石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

コロナ禍は乗り越えたが岐路に立つ国際石油企業:2021年4-6月期決算速報 (6)

2021-08-31 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0541OilMajor2021-2ndQtr.pdf

 

5.キャッシュフロー[1]

(フリーキャッシュの多いShell!)

(1)当期キャッシュフロー

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-71.pdf参照)

(注) ExxonMobilの4-6月期決算書類では投資C/F及び財務C/Fが不明。

 

(1-1)営業C/F[2]

 今期の5社の営業C/FはShellが126億ドルで最も多く、次いでExxonMobilが97億ドル、TotalEnergies及びChevronがそれぞれ76億ドル、70億ドルであり、bpは最も少ない54億ドルにとどまっている。

 

(1-2)投資C/F[3]

 ExxonMobilを除く投資C/Fによるキャッシュの流出はTotalEnergiesが最も多く31億ドルであった。これに次ぐのがShellの29億ドルであり、bp22億ドル、Chevron16億ドルであった。

 

(1-3)フリーC/F

 営業C/Fから投資C/Fを差し引いたフリーC/Fを見ると、Shellが97億ドルで最も多く、これに次ぐのはChevronの54億ドルである。TotalEnergies及びbpはそれぞれ44億ドルと32億ドルであった。ShellのフリーC/Fはbpの3倍である。

 

(1-4)財務C/F[4]

(ExxonMobilを除く)4社の財務C/F収支はShellとTotalEnergiesが66億ドルと63億ドルで並んでおり、Chevronは49億ドル、bpは最も少ない6億ドルであった。財務C/Fは借入金の支払い金利、借入金の返済あるいは新規借入で構成され、通常、投資が少ない時は既存借入金を返済し、新規借入を控えて財務の健全化を図ろうとすることが多い。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1] キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が企業に義務付けられており、日本でも1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。

 キャッシュ・フローは(1)営業キャッシュ・フロー(日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支)、(2)投資キャッシュ・フロー(工場新設やビル建設・トラック購入などの設備投資・有価証券投資に要する現金支払いと資産売却による収入)及び(3)財務キャッシュ・フロー(財務活動による現金の収支)の3種類があり、これらの総合収支が会計期間内の現金収支であり、期首(前期末)の現金(及び現金相当物)の残高に期間内の収支を加えたものが当期末の現金(及び現金相当物)となる。(Wikipediaより)

[2] 「営業キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Cash Flow form Operating Activities (U.S. GAAP) / Net cash provided by operating activities (U.S. GAAP)

Shell:Cash flow from operating activities

bp:Net cash provided by operating activities, Condensed group cash flow statement

TotalEnergies:Cash flow from operating activities, TotalEnergies financial statements

Chevron:Net cash provided by Operating Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[3]「投資キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from investing activities

bp:Net cash used in investing activities

TotalEnergies:Cash flow used in investing activities, TotalEnergie financial statement

Chevron:Net cash Used for Investing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[4]「財務キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from financing activities

bp:Net cash provided by (used in) financing activities

TotalEnergies:Cash flow from (used in) financing activities, Total financial statement

Chevron:Net cash provided by (Used for) Financing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

 

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(再掲)SF小説「イスラエル、イランを空爆す」(5)

2021-08-31 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

初出:2010.7.

三羽の小鳥()

「マフィア」はロシア正教を信じるウクライナ地方の貧しい農民の息子である。彼が生まれた当時はまだソ連邦の時代であり、社会主義国家のソ連はキリスト教、ユダヤ教を問わず宗教を敵視し教会を否定した。モスクワ中央政府は集団農場制度により農民はロシア時代の農奴制から解放され、コルホーズは労働者の天国になる、と宣伝した。しかし農民の暮らしは楽になるどころかノルマに追われる生活が続いた。支配者がかつての地主から中央政府の高級官僚に替わっただけだった。それでも農民たちはいつか救われると信じて自宅や集会所でひっそりとキリストのイコンに祈りを捧げていたのである。

 

1985年にソ連でペレストロイカが起こると、帰還法に触発されてソ連から100万人とも言われる大量の移民がイスラエルに流れ込んだ。イスラエルの「帰還法とは祖父母のうち少なくとも一人がユダヤ人ならば誰でも移住できるというものである。母親の実家の祖母がユダヤ人であったことを思い出した「マフィア」一家は当時5歳の息子を連れて新天地を目指した。仲間の中には役人を買収して祖父母がユダヤ人であったと言う偽の証明書を手に入れイスラエルに移住した者も少なからずいた。

 

