ITSを疑う

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プローブ情報の官民一元化

2010年06月11日 | ITS
ITSジャパンは2010年度総会で、プローブ情報の官民一元化を発表した。2011年には実証実験を行うという。

民間企業のもつプローブ情報は重要な資産であり、これを一元化するという話には相当の抵抗があるに違いない。
もう4年以上前の記事だが、ホンダの今井氏は官のプローブへの参入に対して「プローブは民間で十分対応が可能となっている、そこに税金を投入するのはおかしい」「官は路車間通信による安全向上を進めるべきだ」と述べている
はたしてプローブの資産を抱える民間企業は皆合意したのだろうか。

一方で、実はプローブによる渋滞情報が言うほどのキラーコンテンツではない、ということもわかってきた。
この仕組みがナビゲーションに導入されてからずいぶんたつが、普通の消費者はプローブという言葉はおろか、その仕組みや存在すらよく理解していない。

市販市場で最も積極的にプローブを進めてきたパイオニアがナビの世界で一人勝ちしているわけでもない。むしろ2009年は廉価ナビで出遅れ苦戦した。
インターナビがあるからホンダの車を買う、という話もあまり聞かない。
インターナビは車検のディーラー入庫を条件に通信料を無料にしたが、それでもさほど話題になっているとも思えない。

プローブ情報が官の主導で統一され、精度の高い情報がVICSのように全てのナビで使えたら、ユーザーとしては喜ばしいことだ。でも結局、VICSの精度が多少良くなる、程度の認識しか一般の消費者にはないだろう。
VICSの精度に不満を持つ人は多いが、より精度を向上させるために対価を払う人は決して多くないのだ。