新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

3月7日 その 野球の話

2018-03-07 17:40:46 | コラム
冷静な評論家は語る:

少し堅い話を続けたので、軟化しようと考えた次第。

大谷翔平:
私はスポーツ関連のマスコミが持て囃すほど大谷君の immediate future は明るいものではないかも知れないと一人密かに危惧している。それは、確かに彼には類い希なる素質はあるが、如何せん彼が望んだのか栗山監督が判断を誤ったのか、二刀流などという奇っ怪なことを何年もやっていたので、現時点では「虻蜂取らず」に限りなく近い出来上がりかと懸念している。

私は打者としてはあの「しゃくり上げるような打法」では「あの球種をあれだけ巧く打たれては」と言っても良い次元にはまだほど遠く、素質だけで遠くに打てていただけの左投手の外に流れるスライダーに弱いというような欠陥が多い打者だと断じていた。現に、張本勲は「あの程度の打者は米国に行けばいくらでもいる」と手厳しかった。

投手としても確かに時速165 kmは出たが、空振りは取れていなかった。それではダメで、現にMLBでは「速球が動かない」との批判が早速出ていた。即ち、彼の地では一般的である moving fast ball ではなく、ただ単に「ズドン」と速い球がいっているだけの次元の投手だという危険性が残っているという意味だ。MLBだけではなく、NPBでだってただ早いだけでは通用しない時代になってきつつある。後は Angelsの監督・コーチがどう判断するかに懸かっていると見る。私の見方が杞憂に終われば良いのだが。

侍ジャパン:
以前にも批判したが、私はこの時代錯誤のような名称は好まない。故篠竹監督は日大フェニックスを「侍フットボール」と呼称されたが、何十年も昔のことだ。その頃の感覚を真似てどうする。私は先頃の稲葉新監督の指揮する対オーストラリアの2試合をほぼ全部に近く見ることは見た。感心しなかった。それは稲葉の指揮官としての経験不足もあったのだが、唯々勝ちを急いだ功名心に駆られたかの如き小さく纏めた試合の進め方には魅力を感じなかったからだ。

如何に何でも初回から無死走者一塁で高校野球ではあるまいに、2番を打たせた菊池にバントはないだろう。それほど小細工をしてまで勝ちを急ぐほどの相手かどうかの判断を焦っていては、見ている方には面白みがない。打たせてみて相手の守備陣形の動きを見る等の作戦を立てられなかったのかと問いたい思いだった。また、幾ら2020年を見据えたとは言え、余りにも無理な選手の選び方をしていたのも気になった。それが阪神の大山であり、広島の西川であり、ソフトバンクの上林等である。

読売の菅野と坂本も外されていれば、意外性があるソフトバンクの松田も入れていなかったのは確かにオリンピック対策なのだろう。だが、解説者からもアナウンサーからもその辺りに言及がなかったのは、彼らの不勉強かと思った
。また、肩が強いというだけの甲斐と小林を入れていたのも理解に苦しんだ。リードという点から考えれば、楽天の嶋を入れておくべきかと感じた。だが、ここで稲葉を断定的に評価するのは時期尚早だろうとは思う。しかし、あれでは前任者の小久保と変わらない程度かと思う。

イチロー君:

私にとっては馴染み深いシアトル・マリナーズに決まったようなのは結構だと、一応は思う。だが、MLBで功成り名遂げた彼が補欠扱いでプレーを続ける気持ちと気迫は解らないでもないが、もう好い加減に辞めてアメリカのNYでもフロリダでも、シアトル郊外の湖に浮かぶ最高の住宅地、マーサー・アイランドに買ってあると噂に聞きた家ででも、悠々自適で過ごされた方が良いのではないかと思えてならない。

未だ未だ続ければ、それでも安打数も増えるだろうが、リタイヤーして悠々と第2の人生というか新たな生き甲斐を見出す米国流のリタイヤー後を楽しんでは如何かと提案したくなる。彼らは「リタイヤーを待ち焦がれている」し、引退すれば「お目出度う」と祝福されるのだ。

私は人生は彼の人生も野球だけではあるまいと考えている。それに彼ほどの盛名と名声があれば、新たな生き甲斐などいくらでも見つかると言うよりも、向こうから転がり込んでくるのではないだろうか。上原浩治にだって同じことが言えると思う。大体からして読売などに復帰して貰いたくない。


