存命中のことであり、現在ではその可能性は無くなったと見るのが妥当であろう。サウド外相は非スデイリ系王族の中では実力・人気ともに最も高く、かつてアブダッラー国王が彼を第二副首相(即ち次期皇太子)に任命するのではないかとの観測記事も流れたほどである。しかし最近彼は米国の病院に入院したと伝えられており、健康面で不安がある。まして今年の内閣改造で彼自身が引退を望んだにもかかわらず、アブダッラー国王が無理に留任させたとも言われている[4]。これらの点を勘案するとサウド皇太子説も少し怪しくなる。
このように次期皇太子が誰になるか推定することはかなり難しいが、あえて候補を絞りこむとすれば、上記の第二世代ムクリン王子、第三世代バンダル王子に加え、アブダッラー国王の三男ムテーブ国家警備隊副司令官、ナイフ内相の次男ムハンマド内相補佐、さらにはスルタン皇太子の長男ハーリド国防相補佐などが挙げられる[5]。但しムテーブ、ムハンマド、ハーリドの3人は実力のほどが不明であり、またその肩書が示すように裏を返せば親の七光りでもある。次期皇太子を選定する「忠誠委員会」のメンバーが第二世代の全ての王子本人或いはその子息により構成されていることを考えると、父親と余りに近すぎるこれら3人の王子はむしろ候補者としては不利であるともいえよう。
なお従来の「王室評議会」に代わり「忠誠委員会」が設置されたことにより、これまで後継者選びから除外されていた第二世代の王族にも皇太子選出に関与する権利が与えられたことは注目に値する。特にアブダッラー国王と親密なタラール王子は皇太子選定の鍵を握る重要人物の1人であろう。彼自身はかつて「自由プリンス」としてサウド家に反旗を翻してエジプトに亡命、その後許されて帰国した経歴を有しており、そのために王位継承権は放棄している。ちなみに彼の息子は世界的な富豪アルワーリド王子であり、アルワーリド王子もアブダッラー国王のお気に入りである。王位継承権を放棄したタラール王子は政府の要職にもつかずサウジ家庭医学協会会長など名誉職を務めている。そのため後継者問題については中立の立場で発言することができる。彼こそはまさにかつてサウド家の「マジュリス」を取り仕切った「長老」に相応しいと言えそうである。
(現代中東の王家シリーズ:サウド家編 完)
本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com
(再録注記)
[1] (捕逸)サウド家の後継者レースは筆者の予測と大きく異なり、本稿では皇太子になることは無いと述べたサルマンが国王に即位しており、12年前の2007年当時22歳であったサルマンの子息ムハンマドが皇太子になると予測した者は誰もいなかった。このような展開になった最大の理由は、アブダッラー国王在位中に皇太子に指名されたスルタン、ナイフが相次いで亡くなり、結局サルマンが皇太子となったことであろう。
2015年1月、アブダッラーが亡くなり、サルマンは第七代国王に即位したが、その後彼は皇太子を異母弟のムクリンから第三世代で故ナイフの子息ムハンマド内相に替え、最終的に2017年に皇太子を息子のムハンマドに継がせて現在に至っている。その間に第二世代王子も少なくなり、サウド王家の勢力地図が替わったことにより皇太子を指名する忠誠委員会の機能は有名無実となり、ムクリン-ムハンマド(ナイフ子息)-ムハンマド(国王子息)と続く皇太子のリレー劇はサルマン国王の独断専行であった。
参考:「タナボタで皇太子になったサルマン王子」(2012年7月)
[2] スルタンは1995年皇太子に即位、2011年に皇太子のまま亡くなっている。
[3] ナイフは実兄スルタン死亡後、2011年に皇太子となったが、翌年亡くなり、実弟サルマンが皇太子になっている。
[4] サウドは2015年、外相の肩書のまま病死している。
参考「辞めさせてもらえないサウジアラビアのサウド外相とナイミ石油相」(2007年4月)
[5] これらの候補者のうちムクリン、ムハンマド(ナイフ内相子息)はその後サルマン国王により皇太子に任命されたが、注記1の通りいずれも短期間で交代させられた。
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・原油価格、今年最高値に。Brent $68.64, WTI $60.27。
(中東関連ニュース)
・トランプ大統領のゴラン高原イスラエル主権承認発言に各国から非難の嵐。 *
*「見果てぬ平和 中東の戦後70年」27~29節(荒葉一也著)参照。
http://ocininitiative.maeda1.jp/MEHistoryJapanese.html
3/18 国際石油開発帝石
アラブ首長国連邦アブダビ首長国 2018 探鉱鉱区公開ラウンドにおける 探鉱鉱区(Onshore Block 4)の落札について
https://www.inpex.co.jp/news/pdf/2019/20190318.pdf
3/18 三菱商事/中部電力
英国における洋上風力発電所向けの海底送電事業の優先交渉権獲得について
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2019/html/0000037016.html
3/18 OPEC
OPEC and non-OPEC participating countries renew commitment to market stabilization - JMMC
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/5434.htm
3/19 出光興産
人事異動に関するお知らせ
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2018/190319_3.pdf
3/19 出光興産/昭和シェル石油
会社分割の検討開始に関するお知らせ
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2018/19319_1.pdf
