1/25 経済産業省 LNG産消会議2016を開催します~LNG市場の発展に向けた国際プラットフォーム~ http://www.meti.go.jp/press/2015/01/20160125004/20160125004.html
1/25 ExxonMobil ExxonMobil’s Energy Outlook Projects Energy Demand Increase and Decline in Carbon Intensity http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobils-energy-outlook-projects-energy-demand-increase-and-decline-carbon-intensit
1/26 コスモエネルギーホールディングス 組織改定のお知らせ http://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_160126/index.html
1/27 BP Shell shareholders vote in favour of the recommended combination between Shell and BG http://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2016/shell-shareholders-vote-in-favour-of-the-recommended-combination.html
1/28 国際石油開発帝石 オーストラリア西豪州沖合WA-155-P(Part1)鉱区(探鉱鉱区)の権益売却について(お知らせ) http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2016/20160128.pdf
1/29 Chevron Chevron Reports Fourth Quarter Loss of $588 Million And 2015 Earnings of $4.6 Billion http://www.chevron.com/chevron/pressreleases/article/01292016_chevronreportsfourthquarterlossof588millionand2015earningsof46billion.news
発端は英国Economist誌インタビュー記事
英国のThe Economist1月4日号の記事が世界のエネルギー・金融業界に波紋を投げかけている。同誌が「Young prince in a hurry」のタイトルでサウジアラビアのムハンマド副皇太子のインタビュー記事を掲載、その中で副皇太子が今後数カ月以内にサウジアラムコ(以下アラムコ)のIPOの骨子が決まると発言したのである。
ムハンマド副皇太子はサルマン国王の息子で30歳になったばかりの若いプリンスであり、従兄のムハンマド皇太子(故ナイフ皇太子の子息)に次ぐサウジアラビアのナンバー3である。国防相を兼任し同時に新国王が創設した二つの最高意思決定機関―経済・開発評議会及び政治・安全評議会―の経済・開発評議会議長にも任命された(政治・安全評議会議長は皇太子)。さらに石油省から切り離されたアラムコの最高評議会議長でもある。国防と経済とエネルギーを一手に握った副皇太子の権力は今や皇太子をしのぐと言っても過言ではない。
このような副皇太子による発言であるため世界が色めき立つのは無理が無い。報道が世界を駆け巡ると 、アラムコは1月8日に声明を発表、IPOを検討中であることを正式に認めたが、その詳細については明らかにしなかった 。
サウジアラムコの市場価値は?
サウジアラビアの昨年の原油生産量は1千万B/Dを超え米国、ロシアと並ぶ大産油国である。確認埋蔵量2,670億バレルはベネズエラに次いで世界2位 。そのサウジアラビアの石油の開発及び生産を一手に担っているのが国営石油会社アラムコであり、生産規模で比較すると民間では世界最大のExxonMobilの5倍 と言う巨大な石油企業である。
しかしIPOで最も重要とされる同社の財務内容はほとんどベールに包まれている。Economist誌も推定資産が数兆ドルと述べるにとどまっている。その他の報道も、市場価値が世界最大の企業は6千億ドルのアップルであるとか、あるいはロシア最大のRosneftの生産量は5百万B/Dを超えているが市場価値は350億ドルにすぎないとか、更にはサウジアラビアの埋蔵量をバレル10ドルで評価すると2.5兆ドルになる等々、いろいろな数字を並べるだけで「群盲象を撫でる」のたとえそのままに巨象アラムコの市場価値を査定することには及び腰である 。
Economist誌などは公開規模は株式の5%程度ではないかと見ているが、地元エコノミストたちはアラムコ本体ではなくまず外国企業との合弁事業である下流部門の子会社株式を30%乃至49%公開するのではないかと言う見方をしている 。
現在アラムコの合弁事業で唯一上場している会社がある。紅海沿岸にあるPetroRabigh社である。石油精製と石油化学事業を展開中の同社はアラムコと日本の住友石油化学との合弁事業である。アラムコはPetroRabighの他にもExxonMobil, Shell, 仏Total、中国Cinopec等との合弁製油所を運営しており、今回のIPOはまずこれらの合弁事業が手始めになるのではないかと言う観測が少なくない。
IPOの行方は?