金正恩を何処まで信ずべきか

2018-03-07 14:44:37 | コラム
嘘か誠か、または老獪な知恵者

問題点は「あの金正恩が打ち出した6項目を信ずべきか否かが最大の鍵である」ということだろう。

昨6日はBSフジのPrime Newsを見ていると、突如「韓国とDPRKが4月末に首脳会談」とスクリーンの上部に現れ、派遣された特使団の鄭氏とやらの6項目の韓国側の解釈になる合意事項が表示された。やや意表を突かれた感なきにしもあらずだったが、私如きには予想もできなかった素早い展開には驚きを禁じ得なかった。金正恩は端倪すべからざるものがあると思わせられた。

直ちに何らかの感想というか、カタカナ語のコメントなどは思い浮かばなかった。だが、これまでに何度もDPRKに誑かされてきたというべきか虚言癖のようなものを見且つ聞かされていては、俄に信ずべきか否かは極めて疑問だと感じたのが偽らざるところだった。同時に痛感させられたことは「金正恩は誠に巧妙な作戦を立てる知恵者なのか、あるいは並外れた頭脳を持つ百戦錬磨の参謀が陰に控えているのでは」だった。

あの6項目を素直に受け入れれば万事目出度し目出度しであり、朝鮮半島におけるアメリカとの一触即発だったかも知れない危機は去り、速やかに出ていくて入れ込んでいる韓国というか文在寅大統領を仲介者とした、アメリカとDPRKの対話が実現してしまいそうな雰囲気が醸し出されていた。だが、そこまで素直に信じてしまうのは余りにもnaïveに過ぎると思わざるを得ないと思った。

即ち、金正恩はアメリカのトランプ大統領以下があの6項目をどう解釈し、どのように食いついてくるかとの観測気球を上げたのかが最大の見所なのだと思うのだ。私はあるいは彼は平昌オリンピック以来完全に彼に操られて南北統一にまっしぐらに突き進みだした文在寅大統領をトコトン利用して、アメリカとの対話の仲介役として何処まで使えるかも試してみるかと、如何にも核兵器を封印するかの如き餌まで撒いて見せたのかも知れないと疑っている。

換言すれば、私は「あの6項目はそれを読む角度と立ち位置が変われば、それぞれに都合が良い解釈の仕方に変わってくるような形に纏められており、勝手に自己に都合が良いように考えていると、最後の瞬間に「そんな意図はなかった」とひっくり返せるように仕組まれているのではないかと、眉に唾を付けて読んでいる。それでなくとも、朝鮮人民民主主義共和国にはこれまでに繰り返して前言を翻されて煮え湯を飲まされてきたではないか。

だからと言って「貴国の提示された6項目を信じる訳にはいかない」と真っ向から否定してかかれないように巧みな文言で綴られているようだ。だが、注意すべきは、あの6項目は韓国の特使団の解釈で、私は未だDPRK側からの公式見解は報じられていないと思う。その辺りの金正恩の作戦は巧妙にして老獪であるかの如くに見える。

即ち、自分たちに都合良く解釈すれば「制裁が十二分に効果を発揮して、最早金正恩にも耐えきれないところまで追い詰められたのだ」ともなるのだ。そうでなければ、金正恩は素直に核兵器もmissileも一先ず措いて、自国の立場を保障させてアメリカとの対話を志向し、朝鮮半島に真の停戦状態を実現させて金王朝が支配する統一の実現に励んでいく気であるとも読めはしないか。その大きな目的の為には、韓国のお使い奴共をあれほど優遇して見せた大変な役者かも知れないのだ。

私には金正恩が単なる単純な自己都合ばかり考えている指導者なのか、巧妙にして老獪さまで備えた一筋縄ではいかない刈り上げの兄さんなのかまではとても読み切れない。だが、どう考えても無理に無理を重ねてあそこまで成功に近づけた missileと核兵器をむざむざと封印して「核を保有する強国」の地位を放棄するとはとても考えられないのだ。

先ほど何処かの局に出ていたゲストのコメンテーターが「トランプ大統領は予見不可能(unpredictable)であると同様に、金正恩も予見不可能」と言っていたが、その通りだろうと思わずにはいられない。「信ずべきか否か。そこか問題だ」辺りが、私の当座の結論である。