3/19 昭和シェル石油
代表取締役および役員の異動に関するお知らせ
http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2019/031901.pdf
3/20 石油連盟
月岡 石油連盟会長定例記者会見配布資料
http://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2019/index.html#id1846
3/22 JXTGエネルギー
東京大井地区における水素ステーション事業に関する基本合意について
https://www.noe.jxtg-group.co.jp/newsrelease/20190322_01_01_1080071.pdf
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・需要減退予測で原油価格下落。Brent $67.55, WTI $58.92。
・米Permian盆地のシェールオイル生産、2023年には450万B/Dに。中小を圧倒するメジャー。
・カタール、100億ドルのイスラム金融型エネルギー基金設立を表明。
(中東関連ニュース)
・米国務長官、中東歴訪でクウェイト訪問、カタール制裁問題解決でクウェイトに期待。
・「世界幸福度ランキング」、MENAではイスラエル、UAEが上位。
・リヤドに世界最大級の運動パーク型都市公園建設。NYセントラルパークの4倍規模。
初出:2007.9.7
再録:2019.3.19
(注)以下の人名、肩書はいずれも2007年当時のものです。
(第19回)サウド家の後継問題(2):皇太子選定ルールを透明化
アブダッラー国王は皇太子にスルタン第二副首相兼国防相を指名した。第二副首相が次代の皇太子になることは、先々代のハーリド第四代国王の時代にアブダッラー自身が第二副首相に任命されて以来、サウジアラビアの慣例となっており、スルタン皇太子指名は順当なことと受けとめられた。
アブダッラー国王は83歳、スルタン皇太子79歳といずれもかなりの高齢である。スルタンの王位継承は80歳過ぎとなる可能性が高く、スルタン政権が短期に終わることは間違いない。仮にスルタンがアブダッラーより早世したとしてもアブダッラー政権がさほど長くないことも明らかである。彼らと同じ第二世代の王族の中にはムクリン・ハイール州知事[1]のように第二次大戦後生まれの王子もいるが、大半は70歳を越えている。サウド家は世代交替の時期に入っていると言える。
首相を兼務するアブダッラー国王は即位後の内閣改造で第二副首相を置かなかった。そのことについて内外のメディアで種々の憶測が飛び交った。もしアブダッラーが死亡若しくは退位してスルタンが第7代国王になった場合、統治基本法に従えばスルタン新国王が皇太子を指名することになる。これまでのような第二副首相がいないため、新皇太子はスルタンの胸先三寸で決まることになる。
現在のサウド家はファハド前国王時代の名残として、スルタンを筆頭とするスデイリ・セブン一派とアブダッラー国王を中心とする反スデイリ一派の二大派閥に分かれている。穏健でコンセンサスを重視する国王が第二副首相を指名しなかったのは、二大派閥の暗闘が表面化し内外にサウド家分裂の印象を与えたくなかったためと考えられる。しかしこのまま事態が推移すると次期皇太子の決定権はスルタンが握ることになる。
そのような中で昨年10月、アブダッラーは勅令で「忠誠委員会法」を公布し、皇太子指名のプロセスを明文化した 。忠誠委員会とは第二世代の全王族(故人や継承権放棄者についてはその子息の1人)による協議機関であり、その目的は皇太子の選定が新国王及び彼に同調する一握りの王族による密室協議で行われる不透明さを避けるためである。
このような協議機関としてはファハド前国王時代の2000年に「王室評議会」が設置されているが、両者の大きな違いは、「王室評議会」が一部の直系王族と五摂家など外戚を含む18名で構成されていたのに対して、「忠誠委員会法」では外戚をはずし第二世代及びその直系王族で固めたことにある。忠誠委員会の委員は、アブドルアジズ初代国王の息子(第二世代)及び孫(第三世代)で構成され、第二世代の最年長者が委員長とされている。
委員会の構成人数は明記されていないが、初代国王の息子は36人であるため、委員も第二世代の存命者21人及び物故した王族15人の子息から各1名ずつと見るのが順当であろう。その場合、スデイリ・セブン系統は全体の2割の7人を占める最大の派閥となり、この点では「王室評議会」とさして変わりはないように見えるが、第二世代全員を対象としたことで透明性を増したことは間違いない。
委員会法では新国王が即位して30日以内に皇太子を指名するとされている。現在の状況を前提とするならば、アブダッラー国王が亡くなりスルタンが新国王に即位した場合と言える(但しスルタンがアブダッラーよりも先に亡くなるケースもあり得るが)。また国王或いは皇太子が重病となった時を想定して、3人の医師を含む5人の医療小委員会が設置され、国王又は皇太子が執務不能になったか否かの医学的判断を行い、忠誠委員会に報告書を提出することになっている。
皇太子選定プロセスは、新国王が3名の候補者名簿を委員会に提出し、委員会ではその候補者の中から新皇太子を選定する。もし委員会が国王の示した候補者全員を拒否する場合は、委員会自らが独自の候補者を国王に提示する。そして国王が委員会の候補者に同意できない時は、委員会は先に国王が提示した3名の中から投票で皇太子を選出する、とされている。この間、委員は新皇太子を選出するまで退席することは許されない。このあたりはローマ法王庁で新法皇を決める際の「コンクラーベ」と同じである。
このように皇太子指名のプロセスはこれまでよりも格段に透明化された。しかし忠誠委員会が何時開催され、そして皇太子に誰が指名されるかはまさに「神のみぞ知る(インシャッラー)」である。
(続く)
本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com
(再録注記)