(注)本シリーズ1~18は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0417BpOil2017.pdf
2017.6.30
前田 高行
2.2016年の世界の石油生産量
(世界の石油生産量の3分の1を占める中東地域!)
(1) 地域別生産量
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-2-G01.pdf参照)
2016年の世界の石油生産量は日量9,215万バレル(以下B/D)であった。これを地域別でみると中東が3,179万B/Dと最も多く全体の34%を占めている。その他の地域については北米1,927万B/D(21%)、欧州・ユーラシア1,772万B/D(19%)、アジア・大洋州801万B/D(9%)、アフリカ789万B/D(9%)、中南米747万B/D(8%)である。2013年までは欧州・ユーラシアの生産量が北米を上回っていたが、現在では北米が中東に次ぐ世界第二位の石油生産地域になっている。
各地域の生産量と埋蔵量(石油篇1参照)を比較すると、埋蔵量のシェアが生産量のシェアより高い地域は中東及び中南米であり、その他の地域(北米、欧州・ユーラシア、アフリカ、アジア・大洋州)は生産量のシェアが埋蔵量のシェアよりも高い。例えば中東は埋蔵量では世界の48%を占めているが生産量は34%に過ぎない。中南米も埋蔵量シェア19%に対し生産量シェアは8%である。一方、北米及び欧州・ユーラシアの場合、埋蔵量シェアがそれぞれ13%、9%に対して生産量のシェアは21%及び19%である。またアジア・大洋州も生産量シェアが埋蔵量シェアを6ポイント上回っている。このことから地域別に見て将来の石油生産を維持又は拡大できるポテンシャルを持っているのは中東及び中南米であることが読み取れる。
(3年連続で米国が生産量世界一、米、サウジアラビア、ロシアの3か国でトップを競う!)
(2) 国別生産量
(表http://bpdatabase.maeda1.jp/1-2-T01.pdf参照)
次に国別に見ると、最大の石油生産国は米国である。同国の2016年の生産量は1,235万B/Dである。第2位はサウジアラビアであるがその差はわずか5千B/Dである。次いでロシアが1,123万B/Dで第3位である。かつて1980年代の旧ソ連時代にはロシアが世界最大の産油国であり、その後1990年代以降20年近くはサウジアラビアが世界一に君臨し、2010年代に入ると両国が世界トップを争う形であった。しかし2013年以降米国の生産量は急激に増加しロシア、サウジアラビアを追い抜き、2014年から3年連続で世界一となっている。因みに生産量が1千万B/Dを超えるのはこれら3カ国だけであり、3か国が世界に占めるシェアは4割弱に達する。
4位から7位にはイラン(460万B/D)、イラク(446.5万B/D)、カナダ(446.0万B/D)及びUAE(407万B/D)が400万B/D台で並んでいる。イランは欧米の禁輸措置により輸出量が激減し、2011年の4位から2012年には6位、2013年から2015年までは7位と順位を落としたが、禁輸制裁が解除され生産量が回復し4位に浮上している。さらに8位は中国(399.9万B/D)、9位がクウェイト(315万B/D)と続き、10位以下は300万B/D以下である。
10位以下20位までの国とその生産量は以下の通りである。
ブラジル(261万B/D)、メキシコ(246万B/D)、ベネズエラ(241万B/D)、ナイジェリア(205万B/D)、ノルウェー(200万B/D)、カタール(190万B/D)、アンゴラ(181万B/D)、カザフスタン(167万B/D)、アルジェリア(158万B/D)、英国(101万B/D)、オマーン(100万B/D)。
(続く)
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