ITSを疑う

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トヨタ・マツダ 提携の真意

2015年05月14日 | ITS

トヨタとマツダの業務提携が発表された。

すでにトヨタのハイブリッド技術がマツダに供与され、北米向けのサイオンをマツダがOEM供給するなど、すでに両社の提携は進められていたが、ここにきてその業務提携をさらに拡大するということになる。

報道では主に環境分野で両者の得意技術を補完するということになっている。確かにこれはその通りで、この先燃費規制、CO2規制が強化されるとマツダとしてはハイブリッド技術は今後も必要となる。また将来的にはFCV(筆者は否定的だが)に関してもマツダが自社で開発することはできないだろう。

そうしたトヨタの技術を対等な立場で活用するために、自社のクリーンディーゼル技術をトヨタに供与するというのはマツダにとっては合理的な判断だろう。

一方、トヨタはどうなのか?確かにトヨタはディーゼルエンジンについては遅れている。しかし利益2兆円というトヨタが自社開発できないはずはない。エンジンの開発は非常に大変で膨大な開発費とエンジニアが必要だが、トヨタにできないことはない。

マツダならハイブリッド技術を供与しても強敵にはならない。むしろそれでクリーンディーゼルエンジンを手に入れるほうが得策と判断しただろう。もう一つのポイントは、国産メーカーでは最も進んだマツダのディーゼルエンジン技術を他社にとられないように、自社のハイブリッド技術と引き換えに囲い込んだ、とみることもできる。トヨタとしては最大のライバルであるVWと戦うためにディーゼルエンジンがどうしても必要なのだ。

この提携で苦境に立つのは三菱自動車だ。現在日産へ軽自動車のOEM供給をしているが、国内マーケットが軽自動車中心になり日産も自社生産に意欲をもっていおり、この提携は必ずしも確固としたものではない。

三菱自動車は日本を含む先進国ではほとんどプレゼンスがないが、アジアでは一定のシェアを持っている。ここで三菱自動車が弱体化するとその市場を埋めるのは間違いなくトヨタということになる。この辺もトヨタはしたたかに狙っているのかもしれない。