石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇14 消費量(5)

2014-09-29 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0325BpOilGas2014.pdf

 

(石油・天然ガスの消費が急増する中国とインド、日本は13年間で4%減!)
(5)主要5カ国の消費量推移(2000年~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G04.pdf 参照)
 米国、日本、中国、ロシア及びインドの5カ国について2000年から2013年までの各国の石油と天然ガスの合計消費量を見ると、米国の消費量は他の国を圧倒しており2000年時点で3,109万B/Dとロシア(875万B/D)の3.6倍、日本(683万B/D)の4.5倍、中国(519万B/D)の6.0倍あり、インド(272万B/D)に対しては10倍以上の差があった。

 米国の消費量はその後横ばい状態が続き2013年は3,159万B/Dである。これに対して中国の消費量は爆発的に増加しており、2004年には日本を超え、さらに2009年にはロシアを追い抜き米国に次ぐ世界第2位の石油・天然ガス消費国となり、2013年の消費量は2000年比2.6倍の1,354万B/Dに達している。この結果かつて6倍であった米国と中国の差は2.3倍にまで縮まっている。

 インドも中国程ではないが年々増加しており2000年に272万B/Dであった消費量は、2004年には300万B/D、そして2009年には400万B/Dを突破、2013年の消費量は2000年比1.7倍の461万B/Dに達している。日本との差は未だ195万B/Dあるが現在の趨勢が続けば近い将来インドの消費量は日本を上回ることになろう。

 日本の石油・天然ガスの消費量は2000年から2009年まではほぼ一貫して減少し、2009年には600万B/Dを下回ったが、その後は再び増加に転じ2013年の消費量は657万B/Dに達している。しかしそれでもなお2000年を4%下回っている。これは景気低迷によりエネルギー消費が減少したこと及び省エネ政策によりエネルギー効率が向上したためと考えられる。省エネ政策や再生エネルギー利用は今後も継続的に発展することが見込まれるが、一方では原発の停止により火力発電用石油・天然ガスが増えることは避けられず、当面は石油・天然ガスの消費量が増加することが考えられる。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇13 消費量(4)

2014-09-28 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0325BpOilGas2014.pdf

 

(重みを増すアジア・大洋州!)
(4)地域別の消費量の推移(1990年~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G03.pdf 参照)
 全世界の消費量に占める地域別の割合の推移を見ると1990年は欧州・ユーラシアが世界全体の40%を占めて最も多く、次いで北米が31%、アジア・大洋州が17%を占め、その他の地域(中南米、中東及びアフリカ)は13%であった。欧州・ユーラシアと北米を合わせた欧米先進国だけで全世界の4分の3近くの石油・天然ガスを消費しており、これに新興国家が多いアジア・大洋州を加えると9割近くに達する。

 その後欧州・ユーラシア地域の消費量は緩やかに減退し1990年代半ば以降は37百万B/D前後で推移している。これに対し1990年に17百万B/Dであったアジア・大洋州の消費量は年々上昇し、2011年には北米、欧州・ユーラシアを抜き去り、2013年には4,148万B/Dに達し世界で最も多く石油・天然ガスを消費する地域となっている。

(続く)
 
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月27日)

2014-09-27 | 今日のニュース

・イラン石油相、原油価格低落阻止で共同歩調をとOPECメンバーに呼びかけ

・EUエネルギー委員長:天然ガス供給でロシアとウクライナが合意、ウクライナは未払い31億ドルを年内に支払い

 

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇12 消費量(3)

2014-09-27 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0325BpOilGas2014.pdf

 

(ジリジリ上がる天然ガスの比率。2013年は40%弱!)
(3)石油と天然ガスの消費量の推移(1990年~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G02.pdf参照)
 1990年から2013年までの石油と天然ガスの合計消費量の推移を追ってみると、1990年の石油と天然ガスの消費量は石油が6,676万B/D、天然ガスは1兆9,601億㎥(石油換算3,378万B/D)であった。合計すると石油換算で1億54万B/Dとなり、両者の比率は石油66%、天然ガス34%であった。

 その後消費量は2009年を除き2013年まで毎年増加の一途をたどり、2013年の消費量は石油換算で1.49億B/D(内訳:石油9,133万B/D、天然ガス3.3兆㎥)であり1990年の1.5倍に達している。石油と天然ガスそれぞれにについて見ると、石油は1.4倍、天然ガスは1.7倍と天然ガスの伸び率は石油より高い。この結果、2013年の消費量に占める石油と天然ガスの比率は61%及び39%であり、天然ガスの比率は過去20年の間に5ポイント上昇している。地球環境問題の高まりにより石油に比べてCO2発生量が少ない天然ガスの導入が進んだことがわかる。特に日本の場合は原発の新設がほぼ不可能になり、既設原発の再稼働にも多くの制約が課されるであろうことを考慮すると、燃料調達コストの問題はあるにしても今後天然ガスの比率が増えることは間違いないであろう。

