石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(6月29日)

2022-06-29 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・サウジアラムコ、ケニヤに国際価格下回る原油を8月から供給

(中東関連ニュース)

・トルコ/スウェーデン・フィンランド間の協議成立。NATO加盟に道開く

・エジプト大統領、オマーンとバハレーンを歴訪

・カタールドーハでEUを介した米-イラン間接核協議始まる

・ヨルダン:アカバ港で有毒ガス爆発事故。13人死亡、負傷者250人以上

・ウクライナでトルコ製ドローン購入のクラウドファンディング。メーカーは無償供与。  *

*レポート「中東に広まるドローン(UCAV)の開発と軍事利用」参照。

・駐イラン相川大使、ウルミア湖再生支援プロジェクトを視察

 

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北欧が上位を独占、アラブ諸国トップは世界119位のカタール:報道の自由度 (下)

2022-06-27 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0561WorldRank10.pdf

 

(ノルウェーが5年連続世界一位、世界最低レベルを抜けられない中国!)

3.日米中と中東主要国の世界ランクの推移(2018年~2022年)

(図http://rank.maeda1.jp/10-G01.pdf参照)

 2022年世界一位のノルウェーに加え日本、米国、中国及び中東4か国(カタール、トルコ、サウジアラビア及びイラン)の2018年から2022年までの5年間の世界ランクの推移を見ると、ノルウェーは5年連続でトップを維持している。

 

 米国の世界順位は45位(18年) →48位(19年) →45位(20年) →44位(21年) →42位(22年)と40位台が続いており、2019年以降は毎年少しずつ順位を上げている。日本の順位は67位(18年) →67位(19年) →66位(20年) →67位(21年) →71位(22年)と変化しており、近年は順位が低下する傾向にある。

 

 中東のカタールとトルコは、カタールが125位(18年) →128位(19年) →129位(20年) →128位(21年) →119位(22年)であり、昨年まで120位台で下降気味であったが今回は119位に上がっている。トルコは157位(18年) →157位(19年) →154位(20年) →153位(21年) →149位(22年)と毎年順位が改善している。サウジアラビアとイランは宗派の違い(スンニ派とシーア派)あるいは政治体制の違い(専制君主制と宗教独裁制)により対立する湾岸地域の二大国であるが、報道の自由度では両国とも世界最低のレベルである。特にイランは164位(18年) →170位(19年) →173位(20年) →174位(21年) →178位(22年)と5年連続で順位が低下し、今回は北朝鮮、エリトリアに次いで報道の自由度が世界で3番目に低い状態である。

 

 中国の過去5年間の報道の自由度ランクは176位(18年) →177位(19年) →177位(20年) →177位(21年) →175位(22年)と全く変化がなく世界180カ国の最底辺にランク付けされたまま改善の兆候は見られない。

 

(完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                                  E-Mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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石油と中東のニュース(6月27日)

2022-06-27 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・米イランの間接協議の場、ウィーンからカタールに

・イラン外相、トルコ訪問

・アブラハム協定当事国の外相がバハレーンでサミット

・イラク首相、ジェッダでサウジ皇太子と会談

・イラク首相、イラン訪問。サウジとの仲介に意欲示す

・イスラエル-サウジの関係改善はサウジ国王交代後まで難しい:専門家

・イラン人工衛星ロケット、弾道軌道で発射実験

・エルサレム:イスラエルの地下掘削作業でモスクの壁が一部崩落

 

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北欧が上位を独占、アラブ諸国トップは世界119位のカタール:報道の自由度 (中)

2022-06-26 | 今日のニュース

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0561WorldRank10.pdf

 

(世界ランクシリーズ その10 2022年版)

 

(世界180か国中で日本は71位、上位は北欧諸国が独占!)

