(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(新型コロナ関連ニュース)
・5月のドバイ空港乗降客数、ロンドンヒースロー空港抜き世界一に。
(石油関連ニュース)
・米国がイラン制裁解除すれば最低3カ月で輸入再開:杉森石連会長。
・仏Total石油、社名をTotalEnergiesに変更。再生エネルギーへのシフト加速。
(中東関連ニュース)
・シリア難民キャンプ元IS兵士家族の帰還に恐怖心抱くイラクモスル市民。
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(新型コロナ関連ニュース)
・5月のドバイ空港乗降客数、ロンドンヒースロー空港抜き世界一に。
(石油関連ニュース)
・米国がイラン制裁解除すれば最低3カ月で輸入再開:杉森石連会長。
・仏Total石油、社名をTotalEnergiesに変更。再生エネルギーへのシフト加速。
(中東関連ニュース)
・シリア難民キャンプ元IS兵士家族の帰還に恐怖心抱くイラクモスル市民。
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0533IocVsAramco2021-1stQtr.pdf
2.売上高利益率 (続き)
(逆風強まる石油企業、IEAからも最後通牒!)
(2)2019年下期以降今期までの売上高利益率の推移
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-63.pdf 参照)
2019年第3四半期から今期(2020年第1四半期)までのIOC5社及びアラムコの売上高利益率の推移を見ると、IOC5社は一昨年末から昨年末まで各社いずれも大きな変動(特にマイナス幅の大きな変動)を示している。
2019年第3四半期の売上高利益率はChevronの7.4%を筆頭に、Shell6.6%、Total5.8%、ExxonMobil4.9%といずれもプラスの利益率で、bpのみが▲1.1%であったが、5社の格差はそれほど大きくはなかった。2019年第4四半期にChevronの利益率は▲19.1%と大幅に下落した。さらに2020年第2四半期には全社がマイナス決算となり、損失率もShell、bp及びChevronは▲50%台を記録している。この間比較的小幅な損失率にとどまっていたExxonMobilも昨年第4四半期には▲43%の大幅な損失率を記録、昨年1年間はIOC各社いずれも厳しい決算を余儀なくされた。
一方、アラムコの2019年第3四半期の売上高利益率は26.2%であり、IOC5社を圧倒している。アラムコはその後も20%台の高い利益率を確保しており、昨年第2、第3四半期は一時的に利益率が低下したが、それでも10%台後半であった。
2021年に入り各社とも業績が回復、第1四半期のIOC5社の売上高利益率は、bpの12.8%を筆頭にShell10.2%、Total7.6%ExxonMobil4.6%、Chevron4.4%と2019年第3四半期の水準に戻っている(因みにアラムコの売上高利益率は29.9%)。
各社とも業績向上に必死に取り組んでいるがコロナ禍の影響がいつまで続くか不明である。また最新のIEAレポートは2050年までの炭酸ガス排出量ネットゼロを目標とし、化石燃料供給プロジェクトへの投資を即時取りやめるよう提言している[1]。さらにShellに対してはオランダの裁判所が2030年までに排出量を2019年比で45%削減するよう命じており(Shellは控訴中[2])、ExxonMobilの株主総会では環境対策の強化を求める投資ファンドが推薦する取締役2名の選任を押し付けられる[3]など石油企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、業績の先行きは楽観を許さない。
(完)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
[1] ‘Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector’
https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
[2] ‘Shell response to Dutch court ruling in case brought by Milieudefensie!’
