平成12年 歩行6:13 休憩2:22 (所要:35)
成人式が今年から第二日曜になったため連休を利用して鎌倉の兄に会いに行く事にした。折角なので未知の領域である丹沢山系の塔ノ岳を登ってから行くのも悪くはない。こんな事でも無ければ先ず登る事も無いだろうと思って居た山である。国道246号沿いは真夜中と言うのに店は開き車の往来も激しい。秦野戸川公園の駐車場は8時からで解放されていない(2時間以上520円)。8時まで待つ訳にはいかず登山口近くの大倉山の家の上を走る林道に一寸した空き地を見つけ駐車した。 5時、目を覚ますと未だ夜は明けておらず遠く伊勢原辺りの灯りが一塊で瞬いていた。一台二台と車が到着し駐車場探しに右往左往している。大駐車場が出来てから駐車禁止の取り締まりが煩くなったのだそうだ。
6時45分、日の出と共に出発。木々を通して零れる朝日が眩しい。足元は石畳、登山道脇は手入れに行き届いたヒノキが続く。何時もならジメッとしていて好感のの持てない人工林もこれだけ見事に手入れがされていると目を見張る美しさがある。仄かなヒノキの香りをかぎながら眼下に目を移すと水無川を辿るルート上の山小屋が谷あいに見えた。このルートは掘山の家の先で合流するので往時そちらを計画したのだが時間的に無理があり大倉尾根のピストンとなった。
大倉高原山の家、ここまで登山口から55分。水一杯20円(水質検査協力代)
見晴茶屋
駒止茶屋
大倉高原山の家を過ぎた辺りでマラソンのトレーニングだろうか駆け抜けていった若者二人は、もうどの辺りまで行っただろうか。林の切れ間から眺めた富士山は山頂まで、あの神々しさを保ってくれるだろうか。
次の堀山の家までは笹を下草に雑木が並ぶ上り下りも少ない商戦漫歩。「何か山登りに来た様じゃないね」と口に出るほど歩きやすい道だった。
掘山の家
行く手に崩壊で赤土が剝き出しになった斜面が、その上に建つ花立山荘を守る要塞の様に長い階段と土留めの柵が続いている異様な風景が見える。これから始まる急登に備えザックを置いた。此処は見晴らしは悪いが皆、気持ちは一緒らしく、そのまま通過する者は一人も居ない。
いきなり始まる岩交じりの胸突きが終わると、いよいよ階段に足を入れる。いつ果てるとも無い長い長い階段上りの始まりだ。土留めの柵は真新しい材木でがっちり固めている。周辺の植樹はアセビの幼木。土留めと共に有毒なので食害も兼ねるアセビを選び手植えをしたのだろう。 階段は段差が少ないのが救いだが、ともかく忍の一字で頑張るしかない。
こうして標高差290メートルを45分を掛かって漸く着いた花立山荘は今迄の辛さに十分報いる大展望を提供してくれた。末端に越前岳を抱えて白銀の輝きを放つ日本一の山・富士山。振り返れ三ノ塔から塔ノ岳に続く穏やかな尾根。その直ぐ後ろにチョコンと三角頭を覗かす大山、それらの右肩に三浦半島から伊豆半島の相模湾が輝き江の島の小さな塊も確認されると言う楽しくも爽やかな展望だ。勿論、足元には今登って来た大倉尾根も一望できる。
山荘のトイレ使用料は50円
花立山荘から再び階段を鍋割山と塔ノ岳の稜線上の分岐点「金冷やしの頭」まで登り上げれば塔ノ岳はもう目の前のはず。スズタケに囲まれた穏やかな稜線上を行くと、いよいよ塔ノ岳の登りに掛かり再び階段が現れると、それは山頂までズッと続いた。 ブログの方も続きますのでコメント欄はお休みです。