ロシアからの移住者と言えば医者か農民のどちらかと言われ、おかげでイスラエルの一人当たりの医者の数は世界一となったほどであるが、医者達は病院の勤務医か開業医となってユダヤ人やアラブ人の中に溶け込んでいった。しかし所詮農地を耕すしかない者達は政府の与えた入植地で肩を寄せ合って暮らす他なく、「マフィア」一家が移住した開拓地は同じ境遇のロシア人ばかりであった。彼らのコミュニティではロシア語が使われ、そしてキリストに祈りを捧げた。政府はヘブライ語を半ば強制的に奨励したが、「マフィア」の父親たちの世代は新しい言語を覚えるには遅すぎたのである。

 

イスラエル社会ではヘブライ語を話せないキリスト教徒のロシア移民たちは冷遇され、二級市民の扱いであった。建前では移住者の出身地、宗教、学歴で差別されないことになっているが、それはあくまで建前である。幼い時は皮膚の色や親の職業など意識することなく小学校で仲良く遊んでいた「マフィア」も大きくなるに従い嫌でも差別を意識するようになった。そのハンディを乗り越えるために「マフィア」は学校では人一倍ヘブライ語を勉強し、優秀な成績を修めた。そして差別が少ない軍隊に入ったと言う訳である。

 

 3機編隊のしんがりを務める「アブダラー」は地元生まれのアラブ人遊牧民ベドウィンの子供である。彼らはオスマントルコ帝国の時代から現在の地に住み続けていた。そこは第一次大戦後のイギリスによる信託統治時代にユダヤ人に割り当てられた土地であった。この時アラブ人にも「パレスチナ」としてヨルダン川西岸が割り当てられた。第三次中東戦争でイスラエルがパレスチナ地区を占領した結果、大量の難民が生まれたが、もともとイスラエル地域に住んでいた「アブダラー」たちはそのまま住み続けることができた。彼らはアシュケナージたちよりも古い先住民族なのである。イスラエルでは彼ら先住民の他エチオピアなどアラブ・イスラム圏から移住したアラブ人達をミズラフィムと呼んでいる。

 

ミズラフィムもロシア移住者と同様二級市民として扱われたが、実質的にはロシアの移住者以下の扱いであった。イスラエル国内でイスラム過激派の自爆テロが頻発するようになり、白い肌のユダヤ市民たちは一目でアラブ人とわかるミズラフィムを警戒するようになったため、彼らの立場はロシア移住者よりさらに悪くなった。「アブダラー」の仲間の若者には絶望して過激派組織に身を投ずる者もいたが、「アブダラー」はイスラエル国民として生きる道を選んだ。彼は「良き市民」たらんとした。その選択が軍隊に入り国を守ることだった。彼の心のよりどころは民族でもなく宗教でもなく国家そのものなのである。

 

実は彼自身「アブダラー」と言うニックネームが好きになれないのである。「アブダラー」は最もありふれたアラブ人の名前であり、「アブドゥ(僕:しもべ)」と「アラー」を合わせたもの、即ち「アラーの僕」と言う意味がある。「アブダラー」自身にとってはイスラム色の強すぎるこの名前が嫌だったのである。しかし彼はそれを我慢した。いずれそのようなことを意識せずに済む日が来ると信じていたからである。

 

3人のパイロットはそれぞれの思いを抱きつつ夜明けの砂漠と地平線の太陽を凝視していた。しかしいつまでももの思いに耽ける余裕はない。なにしろ彼らは現在サウジアラビアの領空すれすれを飛んでいるのである。サウジアラビア空軍には地上レーダーと早期警戒機AWACSが完備しており、上空を通過する3機を察知しているであろう。サウジアラビア戦闘機がスクランブル(緊急発進)をかけ、イスラエル戦闘機をインターセプト(迎撃)するかもしれない。だから一時たりとも警戒を怠れない。

 

ただこの点については基地出発前のミーティングで、サウジアラビアの迎撃の可能性は無い、と上官から告げられていた。政府上層部が空爆計画実施の数日前米国に秘かに計画実行の日時を通告、その後米国とサウジアラビアの間でイスラエル戦闘機の通過を黙認することが合意された、と教えられていた。しかしパイロット達には念のためイラク国境近くにあるサウジアラビアのハファル・アル・バテン空軍基地の近くではこれを大きく迂回し、サマワの南方を飛ぶよう指示が与えられた。イラク領内深くに飛行コースを変更するのである。イラクの制空権は米軍が握っているため攻撃される心配はない。

 