2.2022年の世界ランク及び2021年との比較

(表http://rank.maeda1.jp/10-T01.pdf参照)

 2022年の報道の自由度世界1位はノルウェーである。これに続く世界5位までにはデンマーク、スウェーデン、エストニア及びフィンランドが入っており、いずれも北欧諸国である。ノルウェーは昨年に引き続き世界1位であり、デンマークは昨年の4位から2位に、またフィンランドは昨年の2位から今回は5位である。またエストニアは昨年の15位から順位を大幅に上げている。

 

 日本を含む主要な国々の世界ランクを見ると、米国はスコア72.74で世界42位である。これに次ぐ世界43位に韓国が選ばれている。日本は両国よりも低くスコア64.37で世界71位である。スコアと順位を昨年と比較すると、米国はスコアが3.33悪化しているが順位は2ランク上がっており、日本はスコアが6.75下がり、順位も4ランク下がっている。日本以外のG7の国々はドイツ(16位)、カナダ(19位)、英国(24位)、フランス(26位)、米国(42位)、イタリア(58位)といずれも日本より報道の自由度が高いとされている。またBRICs諸国は世界100位以下にとどまっており、ブラジル(110位)、インド(150位)、ロシア(155位)、中国(175位)である。特に中国は調査対象国180カ国中でほぼ最低レベルに評価されている。

 

 中東諸国を見ると、トップはイスラエルで同国の世界順位は86位と世界のほぼ中位である。しかし同国以外の中東各国はいずれも100位以下であり、その中で比較的高いのはカタール(119位)、ヨルダン(120位)である。カタール以外のGCC諸国はUAEが138位であり、クウェイト(158位)、オマーン(163位)、サウジアラビア(166位)、バハレーン(167位)など多くは世界150位以下にとどまっている。カタールはアラビア語圏ではもっとも人気の高いアル・ジャジーラ放送の拠点であり、欧米諸国からは国際報道姿勢を高く評価されているが、同国自身にかかわる取材は他のGCC諸国と同様強く規制されているようであり、報道の自由度としての同国の評価は必ずしも高くない。

 

中東の主要国であるトルコ、エジプト及びイランの世界ランクはそれぞれトルコ149位、エジプト168位、イラン178位でありいずれも自由度の評価は非常に低い。3か国のスコアを前年の2021年と比較すると、トルコは50.21→41.25、エジプトは43.83→30.23、イランは27.30→23.22といずれも大幅に悪化している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                                  E-Mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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SF小説:「新・ナクバの東」(24)

2022-06-26 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

 

2022年6月

 

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」

 

19. 米軍乗り出す(2)

ペルシャ湾地域の混乱はイランの核開発疑惑問題に端を発した米国のイラン封じ込め政策によってさらにエスカレートした。イランが核開発で地域の主導権を握れば、中東全体が不安定になり、さらに将来イランの核兵器がイスラム・テロ組織に流れる恐れがある、というのが米国の理屈である。

 

しかし米国が本当に守ろうとしていた利益、それはイスラエルの安全保障であった。米国にとってはるか大西洋を隔て地球の裏側にあるとも言えるイスラエルそのものは経済的にはさほど大きな意味を持たない。それでも米国がイスラエルに肩入れするのは、政治家たちがイスラエル・ロビーの圧力に意のままに操られているためであり、また聖地エルサレムのあるイスラエルに対するキリスト教右派の過剰な思い入れのためであった。さらに9.11同時多発テロが米国民のアラブに対する嫌悪感を高めた。それを最大限に利用したのがイスラエルでありそのロビイスト達であった。

 

「殺(や)られる前に殺(や)れ」「先制攻撃こそ最大の防御」と言ってはばからないイスラエルの右派政府及び軍部は、イランの核施設建設が進むにつれてますます強硬になっていった。かれらはこれまでにもイラクのオシラク原子力発電所やシリアの核疑惑施設を空爆している。イスラエルは自己の安全が脅かされると感じれば躊躇しない。それは脅威が客観的に証明されると言うレベルの問題ではなく、彼ら自身が脅威を「感じる」と言う皮膚感覚である。

 

イスラエル右派政府及び軍部のそのような皮膚感覚は日本人のように平和な世界に生きる者とは全く異なる。彼らは建国以来60年以上もの間、脅威と隣り合わせに生きてきた。彼らに常識的な脅威論や平和論は通用しない。明日攻撃されるかもしれない相手に対する正しい対応は、「殺られる前に殺る」ことである。そこでは彼ら自身の暴力は正しい暴力であり、敵の暴力は叩きのめすべき暴力なのである。

 

今やイランに対しても同じことである。イスラエル国内の強硬派の暴走とそれを後押しする米国内の国会議員や右派宗教指導者たち。ワシントンが彼らを抑えるのはもはや限界であった。

