2000年6月20日
Yさんより13日、平標山に誘われた。13日が雨なら20日、20日が駄目なら22日だそうである。13日は雨だった。22日はヨーロッパ行きを前にして色々と忙しいので私にとっては20日しかない。鬱陶しい雨が続いてどうやらお流れかと思っていると何と20日は梅雨の中休み。素晴らしい好天となった。
周回コースを取る為、登山口までは1時間余りの林道歩きを強いられる、何時もより少々重い荷を背負っての炎天下の林道歩きは堪えるが準備運動と思ってひたすら登山口を目指した。
登山道に入ると道が広いので気にはならないが身の丈ある笹が続く。以前、ガサガサッという音に「熊!」と思って身構えたら用足しをした男性が出て来てホッとした場所である。
登山口から約1時間半ほどで平標小屋の建つ稜線に出た。行く手には平標山に向かって一筋の階段登山道がゆったりと伸びているが、しかし指呼の間に見えるこのダラダラ登りは結構長く辛い。
時々立ち止まっては咲き始めた花に目を向けシャッターを切る。中ほどでシャクナゲが姿を見せ頂上近くで群生を見たが2・3の花を見ただけで既に花の時期は終わっていた。
駐車場から2時間50分、山頂到着
昼食後、空身で仙の倉に通じる暗部へと向かった。直ぐに道の両側は花花花で埋め尽くされた。イチゲの白とハクサンコザクラのピンクが散らばる斜面の片隅にイワカガミが申し訳なさそうに咲き、それが何とも愛らしかった。
とにかく絵具を撒き散らしたような見事なまでのお花畑である。私達7名、花と天気に感謝しつつ一時を楽しんだ。
上の写真はチングルマ。 ここではハクサンコザクラが一面を埋める夢幻の世界だ
花を楽しんだ後は松手山を踏んでの下山である。今でも強烈な印象で残っている紅葉の道はガラリと趣を変えて所々に群落を作るイチゲ、そしてイワナシ、アカモノ、ハクサンチドリ、ヨツバシオガマ、ウラジロヨウラク等々、可憐な花々が目を楽しませてくれる植生豊かな稜線だった。
振り返ればなだらかに伸びた緑の尾根は南アルプスの雰囲気を彷彿とさせ気持ち迄もゆったりしてくる風景だ。
松手山辺りから紅サラサドウダンが密生し雰囲気は又ガラリと変わった。周辺一帯、紅にスッポリ包まれているのだ。そうこうしている内にドウダンに混じって山ツツジが見られる様になり、そこで駐車場までの急坂に備えるため鉄塔の建つ広場で一休み。
鉄塔を過ぎると登山道は駐車場まで一気に下るのみ。気を引き締めて腰を上げ一歩を踏み出す。
鉄塔広場からひたすら下って行くと今度はウツギが道の両脇を飾った。急坂は尚も続き平凡になった景色の中、真新しい木の階段を延々と下って「未だ」と嫌気が差したころに花を堪能した今日の終わりが見えて来た。