マンモス企業アラムコのIPOは世界中の投資家の強い関心を引き、世界経済が不透明な中で安定したブルーチップ企業の上場を望む声は国内投資家の間でも大きい。
アラムコ社幹部の発言は極めて慎重であると同時に投資家の期待をあおるような説明も見られる。たとえばAl-Falih会長は「IPOの対象としてアラムコ本体も検討しておりその場合は当然上流部門の資産も含まれることになる」と発言する かと思えば、ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)でのインタビューでは「アラムコにどの程度の生産能力があるか埋蔵量をもとに検討中である。但し埋蔵資源は国家に属するものであり、それを実際の生産能力に変えて企業の財務価値を高めることがアラムコの責務である」と語っている 。
アラムコは慎重且つ穏健な体質の会社である。1970年代、産油国の多くが性急な国有化に踏み切った中で、アラムコはparticipation(資本参加)と言う形で時間をかけて国有化している。またOPEC穏健派の旗頭と言われる通り同国の石油政策は欧米との協調を第一としてきた。石油政策決定のトップに若いアブドルアジズ副皇太子が就いたことにより今後積極的な改革方針が打ち出されることにはなろうが、国防大臣と経済・開発評議会議長を兼ね、外にはイエメン紛争、内には経済改革の難問が山積し多忙を極める副皇太子はアラムコのIPOまで気が回らないであろう。結局、IPOは外国との合弁精製会社にとどまる気配が濃厚である。
以上
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
・非OPEC産油国が減産に同調しなければOPEC減産なし:クウェイト、イラク両国石油相。
・サウジアラムコCEO:油価30ドルは長続きしない。今年末までには上昇基調。
・ExxonMobilが石油・ガスの長期見通し発表、2040年までは急激な変化なし。 *
・世銀、商品市場見通し発表、今年の油価を51ドルから37ドルに下方修正。 **
*ExxonMobilプレスリリース:
**World Bankプレスリリース:
プロローグ
4.第一次大戦中の英国の3枚舌外交(その1)
第二次世界大戦後の中東を語る際にどうしても言及しなければならないのは第一次世界大戦中に英国が行ったいわゆる「三枚舌外交」と呼ばれるものである。
第一次世界大戦は英仏を中心とする連合国(日本もその一員であった)とドイツ・オーストリア・オスマントルコの同盟国との戦争であった。連合国側が勝利し、1919年に英国とフランス主導による戦後処理をめぐるパリ講和会議でベルサイユ条約が締結された。この条約は敗戦国ドイツに対して過酷極まるものであり、ドイツは領土をむしりとられ、莫大な賠償を強いられた。そこに見られたのは勝者総取りの図式である。英国とフランスはドイツと共に敗戦国となったオスマン・トルコ帝国に対しても容赦しなかった。両国はトルコ民族固有の領土である小アジアを除くレバント、チグリス・ユーフラテス一帯をオスマン・トルコから取り上げ、それぞれの支配下においたのである。それは19世紀から連綿と続くヨーロッパ帝国主義国家による植民地獲得競争の最終仕上げとでも言うべきものであり、その地に古くから生活を築いてきたアラブ民族のことなど一顧だにされなかったのである。
中東の現在につながるこのような状況が生まれる原因となったのが第一次世界大戦中に英国が結んだ三つの約束―バルフォア宣言、マクマホン書簡及びサイクス・ピコ協定―である。これら三つの約束はそれぞれ約束の相手が異なるだけでなく、内容が全く矛盾する約束であった。そのためこれら一連の英国の外交は3枚舌外交と酷評されたのである。否、酷評されただけでは済まず百年後の今日まで中東全域に災いをもたらす結果を招いたのである。
(1)フセイン・マクマホン書簡
これら三つの約束のうちの最初のものは第一次世界大戦開戦の翌年に英国の駐エジプト高等弁務官ヘンリー・マクマホンがマッカの太守フセイン・アリーに送った書簡であり、対トルコ戦に協力することを条件にアラブ人に居住地区の独立を約束したものである。1915年10月24日付のフセイン宛の書簡でマクマホンは次のように述べている。
「私は貴殿に対しイギリス政府の名において次の通り誓約を行い、貴殿の書簡に対して次の通り返答する権限を与えられている。:イギリスはマッカの太守が提案した境界線の内側にあるすべての地域におけるアラブ人の独立を(一部修正条件付きで)承認し支持する用意がある。」
フセインは預言者ムハンマドの直系の子孫(第39代目)と言う由緒正しい家柄で聖地マッカの太守であると同時にヒジャズ地方(マッカを含む紅海沿岸一帯)の王として君臨していた。英国のお墨付きを得たフセインは息子のアブダッラー(後のヨルダン国王で現アブダッラー国王の祖父)やファイサル(後のイラク・シリア国王)にオスマン・トルコに対するゲリラ作戦を命じたのである。
そしてファイサルの作戦参謀として活躍したのが英国陸軍将校トマス・ロレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」である。「アラビアのロレンス」はあたかもロレンス自らが機知策略を弄して無知蒙昧なアラブ人の先頭に立って戦ったかのごとき印象を与えるが、これは英国側でかなり脚色された虚像である。彼は英国軍との連絡係であり、英国からアラブ側に補給される資金や武器弾薬の窓口であったというのが正しいであろう。彼自身は自分の国イギリスが書簡の約束を忠実に守ると信じ込んでいた。
しかし第一次大戦後、実際にアラブ人に割り当てられた土地は彼らが期待していたものとは程遠かった。そのためロレンスはアラブ側の信頼を失い帰国した後、オートバイ事故で自らの命を失う羽目に陥る。アラブ世界ではロレンスは「英国の走狗」とみなされ全く評価されていないのである。戦勝者はいつの世も自分に都合の良い英雄を作り出すものである。
(続く)
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