ITSを疑う

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次世代ETC, ITSスポット情報を活用したサービスは「ETC2.0」へ

2015年07月19日 | ITS

このサイト、知らなかったがTwitterで情報を頂いた。

Motorcars.jp 次世代ETC, ITSスポット情報を活用したサービスは「ETC2.0」へ

内容は極めて正確で、ETC導入からITSスポット対応、VICSとの関係、名称をETC2.0に変更した経緯など現在に至る過程が分かりやすくまとめられているので参照されたい。

しかし、これだけきちんと調べておられる記事でも国交省関係団体の発表を元にしている部分が多いのか、私がこのブログで指摘してきた欺瞞がそのまま掲載されている。記事の結びも「そのためにもETC2.0の認知を向上させ、利用を進めていくことは大きな課題である。」と基本的に肯定的な書き方となっており、「こんなものさっさと諦めたどうか」というこのブログの主張とは相容れない。

ETC2.0推進勢力が主張している欺瞞はいろいろあるが、おもには以下の3点。

1.首都高参宮橋で行った実験の結果事故低減効果が証明されたとしているが、実は路面の段差補修によるものであった。

2.DSRCの民間活用は今後も駐車場、ドライブスルーなどで期待できるとあるが、すでにIBAが展開した駐車場は全部なくなりほぼ事業は頓挫。今後も全くめどが立っていない。(なのでIBAのサービスは2.0の機器には対応しない、というまるで冗談のような状態)

3.ETC2.0でないと渋滞回避経路を通行した時の割引ができないようなことを言っているが、これは現行ETCでも可能なはず。

また、FM音声多重方式のVICSを「通信量が小さく、また山間部などで受信が不安定」としているが、これは次世代化が終わり通信量が拡大したはず。それ以上に矛盾しているのは、ITSスポットは高価な路側機を設置したその場所だけしか受信できず、山間部などで不安定になるとはいえFM音声多重のほうがはるかにましだろう。

ETC2.0が普及しない理由が車載器を買い替えなくてはならないことにあり、その費用が問題であるというのは正しいが、それ以上にその付加価値に対して消費者がメリットを全く感じていないことにある。宣伝不足というような問題ではなく、根本的に「いらない」装備だということが問題。もしこれが安全、便利にとって実際に有効なものであればある程度口コミでも広まる。1%以下とはいえ、装着ユーザーからそういった声が広がっていかないというところですでにダメなことが証明されている。

経路誘導による割引は現行のETCでも技術的にはできるはずだが、(経路誘導の情報提供データ量は2.0のほうが多いが、現行ETCでも割引は可能)それを2.0に限定する理由は普及させたいがためだろう。この施策が本当に渋滞解消に役立つなら、現行ETCですぐ実施する方法をまず考えるべきなのではないか?