石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

データベース更新のお知らせ

2020-01-31 | データベース追加・更新

下記データベースを更新しましたのでご自由にご利用ください。

カタール首長家々系図

カタール政府閣僚名簿

 

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石油と中東のニュース(1月30日)

2020-01-30 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)

・トランプ米大統領、イスラエル寄りのパレスチナ和平案を提示

・米国のパレスチナ和平案に賛否両論:PLO、イランは猛反発、理解を示すエジプト等の親米国

・ネタニヤフ・イスラエル首相、汚職裁判決定。本人は訪米中

・カタール、首相交代。閣僚は全員留任。 *

・UAEで中国人家族4人の新型コロナウィルス感染者発生

・サウジ:イスラエル国籍者の入国は不可:イスラエル側措置を拒絶

・サウジSABIC、第4四半期赤字決算。通年で74%減益

・HSBC銀行、トルコ経済低迷、通貨リラ安で撤退の模様

・エジプト通信企業Vodafone、株式55%をサウジテレコムに売却

 

*「カタール政府閣僚名簿

 「カタール首長家系図

ハリド新首相は王族、1968年生まれ。経歴は下記参照。

https://www.thepeninsulaqatar.com/article/28/01/2020/Profile-New-Prime-Minister-of-Qatar-H-E-Sheikh-Khalid-bin-Khalifa-bin-Abdulaziz-Al-Thani

 

 

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石油と中東のニュース(1月28日)

2020-01-28 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil


(石油関連ニュース)

・中国新型肺炎蔓延でBrent原油3か月ぶりに60ドル割る


(中東関連ニュース)

・イラクの米大使館にロケット砲3発着弾

・レバノン議会、2020年予算可決も前途多難。半数近くが議決ボイコット、賛成わずか49票。議場外ではデモの嵐

・サウジAlUlaで草間彌生展。5時間待ちの長蛇の列

 

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今週の各社プレスリリースから(1/19-1/25)

2020-01-25 | 今週のエネルギー関連新聞発表

1/20 石油連盟

月岡 石油連盟会長定例記者会見配布資料

https://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2020/index.html#id1876

 

1/20 丸紅

アブダビ首長国エネルギー庁との水素社会実現に係わる覚書締結について  

https://www.marubeni.com/jp/news/2020/release/20200120_2J.pdf

 

1/20 丸紅

カタール国・アル・カルサ太陽光発電プロジェクトの長期売電契約締結について  

https://www.marubeni.com/jp/news/2020/release/20200120J.pdf

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天然ガスに国際政治が絡み大荒れの東地中海 (中)

2020-01-24 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0494EastMedPipeline.pdf 
 

(英語版)
(アラビア語版)

ヨーロッパを目指すイスラエルとロシア/トルコの2本のガスパイプライン
 ギリシャ系住民とトルコ系住民が混在するキプロスは第二次大戦後の独立運動の過程でギリシャとの併合をめぐり1970年代に内紛状態となった。1974年にはトルコが軍事介入し、キプロス共和国と北キプロス・トルコ共和国に二分され、それ以来ギリシャ、トルコ、キプロス共和国の3カ国は相互に緊張関係が続いている。一方で3カ国は共にNATO(北大西洋条約機構)に加盟しており、米ソ対立、デタントの時代を通じて政治的にはある種の平衡関係を保ってきた。

 しかしイスラエルのガス田発見を契機に東地中海沿岸各国で天然ガスの開発機運が高まった。沿岸諸国にはイスラエルのほか、レバノン、シリア、トルコ、キプロスの4カ国があるが、レバノン、シリアは国内の政治・経済が不安定であり、資源開発どころではなく、トルコとキプロスが開発に名乗りを上げている。なお、エジプトはナイル・デルタの沖合にいくつかのガス田があるが、すでに生産が下降段階にありLNG設備が余っている状況である。

 最初に開発に乗り出したキプロスでは伊Eni、仏Totalなどが探鉱作業中である。これに対してトルコはキプロス近辺の鉱区で探鉱作業を始めているが、鉱区の設定をめぐりキプロス政府と衝突を繰り返している。(図参照)

 但しこれまでのところ両国とも商業量に見合うガス田を発見していない。そのためガス輸出国と組んで自国消費用の天然ガスを輸入し、さらに余剰分をヨーロッパ大陸に搬送するガスパイプラインの建設を目論んでいる。それがイスラエル/キプロス/ギリシャによるEast Med Pipelineであり、ロシア/トルコによるTurkstreamである。