[3] ‘ExxonMobil announces preliminary results in election of directors’
5/24 Shell
Shell to sell interest in Deer Park refinery to partner Pemex
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2021/shell-to-sell-interest-in-deer-park-refinery-to-partner-pemex.html
5/25 出光興産
機構変更に関するお知らせ
https://www.idemitsu.com/jp/content/100035558.pdf
5/25 出光興産
人事異動に関するお知らせ
https://www.idemitsu.com/jp/content/100035557.pdf
5/26 Shell
Shell response to Dutch court ruling in case brought by Milieudefensie
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2021/shell-response-to-dutch-court-ruling-in-case-brought-by-milieudefensie.html
5/27 石油連盟
杉森 石油連盟会長定例記者会見配布資料
https://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2021/index.html#id1936
5/28 経済産業省
「夏季の省エネルギーの取組について」を決定しました
https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210528003/20210528003.html
5/28 bp
Lightsource bp announces €900 million solar investment in Portugal
https://www.bp.com/content/dam/bp/business-sites/en/global/corporate/pdfs/news-and-insights/press-releases/lightsource-bp-announces-900-million-solar-investment-in-portugal.pdf
5/28 Total
TOTAL IS TRANSFORMING AND BECOMING TOTALENERGIES
https://www.total.com/media/news/press-releases/total-transforming-and-becoming-totalenergies
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2.売上高利益率
(29.9%、驚異の利益率を誇るアラムコ!)
(1)当期売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)
IOC5社の今期売上高利益率はbpが12.8%と最も高く、続いてTotalが10.2%でありこの2社が利益率10%を超えている。他の3社はTotal7.6%、ExxonMobil4.6%であり、Chevronが4.4%で5社の中では最も低い。
これら5社に対してアラムコは29.9%と言う非常に高い利益率を誇っている。次項の四半期推移で触れる通り同社の利益率は常に5社を圧倒している。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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2.売上高(続き)
(ほぼ原油価格に連動した各社の売上高!)
(2)2019年下期以降今期までの売上高の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)
2019年第3四半期から2021年第1四半期に至る四半期ベースの売上高の推移を見ると、2019年第3四半期の売上高は895億ドルのShellを筆頭に、アラムコが812億ドルで続き、bp及びExxonMobilは600億ドル台、Total500億ドル弱でChevronは最も少ない348億ドルであった。
その後、2019年第4四半期から2020年第2四半期にかけて各社とも売上高が急激に減少した。2020年第2四半期はAramcoが372億ドルでShellを抜いてトップになり、ExxonMobil、Shell及びbpが320億ドル前後で競り合っているが、6社の売上高はいずれも2019年第3四半期の2分の1あるいはそれ以下である。
2020年第3四半期以後は売り上げが2期連続で上昇、2021年第1四半期の売上高は6社のうち4社が2019年第3四半期のほぼ9割まで回復している。但しShell及びbp2社のみは回復の速度が鈍い。
売上高の変動に大きな影響を与えるのが原油価格であるが、代表的な油種であるBrent原油の各四半期の平均価格を見ると以下の通りであった(価格はドル/バレル)。
62.00ドル(’19年3rd QTR)→63.08ドル(‘19年4thQTR、前期比+1.7%)→50.06ドル(‘20年1stQTR、前期比▲20.6%)→29.55ドル(‘20年2ndQTR、前期比▲41.0%)→42.94ドル(‘20年3rdQTR、前期比+45.3%)→44.16ドル(‘19年4thQTR、前期比+2.8%)→61.12ドル(‘20年1stQTR、前期比+38.4%)
これに対して6社の対前期比売上高増減比率の平均は、+1.0%(4thQTR)→▲25.9%(‘20年1stQTR)→▲35.2%(‘20年2ndQTR)→+43.4%(‘20年3rdQTR)→▲1.3%(‘19年4thQTR)→+21.6%(‘20年1stQTR)であった。両者を比較すると2019年第3四半期から翌年第3四半期までの1年間は原油価格との相関関係が極めて高いことがわかる。しかし2020年第4四半期と2021年第1四半期については、売上高の上昇率が原油価格のそれを下回っている。各社は価格上昇の追い風をつかみ切れなかったようである。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・イラン核問題解決の見通し立たず原油価格3日連続で上昇。Brent $68.60, WTI $66.13。
(中東関連ニュース)
・米が手を引けば中東は露、中国の草刈り場に:米中央軍司令官。
・イスラエル諜報機関Mossad長官にBarnea副長官昇格。
・イラン、大統領立候補者7名を発表。アハマドネジャド前大統領は失格。
・サウジKingdom Holding1-3月決算、2,430万ドルの黒字に転換。
・スエズ運河庁、コンテナ船所有正栄汽船賠償額を5.5憶ドルに減額。正栄提示の1.5億ドルと隔たり埋まらず。
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0533IocVsAramco2021-1stQtr.pdf
2.売上高
(アラムコはExxonMobilの1.2倍、bpの2倍!)
