(石油関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
(中東関連ニュース)
・6回目の人質交換。イスラエル人10人/タイ人4人とパレスチナ人30人。
・米CIAとイスラエルモサドトップ、カタールでハマスと休戦、人質問題協議。
*「クウェイト・サバーハ家家系図」参照。
・アラブ/イスラム主要国外相、ニューヨークで中国外相と会談。
(石油関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
(中東関連ニュース)
・6回目の人質交換。イスラエル人10人/タイ人4人とパレスチナ人30人。
・米CIAとイスラエルモサドトップ、カタールでハマスと休戦、人質問題協議。
*「クウェイト・サバーハ家家系図」参照。
・アラブ/イスラム主要国外相、ニューヨークで中国外相と会談。
*表「1-M-03 Fortune 500 Hundred」参照。
(2位以下に4倍の差をつけるアラムコの利益!)
2.利益別順位
利益が最も多いのは売上順位と同じくサウジアラムコである。同社の利益は1,600億ドルに達し、2位カタールエネルギー(420億ドル)の4倍である。因みに利益額のトップ10位は以下のとおりである。
順位 企業名 国名 利益(百万ドル) 業種
1 Saudi Aramco Saudi Arabia 160,914 エネルギー(石油、天然ガス)
2 QatarEnergy Qatar 42,455 エネルギー(石油、天然ガス)
3 International Holding UAE 8,868 複合投資
4 Saudi National Bank Saudi Arabia 4,990 銀行
5 Al Rajhi Bank Saudi Arabia 4,569 銀行
6 Saudi Electricity Co Saudi Arabia 4,032 電力
7 QNB Group Qatar 3,969 銀行
8 Kuwait Petroleum Corp Kuwait 3,945 エネルギー(石油、天然ガス)
9 OQ SAOC Oman 3,862 エネルギー(石油、天然ガス)
10 First Abu Dhabi Bank UAE 3,654 銀行
上位10社の業種別内訳は金融業(銀行及び投資企業)が5社、石油・天然ガスのエネルギー企業4社、電力1社であり、エネルギー企業と金融業が高い利益を計上している。但し利益額は1位のアラムコが4桁(1,600億ドル)、2位のカタールエネルギーが3桁(420億ドル)であるのに比べ、3位以下は二桁台の利益であり、利益格差が非常に大きいのが特徴である。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(21)
084 第一次オイルショック ー 石油を武器に! (1/3)
10月6日の開戦を控えた8月23日、エジプトのサダト大統領は極秘裏にサウジアラビアのリヤドを訪問、ファイサル国王にイスラエル攻撃に参加するよう要請した。このとき単なる派兵だけではない、戦局を左右する重要な戦略が編み出された。それが石油戦略であった。当時既に石油は「産業の米」として世界経済に欠かせないエネルギー資源となっていた。世界の石油は未だセブン・シスターズを筆頭とする欧米の石油企業に牛耳られていたが、OPEC(石油輸出国機構)を結成した産油国は侮りがたい力を発揮し始めていた。
イスラームの守護者を自認するサウジアラビアにとって、パレスチナ難民を再び祖国に帰還させ、さらにマッカ、マディナに次ぐ第三の聖地であるエルサレムをイスラエルから取り戻すことはサウド家に課せられた使命である。それは第二次大戦直後の1945年、ファイサルの父アブドルアジズ初代国王が米国大統領ルーズベルトに語った言葉を守ることでもあった。スエズ運河のビター湖上で会談したルーズベルトはアブドルアジズにユダヤ人とアラブ人の紛争の仲介を求めた。この時アブドルアジズはユダヤ人のパレスチナへの移住を止める以外に解決の方法はないとはっきり断言したのである。しかしその後の三度にわたる中東戦争の結果、パレスチナ難民の帰還という希望は遠のく一方であった。
ファイサルはサウジアラビアが手にした石油という武器で永年の悲願を実現するチャンスがめぐってきたと確信した。ファイサルは腹心のヤマニ石油大臣を周辺の産油国に派遣して同調を求めた。クウェイト、UAEなど湾岸諸国は言うに及ばず、リビア、アルジェリアなどの北アフリカ諸国およびイラク、さらにはイランも石油戦略に参加することを約束した。第四次中東戦争が勃発し石油戦略が発動されると、この武器が想像をはるかに超える威力を発揮することが証明されるのである。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
(石油関連ニュース)
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・OPEC+会議を前にBrent原油80ドルすれすれ、WTIは$75.10。
・トルコ/ロシア:ヨーロッパ向けガスパイプラインハブ建設で合意の兆し。
(中東関連ニュース)
・ガザ紛争、休戦2日間延長に合意:カタール政府発表。人質解放58人に。
・イスラエル、シリアのダマスカス空港を3度目の空爆。運航不能に。
*「世界主要国のソブリン格付け(2023 年 8 月現在)」参照。
・森財団都市総合ランキングでドバイが中東地域でトップ、世界8位に。
米国のビジネス誌Fortuneがアラブ世界の大企業500社番付を発表した[1]。アラブ22カ国の500社を売上高(revenue)によってランク付けしたものである。この資料には各社の売上高のほか、利益、資産、従業員数、業態等が示され、また上場企業についてはMarket value(市場総額)も明記されている。アラブ圏の民間経済を理解する一助になると思われるのでここにその概要を紹介する。
*表「1-M-03 Fortune 500 Hundred」参照。
(トップは売上高6千億ドルのサウジアラムコ!)