 因みにロシアのヨーロッパ向け天然ガスパイプラインは大きく3つのルートに分かれる。第一のルートはユーラシア大陸の陸上パイプラインであり、歴史的にも最も古く、ウクライナを経由するルートが最大のものである。その後、2012年にロシアとドイツを直結するバルト海の海底パイプラインNordstreamが完成した。これは西ヨーロッパで石炭火力及び原子力発電が敬遠され、環境負荷が少ない天然ガスへの切り替えが進んだことが一つの理由である。

しかしロシア産ガスの消費国であり同時にヨーロッパ向けパイプラインの中継地であるウクライナとロシアの間でガス価格の紛争が頻発、ドイツが陸上パイプラインによるロシアからのガス輸入に不安を抱いたこともNordstream建設の理由の一つである。ウクライナとロシアの関係はその後クリミア半島の領有をめぐってさらに険悪化しており、ロシアはウクライナ経由の陸上パイプラインに加え、北のバルト海及び南の黒海に海底パイプラインを敷設する三方面作戦を実行中である。(図参照)

(続く)


本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com 

 

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石油と中東のニュース(1月22日)

2020-01-22 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)

・レバノン、抗議デモと経済混乱の中で新内閣発足

・オマーン外相、イラン訪問。米・イランの橋渡し目指す

・ドバイの昨年外国人旅行客、前年比5.1%増の1,673万人に

・サウジ、ドル建て7、12、35年3種の証券化商品(トランシェ)販売スタート

・サウジ、公立学校に中国語教育導入

・オマーン、来年5%のVAT(付加価値税)導入へ。UAE、サウジ、バハレーンに次ぎGCC4か国目

・IMF、今年のサウジGDP成長率を2.2%から1.9%に下方修正。 *

 

*「世界主要国のGDP成長率(2019年10月版)」参照。

 

 

 

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日本は世界121位、前回よりさらにダウン-世界と中東主要国の「男女格差指数」(5完)

2020-01-21 | 今日のニュース

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

mylibrary.maeda1.jp/0493WorldRank5.pdf 

 

(世界ランクシリーズ その5 2020年版)

(凋落はなはだしい日本!)
5.2015~2020年の総合ランクの推移
(図http://rank.maeda1.jp/5-G01.pdf 参照)
 ここでは中東4カ国(UAE、エジプト、サウジアラビア及びイラン)に日本、中国を加えた6カ国の過去5回の世界ランクの推移を検証する。
 この6カ国の中で過去5回にわたり順位がほとんど変わらなかったのはUAEとエジプトの2カ国であり、他の4カ国はいずれもランクの下落傾向が止まらない。中でも特に凋落の激しいのが日本であり2015年に世界101位であったが、その後2018年にわずかに復調の兆しを見せたものの、今回再び121位に転落、2015年に比べランクが20位も落ちている。中国も2015年の91位から今回は106位と15ランク下落しており、サウジアラビア(134位→146位)、イラン(141位→148位)も2917年以降3回連続でランクを下げている。
 UAEは119位→124位→120位→121位→120位とほぼ一定している。同国は今回日本を1ランク上回る結果となっている。エジプトも136位→132位→134位→135位→135位であり、130位台に固定している。


追記:各分野のスコアとその配分に若干の問題?
 WEFの男女格差指数では日本のランクが極めて低く、特に先進国の中で最低のランクとスコアであることはかなりショッキングな内容と言えよう。日本の政治分野の男女格差が諸外国に比べて際立って大きく、また経済分野でも格差の是正が遅れていることはWEFが指摘するまでもなく明らかであり、その点ではWEFの評価に異論を唱えるつもりはない。

 しかしながら4分野のスコアの配分及び各分野で一部開発途上の国がかなり高いスコアを出していることには若干問題があるように見える(筆者の独断と偏見と言われればそれまでであるが)。

 まず各分野のスコアの偏差値がかなり片寄っていることが指摘できる。例えば政治分野は0.701(アイスランド)が最も高く、0.000(パプアニューギニア)が最も低い。その格差は0.701である。経済分野も政治分野同様スコアの格差が大きい。これに対して健康分野では最高スコア0.980(ニカラグア他39カ国)に対し最低スコアは0.926(中国)であり、格差は0.054に過ぎず、教育分野では格差指数最大の1.000が35カ国にのぼっている。総合順位は各比較項目を加重平均したものであるため偏差値の高い教育及び健康分野が全体のスコアと順位に影響を及ぼしていると考えられる。

 次に各分野の国別スコアも問題含みと言えそうである。例えば健康分野の最高スコア0.980を与えられた39カ国の中にはアンゴラ、ボツアナなどアフリカ大陸の国々、あるいはニカラグア(因みに同国は総合世界4位)、ドミニカ、エルサルバドルなどの中米諸国が上がっている。また経済分野では北欧諸国とともにアフリカのベナン、ザンビアなど多くの開発途上国がトップグループに入っており、これらの国の中には独裁政権も混じっている。

