(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してお読みいただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0297JapanAbuDhabi.pdf
2.アブダビ油田操業に対する日本企業の参入状況及び利権延長問題 (続き)
(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-2-53.pdf 参照)
*出典:JOGMEC発行「石油・天然ガスレビュー」2013.11 Vol.47 No.6 P55-68 「アブダビの石油天然ガス開発をめぐる現況」)
II. 陸上油田
Abu Dhabi Company for Onshore Operation (ADCO) (Bu Hasa油田、Bab油田、Asab油田他)
利権保有比率: ADNOC 60%, ExxonMobil, BP, Shell, Total 各9.5%, Partex 2%
利権更新期限: 2014年1月11日(利権失効状態)
生産量: 1,395,000B/D (目標生産量:2017年 1,816,000B/D)
アブダビ陸上における石油・ガスの開発生産は現在ADCOが一元的に行っている(海上鉱区ではADMA-OPCO, ZADCOなどが油田毎に利権操業しているのとは異なった形態である)。ADCOの利権は国営石油ADNOCが60%を保有し、その他はExxonMobil, BP, Shell, Totalの国際石油企業(International Oil Companies, IOCs)が各9.5%、Partexが2%を保有している。
実はADCOの外国企業の利権は今月11日に失効しており、現在はADNOCの100%管理下でIOCが引き続き操業を請け負う形態となっている。この問題について既にアブダビは外国石油企業に対して新しい合弁事業の入札を募り、昨年10月に既存の4社(Pertexを除くExxonMobil, BP, Shell, Total)の他、CNPC(中)、Eni(伊)、INPEX(日)、韓国石油公社、Occidental(米)及びStatoil(ノルウェー)の10社が応札している。現在各社の提案を比較検討中と思われる 。
新しい事業形態がどのようなものになるか不明であるが、地元メディアは現在の利権区域を4分割し、それぞれをADNOCと外国企業1社により操業させる案が有力であると報じている。その4鉱区とは(1)南東鉱区(Asab, Sahil, Shah, Qusahwira及びMender油田)、(2)Bab及びガス鉱区、(3)Bu Hasa, Huwaila及びBida al-Qemzan鉱区、(4)北東Bab鉱区(Al-Dabbiya, Rumaitha及びShanayel鉱区と見られる 。
ADNOCのDirector General (Abdulla Nasser al-Suwaidi)は1月の現行利権失効後も当面現状の操業を続けると述べているが、来年までには期間20年の新利権契約が締結されるものと見られる 。INPEXが提案企業10社の中に残っていることから、同社が陸上鉱区に参入できる可能性も残されているのである。
(続く)
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