(続く)
 
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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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今週の各社プレスリリースから(9/21-9/27)

2014-09-27 | 今週のエネルギー関連新聞発表

9/22 国際石油開発帝石    アゼルバイジャン共和国 カスピ海ACG鉱区生産分与契約調印20周年記念式典の開催について(お知らせ) http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2014/20140922.pdf
9/22 石油連盟    石油連盟ホームページアンケート調査結果について(2014年度第1回「SS(サービスステーション)の利用について」) http://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2014/09/22-000706.html
9/23 Total    USA: Total sells its midstream Utica assets to a group of Korean companies - See more at: http://www.total.com/en/media/news/press-releases/usa-total-sells-its-midstream-utica-assets-group-korean-companies#sthash.67BJQW7a.dpuf http://www.total.com/en/media/news/press-releases/usa-total-sells-its-midstream-utica-assets-group-korean-companies
9/25 shell    Joint Shipping Initiative funds new phase of anti-piracy project in Somalia http://www.shell.com/global/aboutshell/media/news-and-media-releases/2014/joint-shipping-initiative-funds-new-phase-anti-piracy-project-in-somalia.html

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇11 消費量(2)

2014-09-25 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0325BpOilGas2014.pdf

 

(米国は石油も天然ガスも世界一の消費国。一国で世界の5分の1を消費!)
(2)2013年の石油と天然ガスの国別消費量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-T01.pdf 参照)
 消費量を国別に見ると、世界で石油と天然ガスの合計消費量が最も多いのは米国である。同国の消費量は石油換算で3,160万B/D、実に世界の5分の1強の石油と天然ガスを消費しているのである。米国は2位中国の2.3倍を消費しており米国が如何にエネルギーを大量消費しているかが解る。

 米国に次いで消費量が多いのは中国の1,354万B/D(石油換算)である。同国は石油の消費量は世界2位(1,076万B/D)、天然ガスは世界4位(石油換算279万B/D)であり、天然ガスの消費量は石油の4分の1弱である。第3位はロシアの1,044万B/Dで以上3カ国が石油と天然ガスの合計消費量が1千万B/Dを超えている。日本は第4位で合計消費量は657万B/D、内訳は石油455万B/D、天然ガス1,169億㎥(石油換算201万B/D)である。日中両国を比較すると、石油消費量は中国が日本の2.4倍、天然ガスは1.4倍であり、それぞれの国における石油と天然ガスの構成比は日本が69%(石油)対31%(天然ガス)、中国は79%対21%となっており、日本は天然ガスの構成比率が高い。

 5位以下10位までは、サウジアラビア(合計消費量485万B/D、石油63%、天然ガス37%)、イラン(同480万B/D、42%、58%)、インド(同461万B/D、81%、19%)、カナダ(同417万B/D、57%、43%)、ドイツ(同382万B/D、62%、38%)、ブラジル(同362万B/D、82%、18%)と続いている。

(続く)
 
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月25日)

2014-09-25 | 今日のニュース

・中東危機、中国の需要低迷にもかかわらず原油価格2年来の安値。Brent$95.78, WTI$91.40

・ガス圧入により2015年に炭酸ガス80万トン削減:ナイミ・サウジ石油相、気候変動会議で表明

・UAE石油相:OPEC生産枠削減は時期尚早、OPEC事務局長の減産提言を退ける

・EU、制裁解除後のイラン産ガス輸入を企図、ロシアからの輸入代替が目的

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月24日)

2014-09-24 | 今日のニュース

クウェイト石油、2020年までに石油365万B/D、天然ガス日産15億立法フィートの増産めざしコンサルタント入札を実施、ExxonMobilなど5社指名

・仏Total、生産量・利益減少に歯止めかからず。資産売却急ぐ。 *

 

*Total業績は「五大国際石油企業2013年業績速報」参照。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0298FiveMajors2013.pdf

 

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇10 消費量(1)

2014-09-23 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0325BpOilGas2014.pdf

 

3.世界の石油と天然ガスの消費量
(拮抗するアジア、北米、欧州・ユーラシアの3地域!)
(1)2013年の石油と天然ガスの地域別合計消費量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G01.pdf 参照)
 2013年の世界の石油消費量は日量9,133万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの消費量は年間3兆3,476億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの消費量を石油に換算すると5,769万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの消費量は1億4,902万B/Dとなる。両者の比率は石油61%、天然ガス39%でほぼ3:2の割合である。