 

 

(続く)

 

荒葉一也

(From an ordinary citizen in the cloud)

 

前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html

 

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石油と中東のニュース(6月25日)

2022-06-26 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格小幅変動。Brent $110.00, WTI $104.46

・中国のイラン原油単発輸入続く

(中東関連ニュース)

・イラン核協議打開でEUボレル外交代表がテヘラン訪問

・カタール首長、エジプト訪問。地域情勢協議、対エジプト投資促進

・ヨルダン国王、アブダビ訪問

・ヨルダン国王、中東版NATOを提唱

・トルコとイスラエル、大使の相互復帰の道探る

・イラン:スパイ統括組織トップ更迭。相次ぐ要人暗殺の責任問う

・イラク:サドル派の一斉議員辞職で親イラン派が議会多数に

・レバノン、Mikatiを首班指名。大統領選任巡り混乱継続必至

・ウクライナ産小麦、トルコイスタンブールで輸出業務遂行

・外国からのマッカ巡礼者、21.4万人に達する。最終的には100万人見込

・サウジ:SWCC民営化中止、3年かけて資産をPIFに移管

 

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今週の各社プレスリリースから(6/19-6/25)

2022-06-25 | 今週のエネルギー関連新聞発表

6/21 ExxonMobil

ExxonMobil and QatarEnergy to expand LNG production with North Field East agreement

https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2022/0621_ExxonMobil-and-QatarEnergy-to-expand-LNG-production-with-North-Field-East-agreement

 

6/22 石油連盟

杉森 石油連盟会長定例記者会見 発言要旨・配布資料

http://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2022/index.html#id1973

 

6/23 出光興産

Umicore社と全固体電池向け高性能材料を共同開発

https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/220623_2.html

 

6/24 石油連盟

産業保安に関する自主行動計画について

https://www.paj.gr.jp/paj_info/topics/2022/06/24-001974.html

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石油と中東のニュース(6月23日)

2022-06-23 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格6ドル近く急落。Brent $$108.98, WTI $103.54

(中東関連ニュース)

・サウジ皇太子、トルコ訪問。エルドガン大統領と会談

・エジプト-ギリシャ-キプロス3カ国国防相会議で軍事協力拡大を協議

・ハマス、シリアとの関係改善探る

・イラン、Fordow核濃縮プラントで改良型遠心分離機稼働:IAEAレポート

・ホルムズ海峡で米艦艇がイランの偵察ボートと一触即発。米がビデオ公開

・ロシア外相、イラン訪問。西側の経済制裁に対抗

・エジプト2022/23年予算、議会通過。赤字幅5,530億ポンドに

・クウェイト議会解散

・イラン:死刑執行急増。今年1-3月で105人

・レバノン、シリア経由でエジプトから天然ガス輸入。電力危機解消目指す

・萩生田経産相、UAEエネルギー相と原油安定供給でTV会談

 

 

 

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北欧が上位を独占、アラブ諸国トップは世界119位のカタール:報道の自由度 (上)

2022-06-22 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0561WorldRank10.pdf

 

(世界ランクシリーズ その10 2022年版)

 

  国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。

 第10回の世界ランクは、ジャーナリストのNGO団体「国境なきレポーター(Reporters Without Borders)」(略称RSF)が発表した「報道の自由度2022 (Press Freedom Index 2022)」をとりあげて比較しました。

RSFホームページ:https://rsf.org/en/ranking

 

1.「World Press Freedom Index」について

 「国境なきレポーター(Reporters Without Borders)」は、1948年の世界人権宣言、及びこれに続く1950年の「人権と基本的自由の保護に関する会議」などで採択された、いくつかの憲章や宣言に触発され、各国の報道関係者が自発的に結成した非政府組織(NGO)である。フランスのジャーナリストが中心となって設立されたため、正式の組織名はReporters Sans Frontieresであり、その頭文字をとってRSFと略称され、本部はパリにある。

 

 RSFは、世界各国で取材妨害を受け、時には生命の危険に晒されているジャーナリストを保護し、その障害を取り除く活動を行っており、その一環として2002年から毎年、報道の自由度に関する各国のランク「報道の自由の指標(Press Freedom Index)」を公表してきた。この指標はRSFが作成したアンケートに対して、世界各地の表現の自由のための擁護組織団体及び多数のジャーナリストが回答した結果を集計したものである。

