まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

ははごころ

2002年10月08日 12時17分00秒 | 日々雑感
仕事が終わり、やれやれ帰るかというときに電話がかかってきた。

自宅だ。なんかあったのかしら。

「もしもし、まだ仕事?」 

「今、終わったけど・・・」

「あのね、ふふ・・・蝶々になったの!」

家に持ち込んで観察をしていたサナギが羽化したという。

ああそう、よかったね・・・

「あんた帰ってくるまでこのままにしておくからね!」

大興奮である。よっぽど嬉しいのだろう。

帰ってみるとまだ羽が乾かないのか、サナギの近くでアゲハがじっとしている。

手の込んだ絵画を思わせる美しさだ。

「わたしとXXちゃんの声とテレビの音を聞きながら育ったのよね」

夕飯を食べながら母がそんなことを言う。

エサの少ない時期に孵化した幼虫を可哀想に思って

せっせとみかんの葉など食べさせていた母である。

飛びはじめたので外に出したのだが、しばらくすると母が

「寒いから可哀想だ」と、家の中に入れてしまった。

今朝になって、また外に出したのだが

「高い所にじっとしたままなのよ」

「雨が降ってきたらどうしよう」

「スズメが来た」

と心配ばかりしている。挙句の果てに

「また中に入れてあげようよ、あんた捕まえてきてよ」

わたしのこともそれくらい大事にしてくれ。










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