続き
四の峰は毘沙門天だけが祀られているだけの、こじんまりしたピークで、これと言って書き記す様な物は無いが、ここで私は大好きなイワウチワの群落を見つけた。
再び雪を踏んで斜面をキックステップで登り上げ蒲鉾型の避難小屋の有る三の峰に到着。間近に雪をベッタリつけた菱ヶ岳が迫り中々の迫力だ。一緒に登ってしまいたいところだが今日、登るには時間が少々足りない。菱ヶ岳は後の楽しみにとって置く事にしよう。 避難小屋に入るとポカポカと温かく冷えた体が緩んだ。太陽さえ出ていれば屋根がトタンなので暖房が効いている様に暖かい。
小屋の中で少し早い昼食を取っていると別のルートから登って来た男性が「今日は救助訓練が行われている様でヘリや消防隊員が多数、入山している」と教えてくれた。そんな話に耳を傾けている内、俄に外が騒がしくなり小屋の外は消防隊員で埋まった。 男性は「私が登って来た道は村杉温泉に下る道なので間違ってもそちらへ踏み入らない様に」と言い残し一足先に小屋を出た。 案内書でも「三の峰分岐点では下山道を間違えない様、注意したい」と有るところから間違ってしまう登山者が結構多いのかもしれない。 ❝おや!携帯ラジオ❞ 先ほどの男性が忘れたらしい。私達は食事を切り上げ男性の後を追った。
二の峰より五頭山頂
一の峰より飯豊連峰と五頭山頂
二の峰を過ぎ一の峰迄やって来たが男性の姿が見えない。休んでいた登山者に尋ねると「菱ヶ岳へ行くと言ってましたよ」との事。菱ヶ岳に目をやると既に稜線に踏み入っていて姿が小さい。取り敢えず展望の良いここ一の峰で少し落ち着く事にした。 一の峰は360度の大パノラマと謳われている通り私達が歩んできた登山道から五頭山を抜け松平山を経て魚止滝へ抜ける周回コース、反対側には菱ヶ岳を経て村杉温泉に抜ける稜線が手に取る様だ。 圧巻は何と言っても飯豊連峰だ。青空の下に立派な山体を横たえていた。初めて目にする飯豊連峰、一つ一つの名称が判らないのがじれったいが、それでもただただ嬉しい。 少し下って五頭山頂と菱ヶ岳への真新しい分岐標識を見た。木の間越しに稜線を眺めたが男性の姿はもう何処にも無かった。
11時45分、細長い五頭山頂に到着。良く見ると山名板は山頂から一段低い木に縛り付けられていた。「山頂記念写真を高い場所から写すってなんか変だな」と雄さん。 「付ける場所が無いので仕方なく斜面の木に縛り付けたのです。本来の三角点は旦那さんが立っている真下に在るんですよ」と休憩中の登山者 菱ヶ岳の分岐標識やここの山名板が設置ホヤホヤなのは、これから始まる登山シーズンに向けて彼らが設置してくれていたのだ。 三座同定も彼らのお陰で二王子岳も会津の山々も細かに教えて頂く事が出来、五頭山が印象深いものになったのは嬉しい。
? 何を見つけたか雄さん
一部、堀切りの登山道
帰路は再び五の峰で大休止を取り色とりどりの花の写真を撮りながらユックリ下って15時15分、駐車場に戻った。
出湯温泉に在る華報寺には入浴施設が有る(150円 石鹸なし)
私達が宿泊した清廣館(一泊@1万円)
タラの芽、カンゾウ、コゴミ、ワラビ、わさび、キノコ等々、その日に採ったばかりの新鮮な山菜が並ぶ
朝、チェックアウトでの事 女将「私も毎日、山歩きしているんですよ」 雄さん「何処の山を登られるのですか?」 女将「サンサイ山よ」 雄さん「何処に在るのですか?」 女将「サンサイ山と言うのは山菜が豊富にある山の事」とクスッと笑った。私達が車に乗り込むと女将は長靴を履き籠を背負って「また来てね」と手を振って見送ってくれた。