 スコア算定のデータは国際機関が発表したものも少なくないが、元データはいずれも各国政府が提供したものである。各国政府が意図的に脚色したデータを提出してもそれを検証することは困難であり、このような意図的改ざんは独裁政権では極めてありがちである点を指摘しておきたい。(以上はあくまでも筆者個人の私見であることをお断りしておく。)

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp 

 

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石油と中東のニュース(1月20日)

2020-01-20 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)

・米中貿易摩擦一時解消で原油価格落ち着く

・OPEC、昨年の産油量2,986万B/D、前年比6.3%減

・キプロス、東地中海沖合でのトルコのガス探鉱活動を非難。 *

・ヨルダン議会、イスラエルからの天然ガス輸入に反対決議。 *

 

*レポート「天然ガスに国際政治が絡み大荒れの東地中海」参照。


(中東関連ニュース)

・独で関係国が一堂に会しリビア和平会議開催。武器供与禁止などで合意

・イエメン、政府軍兵舎モスクにドローン攻撃。兵士100人以上が死亡

・イスラエル、レバノンのトンネル掘削防止のため国境地下に音感探知機設置

・サウジ、東地中海ガス探鉱問題でキプロスを支持。  *

・サウジ:商店の24時間営業許可で平日のお祈り時間の一時閉店が課題に

・カタール:丸紅・仏Totalが800MWの太陽光発電プロジェクト。BOOT方式、投資額4.7億ドル

 

 

 

 

 

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日本は世界121位、前回よりさらにダウン-世界と中東主要国の「男女格差指数」(4)

2020-01-19 | その他

(注)本レポートはマイライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0493WorldRank5.pdf

 

(世界ランクシリーズ その5 2020年版)

4.日米中他3グループのの要素別比較(レーダーチャート)
(図http://rank.maeda1.jp/5-G02.pdf 参照)
 日本・中国・韓国の3カ国、中東の三大国(エジプト、サウジアラビア、イラン)及び、UAE・インド・トルコの3グループ9カ国を取り上げ、総合順位と4つの分野別順位(経済、教育、健康及び政治)をレーダーチャートで表してみる。レーダーチャートは最も外側が世界1位(つまり男女格差が世界で最も小さい)であり、以下中心に向かうほど順位が低くなる(即ち男女格差が大きい)。グラフの実線が外側に広がるほど男女格差が少ないことを示し、また真円に近いほど男女格差のバランスが取れていることを示している。

(1) チャート1(中国、韓国、日本)
 中国、韓国及び日本の総合順位は106位、108位、121位といずれも100位以下で、日本が最も低い。教育分野の男女格差は日本が91位、中国及び韓国が100位であり、3カ国に大きな格差はない。経済分野では中国が91位、日本115位、韓国127位で韓国の男女格差が最も大きい。

 健康分野及び政治分野では3か国に大きな男女の格差があり、健康については韓国が世界1位に対し日本は40位とすこし格差があるが、中国は世界最下位の153位であり、韓国あるいは日本と大きな格差がある。一方政治分野の男女格差では韓国(79位)と中国(94位)に対して日本は世界144位と非常に悪い。

(2) チャート2(エジプト、サウジアラビア、イラン)
  エジプト、サウジアラビア及びイランは総合順位が世界134位、146位、148位といずれも男女格差が非常に大きい。4分野のうち経済分野の男女格差は3か国とも140位台でほぼ同じである。また教育分野はサウジアラビアが世界91位、エジプト100位、イラン117位であり、スコアで見てもサウジアラビアの0.983からイランの0.953まで大きな格差はない。しかし健康の男女格差はエジプトが世界78位であるのに対し、イラン及びサウジアラビアはそれぞれ129位と137位でありエジプトと格差がある。また政治分野の男女格差も同様の傾向にあり、エジプトが世界103位であるのに対し、サウジアラビアは136位、イラン145位と日本(144位)と同じ世界の最低レベルにとどまっている。

(3)チャート3(UAE、インド、トルコ)
 UAE、インド及びトルコは総合順位が世界120位、129位、130位とほぼ並んでいるが、分野別に見ると経済の男女格差以外は各国間の格差が大きい。経済の男女格差はインドが世界133位、トルコ136位、UAEが137位であり、いずれも低いランクにとどまっている。

 教育分野の男女格差はUAE及びインドが世界89位、93位であるが、トルコは113位と他の2カ国に比べ見劣りする。健康分野はトルコが63位で世界の上位グループに入っているが、UAEは91位、インドは105位である。また政治参画の男女格差はUAEが世界74位であるが、トルコ(109位)、インド(119位)はいずれも世界100位以下である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp 

 

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(23)

2020-01-19 | その他

(英語版)
(アラビア語版)