 消費量を地域別に見ると、アジア・大洋州が4,148万B/D、北米3,921万B/D、欧州・ユーラシア3,699万B/Dと並んでおり、これら3地域が世界に占める割合は8割に達する。但し各地域の石油と天然ガスの比率にはそれぞれ違いがあり、アジア・大洋州は石油の比率が73%に対して天然ガスは27%である。一方欧州・ユーラシアは石油と天然ガスの比率がそれぞれ50%ずつを占め、北米の場合は石油59%に対して天然ガスは41%で世界全体の比率と同じである。世界的に見ると上述の通り石油がエネルギーの太宗を占めているが、欧州・ユーラシア地域はロシア・中央アジアなど天然ガスの生産地と西ヨーロッパの消費地が陸続きのためパイプライン網による天然ガス利用が発達したという歴史的経緯がある。ヨーロッパでは天然ガスは家庭用・発電用燃料として使われ、一方石油の用途は輸送用燃料(ガソリン、ディーゼル)或いは石油化学原料が一般的であり、天然ガスと石油の利用が相半ばしているのである。

 これら以外の3地域(中南米、中東、アフリカ)は全て併せても20%強に過ぎず、それぞれの世界消費に占めるシェアは中東11%、中南米6%、アフリカ4%である。石油及び天然ガスの消費が先進国及びアジアの新興工業地帯に集中していることがわかる。

(続く)
 
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇9 生産量(4)

2014-09-20 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0325BpOilGas2014.pdf

 

(再び世界一の座を取り戻した米国!)
(4)ロシア、米国等主要国の生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-2-G03.pdf 参照)
 ここでは2013年の生産量上位4カ国(米国、ロシア、サウジアラビア、イラン)に中国、カタール及びブラジルを加えた7か国について2000年以降の生産量の推移を見ることとする。

 2000年における石油・天然ガス合計生産量は米国が1,709万B/D(内訳:石油773万B/D、天然ガス5,432億㎥、石油換算936万B/D。以下同じ)でトップであり、ロシアは1,569万B/D(658万B/D、5,285億㎥、911万B/D)であった。その後、米国は生産量が減少、一方のロシアは増加したため2002年には両国の順位が逆転した。その後両国の差は年々大きくなり2005年の生産量はロシアが1,960万B/D、米国は1,571万B/Dと両国の差は400万B/Dまで拡大した。しかし米国の生産が2005年を底に上向きに転じる一方、ロシアはその後横這い或いは微増にとどまっている。この結果2013年の生産量はロシアの2,121万B/Dに対し米国は2,185万B/Dで10年ぶりに再び米国が世界一の石油・天然ガス生産国になった。

 サウジアラビアの場合は従来から石油の比率が圧倒的に高く、2000年の生産は石油が947万B/D、天然ガスは86万B/D(石油換算)で石油はガスの11倍であった。その後同国の石油生産は常時1千万B/D前後で推移する一方、天然ガスの生産は毎年前年を上回る増加を続けている。この結果2013年の生産量は石油1,153万B/D、天然ガス178万B/Dの合計1,330万B/Dに達し、石油はガスの6.5倍となり天然ガスの比率が上がっている。

 カタールは2000年時点では石油と天然ガスの生産量はそれぞれ85万B/D、41万B/D(合計126万B/D)であり、石油が天然ガスを上回っていたが、その後天然ガスの生産が急速に拡大し、2006年には倍増、さらに2013年には石油換算で273万B/Dに達している。この結果、2013年の石油・天然ガスの合計生産量は2000年の3.8倍の473万B/Dを記録するとともに、石油と天然ガスの比率は石油42%に対し天然ガスは58%と逆転している。

 中国は2000年以降着実に生産量が増加しており、2000年の373万B/Dから2013年には620万B/Dの1.7倍に増えている。イランも中国同様2011年までは着実に増加し、2000年の合計生産量488万B/Dが2011年には1.5倍の711万B/Dに増加した。しかしその後、核開発疑惑をめぐる欧米諸国の禁輸制裁の結果、2012年、2013年と2年連続して減少、2013年の石油・天然ガスの合計生産量は643万B/Dにとどまっている。天然ガスは全量国内消費のため生産量は微増すると見込まれるが、原油の生産は経済制裁解除の成否にかかっており今後も厳しい見通しである。

 ブラジルの生産量は上記の国々に比べて必ずしも多くないが、2013年の生産量は2000年に比べて1.8倍である。これは6カ国の中ではカタールに次いで高い伸び率であり、ロシア、米国の1.3倍に比べかなり大きく今後の生産量増加が期待される。

(石油+天然ガス篇 生産量完)

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