仕事が終わり、やれやれ帰るかというときに電話がかかってきた。
自宅だ。なんかあったのかしら。
「もしもし、まだ仕事?」
「今、終わったけど・・・」
「あのね、ふふ・・・蝶々になったの!」
家に持ち込んで観察をしていたサナギが羽化したという。
ああそう、よかったね・・・
「あんた帰ってくるまでこのままにしておくからね!」
大興奮である。よっぽど嬉しいのだろう。
帰ってみるとまだ羽が乾かないのか、サナギの近くでアゲハがじっとしている。
手の込んだ絵画を思わせる美しさだ。
「わたしとXXちゃんの声とテレビの音を聞きながら育ったのよね」
夕飯を食べながら母がそんなことを言う。
エサの少ない時期に孵化した幼虫を可哀想に思って
せっせとみかんの葉など食べさせていた母である。
飛びはじめたので外に出したのだが、しばらくすると母が
「寒いから可哀想だ」と、家の中に入れてしまった。
今朝になって、また外に出したのだが
「高い所にじっとしたままなのよ」
「雨が降ってきたらどうしよう」
「スズメが来た」
と心配ばかりしている。挙句の果てに
「また中に入れてあげようよ、あんた捕まえてきてよ」
わたしのこともそれくらい大事にしてくれ。
自宅だ。なんかあったのかしら。
「もしもし、まだ仕事?」
「今、終わったけど・・・」
「あのね、ふふ・・・蝶々になったの!」
家に持ち込んで観察をしていたサナギが羽化したという。
ああそう、よかったね・・・
「あんた帰ってくるまでこのままにしておくからね!」
大興奮である。よっぽど嬉しいのだろう。
帰ってみるとまだ羽が乾かないのか、サナギの近くでアゲハがじっとしている。
手の込んだ絵画を思わせる美しさだ。
「わたしとXXちゃんの声とテレビの音を聞きながら育ったのよね」
夕飯を食べながら母がそんなことを言う。
エサの少ない時期に孵化した幼虫を可哀想に思って
せっせとみかんの葉など食べさせていた母である。
飛びはじめたので外に出したのだが、しばらくすると母が
「寒いから可哀想だ」と、家の中に入れてしまった。
今朝になって、また外に出したのだが
「高い所にじっとしたままなのよ」
「雨が降ってきたらどうしよう」
「スズメが来た」
と心配ばかりしている。挙句の果てに
「また中に入れてあげようよ、あんた捕まえてきてよ」
わたしのこともそれくらい大事にしてくれ。