第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来

荒葉 一也
E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

1.中東の石油産業の曙
 アラブ産油国の人たちはよく「石油は我々の神アラーの恵みである」と言う。それは豊かな富をもたらす石油を与えてくれたアラーに対する純粋な感謝の気持ちであり、同時に石油を持たない他の民族(たとえば日本のような)に対する少しばかりの優越感が発する言葉でもある。実際、世界の産油国の多くはイスラームの国である。イラン、イラク、サウジアラビアは言うまでもない。アルジェリア、リビアなどの北アフリカの産油国もアラブ民族であるとともにイスラームが国教である。サハラ砂漠を越えたナイジェリアもイスラーム教徒が多数を占めている。さらに東南アジアの産油国インドネシアもイスラームの国である。世界の原油生産量の半分近くはイスラームの国々が占め、埋蔵量ベースで見ればその割合はもっと高くなる。彼らが「石油はアラーの恵み」であるというのもあながち的外れではないように思われる。

 ただ石油とイスラームの関係は単なる偶然にすぎない。何しろ地中に石油が生まれたのは数億年前のことであり、それに比べると人類が誕生したのはごくごく最近のことになる。だから石油とイスラームを結びつけるのはかなり無理がある。もちろん信仰心の篤いイスラームの人々(ムスリム)からすればすべてこの世はアラーの御業と言いうことになるのであろうから、アラーがムスリムたちのために太古の昔に石油を地下に作りおいてくださった、と言うことになるのであろうか。科学的無神論(智)と信仰(心)の論争は常に水掛け論である。

19世紀末、それまでの石炭炊きの蒸気機関に対しドイツで石油を燃料としたガソリンおよびディーゼル内燃機関が発明された。これは輸送分野に革命をもたらし、軍事面では戦車や軍艦の推進機関として急速に普及した。その結果石油の需要が急激に膨らみ世界各地で石油開発が盛んになった。中東では1908年にペルシャ(イラン)で油田が発見され、そしてイラク(1928年)、クウェイト(1938年)さらにサウジアラビア(1940年)と地図上を南下しながら次々と油田が発見された。イランからイラク、クウェイト、さらにサウジアラビア、アブダビへと続く石油の埋蔵地帯は「オイル・ベルト」と呼ばれる。

 このオイル・ベルトの開発を手掛けたのは欧米の石油企業であった。中でも「セブン・シスターズ(7姉妹)」と呼ばれる米英の7企業が大きな存在感を示した。スタンダード・オイル・ニュージャージー(エッソ)、スタンダード・オイル・ニューヨーク(モービル)、スタンダード・オイル・カリフォルニア(ソーカル)、ガルフオイル、テキサコの米国系5社と英国のアングロペルシャン及び英蘭系のシェルオイルの7社である。スタンダードの名前を冠する3社はロックフェラーが創業したスタンダード・オイルが反トラスト法で分割されて生まれた会社であり、エッソとモービルはその後合併してエクソン・モービル(ExxonMobil)となり、ソーカルはガルフオイル及びテキサコの2社を吸収合併して現在はシェブロン(Chevron)となっている。

 中東の石油開発で先行したのはアングロペルシャン石油(現BP)である。英国の国策会社として発足したBPは第一次大戦下にチャーチル海軍大臣(その後首相)が艦艇の燃料確保のため石油開発を積極的に後押ししたこともあり、英国の強い影響下にあったイランに足掛かりを築き、さらにイラクのキルクーク油田、クウェイトのブルガン油田等の開発権も手に入れた。

 出遅れた米国はサウジアラビアに接近して開発権を獲得、同国東部の陸上で世界最大のガワール陸上油田を発見、さらに海上ではサファニア油田を発見した。エッソ、モービル、ソーカル及びテキサコの米系4社はアラビアン・アメリカン・オイル・カンパニー(略称アラムコ)を設立して、サウジアラビアにおける石油開発を独占する。セブン・シスターズは中東のオイル・ベルトに盤石の基盤を築き世界の石油を支配したのである。

 このセブン・シスターズに反旗を翻した者がいた。イランのモサデグである。共産主義政党ツデー党の流れを汲み1951年に首相に就任したモサデグはアングロペルシャン石油が所有する石油利権を国有化した。これに対してセブン・シスターズは結束してイラン産原油を国際市場から締め出し、社会主義政権の登場を苦々しく思う米国政府もひそかにセブン・シスターズに肩入れした。モサデグは失脚、シャー(パハレビー皇帝)が復権し、以後イランと米国の蜜月関係が始まる。

産油国がセブン・シスターズに戦いを挑むのは9年後の1960年にOPEC(石油輸出国機構)を結成して以後のことであり、またイランが米国と袂を分かつのは29年後のホメイニによるイラン革命からである。

(続く)

 

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