一時世間を騒がせた「ITS」。2015年までに累計60兆円、全産業には100兆円の経済波及効果があるという1998年の電気通信技術審議会諮問第101号に色々な企業が踊らされた。
電気通信技術審議会諮問第101号
気が付けば、この諮問のゴールである2015年が終わろうとしているので簡単に答え合わせをしておこう。
話を単純にするために累計ではなく2015年単年で結果を採点すると以下の通りとなる。
ますはDSRCによりもっとも成長し主たる市場を形成すると書かれている「サービス市場」
1.カーマルチメディアサービス 7330億円 → 統計ないがきわめて小さい。Carwings等か?
2.車上オンラインショッピング 6218億円 → ゼロ
3.DSRCガソリンスタンド決済 10635億円 → ゼロ
4.DSRC駐車場料金徴収 3806億円 → ゼロ
5.DSRC各種ドライブスルー決済 1920億円 → ゼロ
6.ETCサービス 10635億円 → これは全道路会社の統計が見つからない
が、おおむね計画通りだろう。
ただしこれは現金収受からETCに変わった通行料
を合算してるだけで経済効果と呼ぶべきではない。
7.DSRCカーフェリー決済 439億円 → 資料ないが、ゼロではない、数億円?。
8.歩行者経路誘導サービス 1346億円 → ゼロ
ということで、ほぼETCは「高速道路料金ノンストップ支払い器」でしかない。
これはこのブログの最初のころに散々警告していた。
次に車載器等の端末機器市場の「2015年時点での普及台数」
1.カーナビゲーション 4199万台 → 概ねあっている
2.ETC車載器 5332万台 → 概ねあっている
3.歩行者用端末 516万台 → ゼロ
これは、ナビもETCもほとんどの車両に普及するという読みが当たったということになる。
しかしETC車載器は2015年にはすべてDSRC対応(今でいうETC2.0)になっているはずだが
実態はご存じの通り。
また、カーナビの市場規模を2015年単独で7258億円としているが、実際は4000億円程度
だろう。これは単価の下落による。
歩行者用端末はスマホの出現を予測できなかったから当然だが、スマホアプリとしても
ITSがらみでの安全支援などというビジネスは出現していない。
まあ、当然といえば当然の結果であるが、これを作成した人間も実は相当な大風呂敷だ
と自覚していたはずだ。その罪は大きいとおもう。
結果として、DSRC関連事業はこの誰も使わない仕組みに対して路側機だけは粛々と整備
されている。この諮問にある2015年で8470億円という額には到底達していないが、それ
でも税金から数百億円は出ているのだろう。(これは調べきれませんでした)