イラク領内の飛行が安全であるなら、ヨルダン上空を横切りそのままイラク上空を飛び続ければ良いはずであるが、イスラエルー米国間の協議で戦闘機はサウジアラビアとイラクの国境線上空を飛行することが決定された。イラク南部はイランと同じシーア派住民がほとんどであり彼らはイランに対して宗教的な同胞意識を持っている。イスラエルのイラン空爆後、戦闘機が彼らの頭上を通過し、それを米国が黙認したことが判明すれば、それまで米軍に比較的協力的であったシーア派住民の反米感情に火がつくことは明らかであった。だから戦闘機の飛行コースはサウジアラビア-イラクの国境線上と決められたのである。

 

幸いハファル・アル・バテン基地から戦闘機がスクランブル発進する様子はなく、そのことは米国の軍事偵察衛星でも確認された。3人のパイロットは少し安堵して一路目標のナタンズにむけて高々度飛行を続けた。彼らはサウジアラビアが米国の意向に背くはずはないと信じて疑わなかった。とにかくイスラエルと米国は強い信頼関係で結ばれ、サウジアラビアごときが反抗できるはずはない、と言うのが3人のパイロットだけでなくイスラエル軍部全体の揺るぎのない確信であった。

 

しかしその頃、ハファル・アル・バテン基地の内部では慌ただしい動きが起こっていたのである。

 

(続く)

 

荒葉一也

 

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石油と中東のニュース(8月30日)

2021-08-30 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・OPEC+、40万B/D減産緩和継続の意向。クウェイトは供給過剰懸念。9/1に会議開催

(中東関連ニュース)

・バグダッドでエジプト大統領などが出席して地域首脳サミット開催

・エジプト大統領とカタール首長が関係強化目指し会談

・イラン外相、シリア訪問。アサド大統領と地域情勢協議

・イラン、原子力庁長官に前住宅相任命

・イラク、ドローン等トルコ製兵器購入に意欲

・サウジ、紅海リゾート開発で毎月10億リアルの契約締結

 

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BPエネルギー統計2021年版解説シリーズ22(天然ガス貿易篇8)(完)

2021-08-30 | BP統計

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0539BpWorldEnergy2021.pdf

 

(4) 天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)(続き)

(急増する中国の天然ガス輸入、2014年以降緩やかに減少する日本!)

(4-3)中国と日本の天然ガス輸入(2000年~2020年)

 2000年以降2020年までの中国と日本の天然ガス輸入量の推移を比較する。

(4-3-1)中国

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-3-G04.pdf 参照)

 中国は2005年まで天然ガスの輸入は無く、完全自給体制であった。2006年にLNG10億㎥を初めて海外から輸入すると2010年には130億㎥に膨らんだ。同時に中央アジア産ガスのパイプラインによる輸入が始まり、同年の合計輸入量は164億㎥を記録した。

 

 その後中国の天然ガス輸入は急激に膨らみ、翌2011年には300億㎥、2013年には500億㎥の大台を超え、2018年にはついに1,200億㎥強を輸入し、日本を追い抜いて世界一の天然ガス輸入国になった。2020年の輸入量は1,391億㎥であり、日本との差は400億㎥近くに開いている。

 

 2010年と2020年を比較すると輸入量は8.5倍に増加しており、内訳を見るとLNGは7倍、パイプラインは13倍とパイプラインの増加率が大きい。2020年の輸入構成はLNGが68%、パイプラインが32%であり、LNG輸入がパイプライン輸入の約2倍である。

 

(4-3-2)日本

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-3-G05.pdf 参照)

 日本の天然ガス輸入は全量LNGである。2000年以降の輸入量の推移を見ると、2012年までは多少の変動はあるものの増加傾向にあった。しかし2014年をピークに2020年に至るまでは長期低落傾向にある。

 

 2000年の輸入量は740億㎥であったが、2003年には800億㎥を超えた。2004、05年は再び700億㎥に下がり2007、08年に900億㎥を超える輸入があった。2009年に一旦減少した後、2010年から成長軌道に入り2011年に1千億㎥を突破さらに2014年に1,218億㎥のピークに達した。

 

 しかし2015年以降は緩やかな下降が続き、2020年の輸入量は1,020億㎥と1千億㎥すれすれの水準となり、急成長を続ける中国と対照的である。

 

以上

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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BPエネルギー統計2021年版解説シリーズ21(天然ガス貿易篇7)

2021-08-29 | 今日のニュース

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0539BpWorldEnergy2021.pdf

 

(4) 天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)(続き)

(20年間で1.8倍に伸びた世界の天然ガス貿易!)