(1)当期売上高 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-51.pdf 参照)
2020年1-3月期の売上高はアラムコが726億ドルと最も多い。IOC5社の中ではExxonMobilが最も多い591億ドルであり、これに次ぐのがShell557億ドル、Total437億ドル、BP365億ドルであり、Chevronの売上高は最も少なく311億ドルにとどまっている。
アラムコの売上高を100とした場合、IOC各社はそれぞれExxonMobil82、Shel68、Total60、BP50、Chevron43であり、ExxonMobil、Shellの売上高はアラムコのほぼ8割、BPが2分の1であり、Chevronの売上高はアラムコの4割強である。利益面ではアラムコの利益がIOC5社の利益合計額よりも大きく、IOC5社で利益が最大のShellもアラムコの4分の1に過ぎないことと比較すると(前項参照)、アラムコとIOC5社の売上格差は利益の格差ほど大きくない。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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1. 純利益 (続き)
(足並みを揃えて利益を確保したIOCs、断然他社を引き離すアラムコ!)
(2)2019年下期以降今期までの利益の推移
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)
ここではコロナ禍発生以前の2019年第3四半期から今期(2021年第1四半期)までの利益の推移を追ってみる。
IOC各社はかつて高い収益を誇ってきた。例えば2010年代前半のExxonMobilは年間400億ドル前後の利益を計上している。近年その収益力に陰りが見えてきたが、それでも2019年の第3四半期ではExxonMobil、ShellなどIOC4社は利益を確保し、bpのみが7億ドルの赤字であった。
ところが2020年に入り全世界にコロナ禍が広がると、IOC各社の収益は一気に悪化し、第1四半期にはExxonMobil及びbpの2社が赤字となった。さらに第2四半期には5社すべてが赤字に転落、なかでもShell、bp2社は170億ドル前後の巨額の赤字を余儀なくされた。続く第3、第4四半期も5社中3社が赤字状態になっている。因みに1-12月の年間決算ではExxonMobil、Shell、bp3社の赤字幅は200億ドル強、Total、Chevronも50億ドル以上の赤字であり、かつてなかった惨状であった[1]。
しかし今年に入り米国および中国に景気回復の兆しが見られIOC各社の業績も急回復、5社全てが黒字に転換している。最も大きな黒字を計上したのはShellの57億ドルであり、Chevronが14億ドルで最も少なかった。各社の黒字幅はかつての高収益時代には及ぶべくもないが、2019年下期の水準に戻っている。
この間アラムコは5社を大幅に上回る利益を確保しており、2019年第3四半期の利益は213億ドルであった。2020年はコロナ禍の影響で利益額は急落、第2四半期には約4分の1の66億ドルまで落ち込んだが、Shellが181億ドルの巨額の赤字を計上するなどIOC5社が赤字に陥ったことに比べればアラムコの傷は浅かったと言えよう。アラムコはその後、再び増益傾向となり、今期(2021年1-3月期)は217億ドルの利益を計上、コロナ禍以前の水準に戻っている。
(続く)
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[1] 詳細は「サウジアラムコと五大国際石油企業の 2020 年業績比較」参照。
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(石油関連ニュース)
・仏石油会社Total、社名をTotalEnergiesに変更。
(中東関連ニュース)
・シリアの国内避難民660万人、世界最大:ノルウェー民間団体発表。
・レバノン大統領:ハリリ氏に組閣能力なし。反発する議会勢力。
・UAE、来月から100%外資認可。中東地域のビジネス覇権巡りサウジと競争。