ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

首都高実験

2008年04月06日 | ITS
スマートウェイの実験は、昨年(2007年)の5月から9月の間、首都高で行われ、10月の「スマートウェイ2007」(有楽町東京フォーラム)でその報告を兼ねた体験乗車などが行われたことは、このブログでも紹介したとおり。

で、これを受けて表示内容などに改善を加え、2007年12月からは首都高の実験も「試用運行」のフェーズに入っている。まあ、表示内容のチューニングといったレベルの改善であるが、いずれにしても実験はまだ継続して行われている。

それに関連して、国交省国土技術政策総合研究所高度道路交通システム研究所からITS車載器のヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)に関する論文が発表されている。

まあ、私が憂えていたとおり、この論文でも「参宮橋で事故が8割減ったのはVICSサービスによるもの」とあっさり断定している。結局、実証実験なんてのは都合の良いようにしか使われないのだ。

それはそれとして、気になったのは「合流支援」に関する次の下り。

引用
「本線側車両への情報提供としたのは、優先権のある本線側に付加的に注意喚起する内容に留めることで、センサ検知漏れや車両検知器検出誤差等による欠報時の過信を最小に抑えるためである。」

つまり、合流の注意喚起は優先通行である本線側だけに行った。なぜなら、本線側は優先権があり回避責任がないので警報に漏れや誤報があってもそれを過信して事故になる可能性が低いためである、ということだ。

実験段階なのでリスクが低い方向で進めるというのは十分理解するが、実はこれは路車間や車車間通信による安全運転支援の持つ本質的な問題なんじゃないかと思う。