ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

急発進防止装置

2009年06月06日 | ITS
自動車用品製造販売のサン自動車工業が急発進防止装置を発売する。

最近、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故が多発している。これはドライバーの高齢化によるものと言われており、実際に報道を見る限り事故の運転者はシニアドライバーのケースが多い。
しかし実際には免許取りたての若年層でも発生率は高く、近年の若者のクルマ離れにより、運転頻度低下や未熟ということもあるのだろう。

首都高速における平成19年度の死亡事故は19件。20人の方がなくなっている。このうち5人が2輪車。
一方でペダル踏み間違えによる死傷者数は全国で1万人以上。死亡者の数字はわからなかったが、高速道路のDSRCで路車間通信なんかやるより、こちらの対応が先だと思うのだが、どうなんだろう。

冒頭で紹介したとおり、これに対応する商品が発売された。
フルスロットルを抑制する装置でありちょっと乱暴に感じるが、車速検知や学習機能を備えているという。
そもそもこの装置をつけようというドライバーは通常運転で急発進はしないだろう。
滅多にはないだろうが、急坂での発進や踏切内など急発進で危険避難するケースをどうするかが気になる。(急坂は傾斜センサーで回避できそうだね)
これは確かに注目に値する商品だと思う。

本来はこうした制御こそ、国が研究補助し、カーメーカーを指導する分野ではないのだろうか。たとえばバックではフルスロットル出来ないようにするだけでも事故死者がかなり減るのではないか。
あるいは、ITS技術を使うならGPSの位置情報で道路外(駐車場など)ではフルスロットルを制御するなんて、カーメーカーなら今ある技術ですぐできる。
実際にGT-Rはサーキットではスピードリミッターが解除されるという、逆の制御をしている。

アメリカではヒラリークリントンが音頭を取ってSUVへのリヤビューカメラを法制化しようという動きがある。年間100人以上の子供が車庫でなくなっている米国では、これはかなり有効だろう。

一方で我が国のITSは何をしているのだろうか。

ハッキリ言ってスマートウェイでどれだけ事故死者が減るのか。高速道路における認知遅れに起因する事故死は我が国の交通事故死者の何パーセントか?おそらく数パーセントだ。

ITSに関連した政策は交通事故死低減への実効性よりも、通信を使ったハイテクなシステムを世界で一番最初に実用化することの方が優先されているように感じられて仕方がない。

ITSのインフラ

2009年06月06日 | ITS
占いの類は1mmも信じないが、プレゼンとか英語スピーチのある朝、でかけに「今日一番悪い運勢はごめんなさい~、みずがめ座のあなた。大事な場面で言葉が出なくて大失敗。」とか言われるとかなりへこむ。謝るくらいならやるなよ、と思う。
「でも大丈夫、ラッキーアイテムはピンクのセカンドバッグ」っていわれてもねぇ。

富士キメラ総研は「2009年版ITS関連市場の現状と将来展望」で、「国が働きかけないとITSサービスは普及しない」と指摘している。そして、それは以前から指摘されていたことだ、とも言っている。
しかし、この会社、2006年版では「DSRC車載器では、高速道路に限定されず一般道や商業施設で利用できるため、市場拡大が期待できる。」とし、2008年には本格的な普及が始まる、といっていたのだ。

自社の予測がはずれたのは国のインフラ整備が進まないからだ、と言っているように見える。

これは全然違うだろう。そもそも商業施設での利用が夢物語で、そこに全くユーザーニーズが存在していないのだ。
当ブログ2005年12月16日エントリー

一昨日だったか、日刊自動車新聞にETCの大きな記事が出ていた。
今後ETCに路車間通信による安全運転支援機能を取り入れたITS車載器がでてくるが、国交省の5.8GhzDSRCと総務省の700MhzアナログTV波空き地の二つの方式についての整合性が取られていないことから未だに不透明である、というような結論だった。

まあ、それは事実だろうが、問題の核心はインフラではない。
路車間通信が本当に必要なら、VICSビーコンはもう少し違った展開をしていたはずだ。ビーコンは通信速度(情報量)に問題があるから使えなかった、という人もいるけど、そうじゃないだろう。
インターネットはブロードバンドがあるから普及したのではなく、インターネットがあるからブロードバンドが普及したわけで、それは逆なのだ。

そもそものニーズが本当に存在しているのか、ということをよく考えた方がい。