ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

Apple Watch 中国での状況

2015年07月12日 | ITS

Appleが頑なにApple Watchの販売数量を公表しないのは、もちろん公表することでマーケットにネガティブなイメージを与えてしまうような実績だからに他ならない。そんな中、アメリカにおける日当たり販売数が最近になって急落しているというニュースが入ってきた。

私は最初からあれはかっこ悪いから欲しくないと言ってきた。かっこ良いか悪いかは個人的な問題だからこれ以上のコメントはしない。しかし、果たしてあの商品に「ポケットからiPhoneを取り出す手間をはぶく」以上の付加価値があるのか、ということが大きなポイントだろう。

iPhoneが日本で発売された時に「おサイフ携帯もワンセグもついてない携帯が売れるわけがない」と言っていた人がいた。でも、iPhoneにはそれにまさるユーザーエクスペリエンスがあったということだ。

ユーザーエクスペリエンス(消費者体験と無理して日本語にしてもピンと来ないのでそのまま使うが)は様々な側面がある。便利、愉快、楽しい、使いやすい、人に自慢できる、かっこ良い、などなど、全部の合計点でその商品の価値が決まる。

Apple Watchが発売された時に、「売れないわけがない」「iPodだってiPhoneだって最初は売れなかった」という論調を沢山見たけど、じゃあどこに5万円+に値する「ユーザーエクスペリエンス」があるのかを正確に指摘した記事はまだ見ていない。

私は、実はApple自身この商品の危うさを認識していたのではないかと思う。便利、愉快、楽しい、使いやすいという肝心の部分に自信がもてなかったのだろう。だから100万円以上するEditionという超高級モデルを出して、それを金持ちやセレブが買うことで憧れ商品としての価値を創造しようとしたのではないか。中国を最重要市場と見ているとの発言からもそれは伺うことができる。しかし、残念ながら少なくとも上海で生活していて今、Apple Watchが話題になっているとは感じられない。ここは本当に見栄っ張りの市場だから、あれがセレブの象徴だということになれば値段に関係なく羽が生えたように売れる。

どうも、そうはなっていないようだ。
まあ、いくら大金持ちの中国人でも一年で陳腐化する電子部品ガジェットに無駄金を使うことはしないということか。

なお、200元くらいでSIMカードも入る偽物が手に入るが、それも売れているようには思えない。


自動車メーカーはApple,Googleに制御系情報にアクセス許さず、って当たり前の話

2015年07月12日 | ITS

これは出典はマイナビニュースかな?

自動車メーカーはApple、Googleを警戒、制御系情報にアクセス許さず

いままでもAppleのCarplayやGoogleのAndroid AutoがIT業界による自動車OSへの進出であるという的はずれな論調があったが、あれはあくまでインカーエンタメだけの世界であり、たいした物ではない。この記事が言うとおり車の制御系へのアクセスは絶対ありえない。

車の制御系へのアクセス(要するにCANバスへの侵入をいっているのだろうが)を自動車メーカーが許すはずがない。それはAppleやGoogleを警戒するっていう以前の問題で特に驚くような話ではない。

制御系は安全に直接 影響する。ハンドルやアクセル制御に問題が発生したら人が死ぬ。その責任はカーメーカーにある。カーメーカーは権益を守りたくて制御させないのではなく、それはカーメーカーしか触ってはいけないものなのだ。

カーメーカーがこれら制御系を囲い込んでいるのは結果的には事実だし、だからこそカーメーカーが自動運転の研究を自社で始めている。
今後カーメーカーの判断でGoogleやAppleの技術を使いたければ使うかもしれないし、そこでIT系がどれだけビジネスに関与できるかという問題であり、自動車というハードウエアの制御をカーメーカーとIT企業で競い合うという話ではない。


中国のスマホ普及率が高い理由

2015年07月12日 | モバイル・ウエアラブル

中国のスマホ普及率は74%。都市部に限定すればほぼ100%に近い。これは上海の地下鉄等で観察しても事実だとわかる。
一方で日本は50%程度。日本との比較をするなら中国の都市部との比較が妥当なので、ほぼ2倍の差がある。

一つには廉価なアンドロイド端末があり、最近は売り場にもスマホしかないという事情はあるものの、それ以上にいま中国の都市部ではスマホがないと便利な生活がおくれない状況になっている、ということがある。

中国にはネットの3大勢力、アリババ、テンセント、百度があり、各社決済機能をもつソフトで顧客の囲い込みを進めている。

たとえばレストラン。 中国では食べログ的ソフトとして「大衆点評」が圧倒的シェアをもっているが、ここに「微信」(中国版LINE)のテンセントが出資し、大衆点評の画面から微信のお財布機能でクーポンを決済できる。たいていのレストランは「100元券を88元」というようなクーポンを発行している。実際は事前にクーポンを購入するということはせず、会計時に金額を聞いてからスマホ画面でクーポンを購入して支払うことになる。つまり、スマホがないと損をするのだ。

アリババはネットワレットでは中国最大手の「支付宝」を運営していて、大抵の支払いはこれでできる。二次元バーコードを読み取り、iPhoneの指紋認証で支払い完了するパターンなら数秒で完了する。最近流行している弁当配達の「餓了マ」を使えば、近隣数十軒の食堂から300円程度の弁当をスマホで注文し配達してくれるが、これもネット決済可能。ネット決済だと割引がある。

同様の仕組みがタクシーや飛行機等各種チケット購入、旅行、公共料金支払い、ネット販売など生活のほとんどの場面に入り込んでいて、スマホのあるなしで利便性は大きく変わる。

当然、スマホが普及しているからこうしたビジネスが出来るのだというニワトリタマゴの問題でもあるが、いずれにしても中国都市部では日本人の想像をはるかに超えたスマホによるエコシステムが構築されている。

特に驚かされるのはそのスピードだ。タクシー呼び出しや弁当配達等はあっという間に広まった。このスピード感はアメリカに似ている。正直、これらのソフトは往々にして完成度が低いのだが、頻繁にアップデートされまさに走りながら考えるという感じ。

ゼロリスクにこだわって何も決められない日本は、気がついたら相当取り残されているということになりかねない。