1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(トルクメニスタンの埋蔵量は過去6年間で9倍に増加!)
(5)主な天然ガス資源国の過去13年間の埋蔵量の変化
(http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G04.pdf参照)
2013年末の天然ガス埋蔵量上位5カ国(イラン、ロシア、カタール、トルクメニスタン、米国)にオーストラリア(世界11位)及びノルウェー(同15位)を加えた7か国について2000年~2013年までの埋蔵量の推移を見ると、イランの場合2007年までは埋蔵量27tcm(兆立方メートル)前後を上下していたが、2008年に30tcmを突破、2010年にはロシアを追い越し2013年末の埋蔵量は世界一の34tcmである。ロシアは2000年から2009年まで世界一の埋蔵量(30tcm)を誇っていたが、2010年にイランに追い越され世界2位となっている。しかし両国の差はわずかである。世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を14tcmから26tcmに大幅に上方修正し現在に至っている。
これまでイラン、ロシア、カタール3カ国の埋蔵量が他を圧倒していたが、近年トルクメニスタンの飛躍が著しい。同国の埋蔵量は2007年まで2tcmにとどまっていたが、2008年の7tcmから2010年には10tcmを突破、2013年末の埋蔵量は18tcmに達し過去6年間で9倍に増加しており、比較した7カ国の中では飛び抜けた増加率である。
イランとトルクメニスタンは2006年以降共に埋蔵量が急増している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との合弁事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が政策的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国石油企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。
米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2011年には2006年比1.5倍の9.5tcmに達した。2012年には8.7tcmに減少した後、2013年は9.3tcmに回復しており、同国は一進一退しながらも埋蔵量がすこしずつ増加している。このことはシェールガス開発が盛んに行われていることを示しているが、同時にガスの市場価格が低下したため天然ガスの消費が増えた結果、埋蔵量がストレートに増加しない状況を示している。
オーストラリアは近年探鉱・開発活動が盛んであるが、米国と異なり消費地から離れておりLNG設備の建設に長期間が必要である。このように同国の場合は探鉱開発と生産の間にタイム・ラグがあり、それが2007年以降の埋蔵量のの推移、2.3tcm(07年)→3.5tcm(08年)→3.7tcm(10年)→3.8tcm(12年)→3.7tcm(13年)に表れている。
以上の6カ国は埋蔵量が増加傾向にあるが、ノルウェーの埋蔵量は2003年にピークに達した後は漸減傾向にある。即ち2000年に1.3tcmであった同国の埋蔵量は2003年には2.5tcmに増加したが、その後は2.4tcm(05年)→2.3tcm(06年)→2.2tcm(08年)→2.0tcm(10年)と年々減少し、2013年の埋蔵量は2.0tcmである。北海油田がピークを過ぎ同国の石油生産量は長期低落傾向にあるが、これに伴い随伴天然ガスの生産量も減少していると考えられる。
(天然ガス篇埋蔵量完)
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