1.売上高上位10社の顔触れ
上位10社は以下のとおりである。
順位 企業名 国名 売上高(百万ドル) 業種
1 Saudi Aramco Saudi Arabia 603,787 エネルギー(石油、天然ガス)
2 Kuwait Petroleum Corp. Kuwait 106,597 エネルギー(石油、天然ガス)
3 Sonatrach Spa Algeria 60,000 エネルギー(石油、天然ガス)
4 QatarEnergy Qatar 51,903 エネルギー(石油、天然ガス)
5 OQ SAOC Oman 39,152 エネルギー(石油、天然ガス)
6 The Emirates Group UAE 32,620 航空輸送
7 Qatar Airways Qatar 20,836 航空輸送
8 National Bank of Egypt Egypt 20,106 銀行
9 Saudi Electricity Co. Saudi Arabia 19,202 電力
10 QNB Group Qatar 18,503 銀行
番付のトップはサウジアラビアのサウジアラムコ社であり、売上高は6千億ドルを超え、2位クウェイト石油の1,070億ドルを大きく引き離している。両社とも石油の開発・生産・精製・流通を事業とするサウジアラビア及びクウェイトの国営エネルギー会社である。3位から5位までも同じく国営エネルギー会社であり、アラブの5大企業はすべてエネルギー企業である。MENA(中東北アフリカ)地域は世界最大の石油及び天然ガスの埋蔵地帯であることがその背景である。
6位と7位にはUAE及びカタールの航空会社がランク付けされている。売上高はUAEのエミレーツ航空が326億ドル、カタール航空は208億ドルである。さらに8位から10位には銀行(エジプトナショナル銀行及びカタールナショナル銀行)及びサウジ電力が売上高190億ドル前後で並んでいる。
後述する通り上位10社のうち上場企業は1位のサウジアラムコおよび9位(サウジ電力)、10位カタールナショナル銀行の3社のみであり、他は非上場の国営企業である。これらのことからわかるのは、アラブ諸国では石油あるいは天然ガスを生産する国営企業がオイル(ガス)マネーを生み出し、そのマネーで金融業が巨大化し、また国内インフラの基本となる資本集約型の発電事業が発達、さらに対外的な国威発揚策として航空運輸業に資本が投下されていると言えよう。
10位以下について売り上げ規模で見ると、25位のAl Rajhi銀行(サウジアラビア)までが売上高100億ドルを超えており、41位Fertiglobe社(UAE、化学企業)までが50億ドルを超える企業である。152位以下の企業は売上高が10億ドル未満、500位のObeikan硝子会社の売上高は1.3億ドルである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
[1] https://fortunearabia.com/en/Home/Fortune-500-Arabia 参照。
(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(20)
083 第四次中東戦争ー智将サダトの登場 (4/4)
10月6日、エジプトとシリアの二正面作戦により戦いが始まった。この戦争は通常第四次中東戦争と呼ばれているが、アラブ側は「ラマダン戦争」、イスラエル側では「ヨム・キプール戦争」と呼ぶ。イスラム教とユダヤ教の宗教戦争であることを示している。これまでの中東戦争は1948年の第一次中東戦争が「イスラエル独立戦争」、1956年の第二次中東戦争が「スエズ(運河)戦争」、そして1967年の第三次中東戦争は「6日戦争」と呼ばれた。宗教色を明確に持ち出したのは第4次中東戦争が初めてである。アラブ側もイスラエル側もそれぞれの国民に宗教すなわち「心(信仰)」の絆を思い起こさせることが重要だったに違いない。特に奇襲攻撃を受けたイスラエル側は「ヨム・キプール」の日に奇襲を受けたことは国民を鼓舞するに十分だったと思われる。太平洋戦争のハワイ真珠湾攻撃を米国は宣戦布告のない奇襲とし「リメンバー・パールハーバー」を合言葉に米国民の戦意を駆り立てたのと似た構図である。
奇襲攻撃緒戦のエジプト・シリア合同軍は破竹の勢いであった。しかしサダトはアラブ側の優勢が長続きしないことを覚悟していた。そのため彼はもう一つの作戦を立てた。アラブ産油国を巻き込み石油を武器に欧米やアジアの石油消費国をアラブの味方につけること、それが無理としても少なくともイスラエルと欧米の間に楔を打ち込むことであった。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
