ITSを疑う

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BMW,カーシェアのDrivenowを完全子会社化。その意味は?

2018年01月31日 | 自動運転
BMWは1月29日にカーシェアの合弁会社「Drivenow」を完全子会社化すると発表した。
レスポンス記事

子会社化にはいろいろなケースが有るが、これはこの事業に対して本腰をいれるという意味だと考えていいだろう。
この事業ではダイムラーのCar2Goがトップを走り、欧米で14000台を稼働させている。DrivenowはBMW,Miniをつかったプレミアムに特化し欧州主要都市に6000台。
1月23日のロイターによれば、この2社のオペレーション部分の合併もダイムラーとBMWでは検討されているらしい。まさにライバル同士の2社だがUber等のアメリカ系ライドシェアへの対抗策だという。

何れにせよ、欧米のカーメーカーはシェアビジネスに対して関与を深めており、これは先駆者として先に市場を確保しようという姿勢に見える。
それはどういう意味なのか?

このCar2GoやDrivenow、日本のカーシェアと何が違うかというと「フリーフロー方式」であるということ。Car2Goについては以前何回か当ブログでも紹介しているが、「どこでも乗り捨て可能」のカーシェアなのだ。

返却場所が決められているカーシェアはステーション方式という。日本のTimesが運営しているカーシェアはその中でも貸出、返却のステーションが同じでなければならないタイプ。
10分走行し目的地について2時間滞在し、また10分走行し戻ってきた場合、Timesは2時間20分の費用が発生する。しかし、フリーフロー方式の場合は走行している時間だけの課金になる。勿論、目的地で乗り捨てた車が帰るときも確保されているかは保証されないが、出費額ははるかに安い。

このフリーフロー方式は、実は昨年日本でも話題になった中国のシェア自転車と同じ考え方なのだ。
中国でも以前から主に自治体が運営するステーション方式のシェア自転車が存在した。これはTimesとは異なりどこのステーションに返却しても良いのだが、それでもステーションから目的地までは歩かなければならない。それもあって殆ど利用されていなかった。
それがMobikeやofoというどこでも乗り捨て可能なフリーフロー方式になり、大ブレイクしたという経緯がある。

カーシェアに関してもCar2Goの利用伸び率は非常に高く、2017年の利用者は対前年30%増、またCar2Goが進出した都市では若者の車両保有率が顕著に下がっているという話もある。

少なくとも都市生活者にとっては極めて便利なシステムであり、またこれが普及すると車が売れなくなるという意味ではカーメーカーにとっては厄介な存在かもしれない。
中国でもシェアリングのサプライヤーとなれなかった既存の自転車メーカーは販売不振に苦しんでいる。
しかし、メーカー自身が運営すれば、少なくともそこに使われる車両は確保できる。
ダイムラー、BMWが危機感をもって自ら乗り出す理由はそこにあるのだ。

さらに、彼らはその先の自動運転を見据えている事は間違いない。
どこでも乗り捨て可能といっても乗り捨てできるのは公共駐車場と路肩の合法駐車スペースのみ。欧米の地方都市なら問題ないが、駐車場問題を抱える大都市には展開できないし、路上駐車を基本的に認めない日本の都市でも展開は不可能だ。
しかし、完全自動運転車の時代が来れば解決できる。乗り捨てた車は自ら専用スペースに戻るし、使いたい時も車は自分で来てくれる。自動運転=カーシェアといっても過言ではないのだ。

この時に運営側をグリップできていないカーメーカーは市場から退場するしかなくなる。

欧米、特にドイツメーカーはそこまで読んで今の手を打っている、と考えるべきだろう。