(4-2)2000年~2020年の世界の天然ガス貿易

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-3-G03.pdf 参照)

 2000年以降の天然ガスの貿易量を見ると、2000年に5,278億㎥であった貿易量は2004年に6千億㎥、2007年に7千億㎥を突破した。しかし同年以降は伸びが鈍化し、8千億㎥に達したのは2016年であった。2017年以降は再び増加傾向が顕著になり、2019年の貿易量は9,901億㎥となり1兆㎥達成は目前となったが、2020年は新型コロナウィルスの影響により9,401億㎥に後退、対前年比▲5%の大幅な減少となった。

 

2000年と2020年を比較するとパイプラインによる貿易量の伸びは1.3倍であったのに対してLNGの伸び率は3.1倍である。LNGは最近の伸びが特に著しく2010年には対前年比21%という高い増加率を示している。天然ガス貿易はパイプライン或いはLNG設備が完成すれば貿易量が飛躍的に伸びるという特性があるが、LNG貿易は近年ロシア、豪州の設備新設或は米国のシェールガス液化等により供給力が増加したことが貿易量の増大につながっている。このような貿易構造の変化の結果、貿易全体に占めるパイプラインとLNGの比率は2000年にはパイプライン73%、LNG27%であったが、その後LNGの比率が徐々に増加、2006年には30%を超え、2020年はパイプライン48%に対しLNG52と逆転している。

 

(続く)

 

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石油と中東のニュース(8月28日)

2021-08-28 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・メキシコ湾ハリケーン襲来予測で油価上昇。Brent $72.18, WTI $68.73

・イランOji新石油相が石油ガス開発、生産量維持等石油政策明かす

(中東関連ニュース)

・ISがアフガン首都空港で2件の自爆テロ。米兵12名、アフガン人60名死亡

・米がアフガンISをドローンで報復爆撃

・タリバンのカブール空港運営要請でリスク推し量るトルコ大統領

・米大統領、イスラエルBennett首相と一日遅れの初会談

・イラク:サドル師、10月選挙ボイコットを撤回

・カタール首長、UAEのタハヌーン殿下と地域情勢で意見交換

・ベイルート港硝安爆発事件でDiab暫定首相を証人喚問

・UAE、原発2号機運転開始

・UAEアルミ、2022年に株式公開へ

・イラク、イランからの電力輸入削減目指し中国と750MWの太陽光発電事業

・サウジと韓国が医療、再生エネなど22工場の先端工業団地開発で協力

 

 

 

 

 

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今週の各社プレスリリースから(8/22-8/28)

2021-08-28 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/23 ENEOS

クイーンズランド州におけるオリジン社との日豪間CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた協業検討を開始

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20210823_01_01_1170836.pdf

 

8/24 出光興産

米州地域機能会社 本格活動開始について

https://www.idemitsu.com/jp/news/2021/210824_1.html

 

8/24 出光興産

ノルウェー領北海ドゥーヴァ(Duva)油ガス田 生産開始

https://www.idemitsu.com/jp/news/2021/210824_3.html

 

8/25 INPEX

幹部社員の人事異動について

https://www.inpex.co.jp/news/assets/pdf/20210825.pdf

 

8/25 ExxonMobil

ExxonMobil affiliate to produce renewable diesel to help reduce transportation emissions in Canada

https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2021/0825_ExxonMobil-affiliate-to-produce-renewable-diesel-to-reduce-emissions-in-Canada

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BPエネルギー統計2021年版解説シリーズ20(天然ガス貿易篇6)

2021-08-27 | BP統計

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0539BpWorldEnergy2021.pdf

 

(4) 天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)

(ロシア、米国、カタール3カ国で世界シェア40%!)

(4-1)2020年国別輸出量 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-3-G02.pdf 参照)

 2020年のパイプライン(以下P/L)とLNGを合わせた天然ガスの輸出(入)量は世界全体で1兆2,438億㎥であった。輸出量トップはロシアの2,381億㎥であり、内訳はP/Lによるものが1,977億㎥、LNGが404億㎥であった。世界の輸出全体に占める同国の割合は19%である。これに次ぐのが米国の1,375億㎥であり、内訳はP/Lによるものが761億㎥、LNGが614億㎥であった。第4位はカタールの1,279億㎥で、内訳はP/Lが218億㎥、LNGが1,061億㎥であった。これら3カ国が天然ガスの三大輸出国であり、合計シェアは世界の40%に達する。その他の主な輸出国はノルウェー、オーストラリア、カナダ、アルジェリアなどである。

 

(中国が世界一、LNG100%の日本、パイプライン100%のドイツ!)