 

 2022年版Press Freedom Indexは世界180カ国の報道の自由度を指標化し、ジャーナリストに対する各国の対応ぶりを評価したものである。アンケートではメディアの独立性、政府機関の透明性など7つのカテゴリーにわたる87の設問に対し、130カ国のジャーナリストが回答したものを統計処理し、各国毎に0点から100点の得点が付けられている。最も自由度が高い場合が100点であり、最悪の評価が0点である。

 

なおアンケートは毎年行われるため、直近に報道の規制または記者の逮捕などの政府の取材妨害があった国、或いはジャーナリストが誘拐・殺害に遭った国についてはその年のランクが低くなる傾向がある。RSF自身は、このランクは「報道の質」の良否を示すものではない、と断っている。

 

RSFのレポートでは点数(ポイント)に応じて各国の自由度を下記の5つに分類し色分けをした世界地図を掲載している。

(1)青色:100~85ポイント(Good situation)

(2)空色:84~70ポイント(Satisfactory situation)

(3)橙色:69~55ポイント(Noticeable problems)

(4)赤色:54~40ポイント(Difficult situation)

(5)緋色:39ポイント以下(Very serious situation)

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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SF小説:「新・ナクバの東」(23)

2022-06-21 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

 

2022年6月

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」

 

23. 米軍乗り出す(1)

 カタールのウデイド空軍基地はアフガニスタンからアラビア半島、さらにインド洋全域を作戦地域とする米中央軍の前線司令部である。そこはペルシャ湾周辺諸国に睨みを利かす重要な航空基地であり、イラク撤退後はイランが監視対象となっている。

 

ペルシャ湾沿岸は世界有数の産油地帯であり、ペルシャ湾とその出口のホルムズ海峡、さらにインド洋に至る海上ルートは「タンカー・シーレーン(石油タンカーの航路)」として世界のエネルギーの大動脈となっている。このためシーレーンの安全確保は米国の国益の為にも重要である。と言ってもエネルギーに関する限り米国自身がペルシャ湾の石油に依存する割合は小さい。最も影響を受けるのは日本や韓国など極東の同盟国である。米国としてはこのエネルギーの「シーレーン」を守ることで日本や韓国に恩を売っていると言える。

 

しかしペルシャ湾地域において米国がシーレーン以上に重視していること、それはイランを封じ込め地域における米国の威信を揺るぎないものにすることである。30年前、ホメイニ師によるイスラム革命政権が成立して以来、米国にとってイランは不倶戴天の敵である。ホメイニ以前のイラン・パーレビ―(シャー)体制の時代に、米国はイランに近代兵器を大量に売り付け、イランを「ペルシャ湾の警察」に仕立て上げることで地域の治安を任せていた。

革命直後、テヘランの米国大使館がホメイニ支持の革命防衛隊によって一年以上占拠されるという事件があった。これにより米国の威信はいたく傷つけられた。当時の米国カーター政権は救出作戦を試みたが、救出ヘリコプターの不時着と言うお粗末な結果で失敗し、米国政府は恥の上塗りをした。これが今も米国民の脳裏から消えない深いトラウマを残した。

 

このため米国はその後のイラン・イラク戦争では軍事偵察衛星によりイランの動きを探り、その情報をイラクに流しイラン叩きを支援した。当時のイラクのフセイン独裁政権は米国にとって到底受け入れがたいものであったが、「敵(イラン)の敵(イラク)は味方」と言う訳だ。そのことが結果的にフセイン政権を助長させ、後のクウェイト侵攻、湾岸戦争さらにはイラク解放戦争へとつながったのは歴史の皮肉という他はない。

 

このようにイラン及びアラブ諸国に対する限り米国外交は行き当たりばったりであり地域に混乱をもたらした罪は大きい。しかし米国の外交は別の意味では一貫していた。イスラエルを支えること、そのことこそが米国の中東における絶対的ともいえる外交方針だったからである。それが中東に更なる混乱をもたらしていることも間違いのない事実なのであるが--------。

 

(続く)

 

荒葉一也

(From an ordinary citizen in the cloud)

 

前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html

 

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