(石油関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
(中東関連ニュース)
・イラン外相、ヒズボッラートップとレバノンで会談、その後カタールへ。
11/20 コスモエネルギーホールディングス
株主総会検査役の選任に関するお知らせ
https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/news/2023/11/20-2/pdf/231120jp_02.pdf
11/20 石油連盟
木藤 石油連盟会長定例記者会見 発言要旨・配布資料
https://www.paj.gr.jp/news/817
11/20 TotalEnergies
TotalEnergies Completes the Sale of its Upstream Canadian assets to Suncor
https://totalenergies.com/media/news/press-releases/totalenergies-completes-sale-its-upstream-canadian-assets-suncor
11/21 出光興産
人事異動に関するお知らせ
https://www.idemitsu.com/jp/content/100044279.pdf
11/21 出光興産
CNX戦略本部の設置について ~社内体制を強化し「一歩先のエネルギー」の社会実装を加速~
https://www.idemitsu.com/jp/news/2023/231121_2.html
11/22 OPEC
187th OPEC Conference, 51st JMMC Meeting and 36th ONOMM moved to 30 November
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7260.htm
11/23 OPEC
187th OPEC Conference, 51st JMMC Meeting and 36th ONOMM to be held online on 30 November
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7261.htm
(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(19)
082 第四次中東戦争ー智将サダトの登場 (3/4)
サダトは合理的かつ緻密な手法でイスラエルに「一泡吹かせる」戦略を考えた。その戦略とは敵の裏をかいて短期間で戦果を挙げることであった。周囲を敵に囲まれたイスラエルは常に油断を怠らない。さらに実際に戦端を開きそれが長期化するとアラブ側に全く勝ち目が無いことはこれまでの中東戦争で明らかであった。
そこでサダトはまずイスラエルを油断させる陽動作戦をしかけた。エジプトが攻撃の素振りを見せるとイスラエルは直ちに全国民に動員令を敷いた。これは全くの見せかけでイスラエルは無駄足を踏まされた。この作戦は二度実施され、さすがにイスラエル国内には厭戦気分が生まれた。さらにこれまでの中東戦争で連戦連勝であったイスラエル国民には慢心と油断があった。
1973年、サダトは隠密裏にシリアにも働きかけ10月6日を期して奇襲攻撃を行うことにした。10月6日には宗教上の大きな意味が二つあった。一つはこの日がユダヤ歴で最も神聖な「ヨム・キプール(贖罪の日)」であったこと、そしてもう一つはイスラーム教徒にとっても神聖な「ラマダン(断食)月」だったのである。世界に名をとどろかせるイスラエル諜報機関すら全く予想だにしないことであった。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
(石油関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
・石油需給予測硬軟入り交じる。Brent $82.45, WTI $77.76。
(中東関連ニュース)
・ガザ紛争4日間停戦で合意。ハマス側50人、イスラエル側150人を解放。
・アラブ/イスラム外交団、安保常任理事国を歴訪。英でキャメロン外相と会談。
・レバノン国境のハマス/イスラエル衝突激化。イラン外相、ヒズボラと会談。
・エジプト、クウェイトで米系ファストフード店ボイコットの動き広まる。
・イエメンフーシ派:引き続きイスラエル関連船籍は拿捕と警告。
・日本のHIS、サウジ観光局とMoU締結。サウジ向け観光振興目指す。
*HISプレスリリース参照。