(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で一括ご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0236BpOil+Gas2012.pdf
(石油・天然ガスの消費が急増する中国とインド、日本は11年間で8%減!)
(5)主要5カ国の消費量推移(2000年~2011年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/3-3-G03.pdf参照)
米国、日本、中国、ロシア及びインドの5カ国について2000年から2011年までの各国の石油と天然ガスの合計消費量を見ると、米国の消費量は他の国を圧倒しており2000年時点で3,109万B/Dとロシア(865万B/D)の3.6倍、日本(679万B/D)の4.6倍、中国(519万B/D)の6倍あり、インド(2.7百万B/D)に対しては10倍以上の差があった。
米国の消費量はその後横ばい状態が続き2011年は3,073万B/Dである。これに対して中国の消費量は爆発的に増加しており、2004年には日本を超え、さらに2009年にはロシアを追い抜き米国に次ぐ世界第2位の石油・天然ガス消費国となり、2011年の消費量は2000年比2.3倍の1,201万B/Dに達している。かつて6倍であった米国と中国の差は2.6倍にまで縮まっている。
インドも中国程ではないが年々増加しており2000年に270万B/Dであった消費量は、2004年には300万B/D、そして2009年には400万B/Dを突破、2011年の消費量は2000年比1.7倍の453万B/Dに達している。日本との差は未だ170万B/Dあるが現在の趨勢が続けば近い将来インドの消費量は日本を上回ることになろう。
日本の石油・天然ガスの消費量は2000年以降ほぼ一貫して減少しており、2011年の消費量624万B/Dは2000年に比べ8%減少している。これは景気低迷によりエネルギー消費が減少し或いは省エネ政策によりエネルギー効率が向上したためと考えられる。しかし2009年を境に石油・天然ガスの消費は増勢に転じている。省エネ政策や再生エネルギー利用は今後も継続的に発展することが見込まれるが、一方では原発の停止により火力発電用石油・天然ガスが増えることは避けられず、当面は石油・天然ガスの消費量が増加することが考えられる。
(自給率が改善しつつある米国。日本は過去・現在・将来とも自給率0%!)
(6)日本と米国、中国、インドのエネルギー自給率(2000年~現在)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/3-3-G05.pdf 参照)
2011年の統計で見ると米国、中国、日本及びインドはそれぞれ世界1位、2位、4位及び6位の石油・天然ガスの消費国である。このうち日本を除く3カ国は同時に石油・天然ガスの生産国であり、特に米国はロシアに次ぐ世界2位の生産国、中国は世界6位である(第2章国別生産量参照)。またインドも石油・天然ガスの合計生産量は165万B/Dで世界22位である。これに対して日本は国内で生産する石油・天然ガスは微量であり殆ど全てを輸入に依存している。
2000年から2011年までのこれら4カ国について消費量を生産量で割ったエネルギー自給率を計算すると、日本は当然ながら自給率0%である(厳密に言えば0.3%程度の自給率ではあるが統計上は無視される数値である)。これに対して米国、中国及びインドの場合、2000年時点では中国は72%の自給率を維持しており、米国及びインドもそれぞれ55%、43%の自給率を示し消費量の1/2前後を国産の石油・天然ガスでまかなっている。但し中国とインドの場合、2000年時点では天然ガスを外国から輸入する手段がなかったため天然ガスは生産=消費(即ち名目上の自給率は100%)の制約があった訳であるが、ともかくも両国の石油・天然ガス合計の自給率はかなりの水準だったのである。
その後中国とインドでは産業規模の拡大により石油・天然ガスの消費が急拡大し、米国も生産が消費に追いつかず、3カ国とも自給率は低下した。特に中国の自給率は2000年以降急激に下落し2002年は60%台、2004年には50%台となり、2011年にはついに50%を割り込んだ。インドも2000年の43%から2005年には30%台に落ち込み現在は横這い状態を続けている。
ところが米国は2005年に50%すれすれまで落ち込んだが、その後自給率は上昇傾向を続けており2011年にはついに自給率62%を達成しているのである。このところシェールガス或いはシェールオイルの生産が急上昇しており、将来は自給率100%の達成も夢物語ではなくなっている。現にシェールガスについては数年内に輸出が開始されるとも言われている。
米国と言う世界最大のエネルギー消費国が世界最大の生産国に変貌し、あまつさえ石油或いは天然ガスの輸出国になろうとしている。そして巨大な人口を抱えた中国及びインドは今後ますます世界中の石油・天然ガスを買い漁るようになる。このような現状を考えると石油・天然ガスの自給率0%を運命づけられている日本がエネルギー問題について重大な岐路に立たされていることは間違いない。
(石油+天然ガス篇 完)
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