(4-2)2020年国別輸入量 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-3-G01.pdf 参照)

 一方輸入国としては中国が1,391億㎥と最も多く、次いで日本とドイツが共に1,020億㎥である。但し両国の輸入形態は対照的であり、日本がLNG100%に対し、ドイツはパイプライン100%である。輸入量が1千億㎥を超えるのはこの3か国だけであるが、3カ国の合計シェアは28%にとどまり、輸出量上位3か国のシェア(40%)に比べかなり小さい。輸出は少数の国に握られ、輸入は多くの国が群がっていることが読み取れる。

 

輸入国の順位では2017年まで日本が世界第1位であったが、2018年に中国がトップになっている。中国の輸入は今後も日本を上回るペースで増加すると考えられ、同国が世界一のガス輸入国として定着することは間違いない。第4位以下は米国(695億㎥)、イタリア(629億㎥)、メキシコ(568億㎥)、韓国(553億㎥)と続いている。なお既述のとおり米国は隣国のカナダあるいはメキシコとパイプラインによる相互貿易を行っていることもあり、世界2位の輸出国であると同時に世界第4位の輸入国でもある。

 

(続く)

 

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コロナ禍は乗り越えたが岐路に立つ国際石油企業:2021年4-6月期決算速報 (5)

2021-08-26 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0541OilMajor2021-2ndQtr.pdf

 

4.設備投資[1]

(業績回復でも慎重な設備投資!)

(1)当期設備投資 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)

 国際石油企業5社の4-6月期設備投資は、Shellが42億ドルで最も多く、これに次ぐのがExxonMobilの38億ドルである。その他の3社はTotalEnergies32億ドル、Chevron28億ドルで、bpは5社中で最も少ない25億ドルであった。前期(1-3月期)より多かったのはExxonMobil、Chevron及びShellの3社で、bp及びTotlEnergiesは前期を下回っている。前期を上回った3社も増加幅は大きくない。各社は2期連続して利益を計上しているが設備投資には慎重である。

 

(2019年以降低下し続ける設備投資!)

(2)2019年7-9月期以降今期までの設備投資の推移 

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)

2019年7-9月期の各社の設備投資はExxonMobil が77億ドルと最も多く、TotalEnergies 67億ドル、Shell 60億ドル、Chevron 50億ドルで最も少ないbpの設備投資は40億ドルであった。続く10-12月期にはExxonMobilの85億ドルを筆頭にShell、Chevronの順であったが、2020年に入り各社の設備投資は急減し、2020年7-9月期には各社ともほぼ半減している。その後10-12月期は少し回復し、2021年もその状態が続いている。

 

最新のIEAレポートは2050年までの炭酸ガス排出量ネットゼロを目標とし、化石燃料供給プロジェクトへの新たな投資を控えるよう提言している[2]。さらにオランダの裁判所がShellに対して2030年までに排出量を2019年比で45%削減するよう命じており(Shellは控訴中[3])、ExxonMobilの株主総会では環境対策を求める投資ファンドから取締役2名の選任を押し付けられる[4]など石油企業を取り巻く環境は厳しさを増している。各社とも景気の回復を見越して石油・天然ガスの開発投資に注力してきた従来のような設備投資方針の見直しを迫られている。

 

(続く)

 

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                               E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1]  「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures

Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow

bp:Capital expenditure

TotalEnergies:12. Net investments

Chevron:Capital & Exploratory Expenditure, Worldwide

[2] ‘Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector’

https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050

[3] ‘Shell response to Dutch court ruling in case brought by Milieudefensie!’

https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2021/shell-response-to-dutch-court-ruling-in-case-brought-by-milieudefensie.html

[4] ‘ExxonMobil announces preliminary results in election of directors’

https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2021/0526_ExxonMobil-announces-preliminary-results-in-election-of-directors

 

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石油と中東のニュース(8月26日)

2021-08-26 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(コロナ禍関連ニュース)

・イランの一日当たり死者過去最高の709人

・サウジ、日本を含む20カ国からの入国制限撤廃

(石油関連ニュース)

(中東関連ニュース)

・イラン国会、大統領提案の閣僚名簿を賛否。教育相のみ否決。 *

*参考「イラン閣僚名簿

・イラン第一副首相:数カ国と口座凍結解消を電話協議。茂木外相面談時にも

・アルジェリア、モロッコと断交。互いに相手国の反政府組織支援

・アフガン:タリバン、海外ドル口座凍結で現金不足に直面

・トルコ、タリバンの要請振り切りアフガンから撤兵

・第3の首相指名者も組閣難航で終わりの見えないレバノン政局

・ドバイで国際指名手配のイタリアマフィアを逮捕

 

 

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