ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

上海近況

2012年12月01日 | 上海生活
尖閣問題で日中関係が火を吹いてからまだ日は浅いが、少なくともここ上海では日本人を排斥するような行動は見られない。
街に出て買い物や食事も、以前と変わらない状況になっていると感じる。
それでもまだ多くの日本企業が中国出張を規制しているらしいが、これは「万が一のことがあったら吊るし上げられるから」という過剰リスク管理だろう。

こちらにきて強く感じたことは、「普通の」中国人は日本で思っているような人たちではないということ。

商店の略奪とか、路上で倒れた人を放置するとかいう報道が中国人一般のイメージを形成していると思うけど、それはかなり特殊な人達でしかない。
確かに上海は最も国際化された都市なので、そういったことが少ないのも事実だが、普通の中国人はむしろ日本人よりも人間味がある。

例えば、バス、地下鉄で年寄りに席を譲る若者は日本よりはるかに多い。日本では月に一度目にするかどうかという光景が、上海では日常的に行われている。

今朝は朝食に路上の葱餅を買いに行ったが、そこはお客の側に缶がおいてあって、そこにお客がお金を入れ、自分でお釣りをとる仕組み。
それをひったくる人やごまかす人がいるならそんなやり方はしていないだろう。

同じ事は中国から見た日本にも言える。
尖閣問題さなかの国慶節休暇で日本旅行に大量のキャンセルが出たが、その理由は日本への嫌悪というより、「今日本に行くと危ない」という理由が多かったという。
これは日本人にとってはびっくりだろう。島の問題があるからと言って中国人に暴行をするなんて夢にも思わない。

これほど、外国の情報は大げさに、あるいは誤って伝わるものだ。

DENSO ITSスポット・スマホ対応車載器の現状

2012年12月01日 | ITS
前回のエントリーで紹介したDENSOのスマートフォンで使えるITSスポット対応車載器、DIU-A050だが、やはり立ち上がりの販売はパッとしないようだ。
まだ発売されたばかりだが、そもそもITSはスポット自体を市場が認知していないから普通の消費者には単に高いETC車載器としか受け止められていないのだろう。

この商品、ごく一部のIT系、車系ネットメディアで取り上げられていたがその論調では「いままでは車載器とナビを両方買い換えなければならず、それが普及の妨げになっていた」が、「ナビを買い替えなくてもITSはスポットが使える」ことがメリットであり普及が期待させる、としている。
たしかにそのとおりだが、根本的な問題はITSスポット自体の商品力なのだ。機器をまるごと買い替えなくてはならないことは、それに輪をかけて普及を阻害する要因でしかない。

実際、現時点でのDIU-A050の価格ドットコム評価はETC車載器で25位と最下位レベル、ユーザーコメントなし。
これは、アンドロイドしか対応していないとか、スマートフォン画面は小さいから無理、とかいう問題ではなく、消費者からは高いETC車載器としてしか認識されていないということだ。

こんな状況なのに高速道路会社はVICSビーコンを旧世代方式として事実上フェードアウトさせて、DSRCのITSスポットに移行しようとしてる。
実際、第二東名にはビーコンは設置されない、という驚くべき決定がさらっと行われた。

しかし、VICSビーコンは既に数百万台の車に装備されている。それを無視して、いつになったら普及するか全く不透明なDSRCだけを設置するというのはいかがなものか?
これが単なる商業施設などの利便性向上に関するものなら、勝手にやればいいことだが、交通安全インフラなんでしょ?

路車間通信は事故防止に役立つといって推進しているのに、今現時点で圧倒的にユーザー数が多いビーコンのインフラを整備しないのはなぜか?これだって交通安全インフラだ。
本当に事故防止を考えているなら、当面はビーコンとDSRCの併用にするべきだろう。

実は事故防止なんて本気で考えていないのだろう。
DSRCによるITSスポット整備拡大という結論ありきで無理やり進めているとしか思えない。

繰り返すけど、これがOSの更新とかであればこうした無理やりな施策もあるだろうが、これは交通安全インフラなのだ。
それを無視できるということは、やってる側が交通安全への寄与なんて大したこと無い、と自覚しているとしか思えない。