新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

オリンピックの為なら

2021-05-04 08:46:45 | コラム
何でもありで良いのだろうか:

まさか、IOCのバッハ会長は「何が何でもオリンピック・パラリンピックを開催するので、何ものにもこの予定を妨げさせない」と宣告する為にお出でになる訳ではあるまいなと、私は密かに懸念している。それは、以下に述べるように、我が方には好ましくない材料が、大袈裟に言えば、山積しているのだから。

組織委員会だったか何処だったか定かではないが、オリンピックの開催の為に(スポーツ)ドクターを200人ボランティアで(報酬無しで)募集すると発表し、日本医大の北村義浩特任教授は「時節柄無理な事だ」と否定しておられた。尤もだと思って聞いた。

また、同様に看護師を500人という要請も出ているがこれも目鼻は付いていない模様だ。そこに渡部亮次郎氏主宰の「頂門の一針」の5764号には山崎勝義氏が「今年(強行)開催予 定の東京オリンピックは7月21日(水)に先行競技が始まり、その2日後の 7月23日(金)が開会式である。」と投稿しておられた。私はこの冒頭の「(強行)開催」に注目した。

この上記の僅かな状況だけでもオリンピック・パラリンピックの開催の為には何ものも妨げさせないという関係各所と、IOCとそのバッハ会長の強固な決意が読み取れるのだ。その会長様は現在発効中の緊急事態宣言は関係ないと言われたが、その宣言が終了する11日の1週間後にはやって来られる予定だ。だが、既に宣言の延長を尾身分科会長が云々されている。

オリンピックの開催とは関連させないと言われたワクチン接種は、未だに全接種予定者の2%にも達していない惨状である。先ほど見たニュースでは横浜市は予約受付開始後45分でパンクして停止したとあった。我が方の予約受付開始は明後日の6日である。仮に34万人の新宿区民の5%が75歳以上の高齢者だとすると1万7千人ほどが一斉に電話とPCとスマートフォンで挑戦するのだから、アッという間に一杯になってしまうだろう。

こういった状況下でも、緊急事態宣言が発出されていても、新語だと思う「人流」は止まるところを知らないとでも言いたい状態だし、昨日の報道では空港の検疫で陽性者が11人出た中で、2名がインドからだったとあった。「インドから」とあったのには憤慨させられた。政府はこの期に及んでも、未だその程度の水際作戦しか出来ていないのかと。そんな状態で何処そこの変異株が激増したと平気で報じるマスメディアの感覚も神経も、また信じ難い気がしてならない。「政府はとんでもない事をしてくれている」くらいは言うべきではないのか。

そして、今やオリンピック・パラリンピックの無観客開催が平然として論じられ始めた。政府のCOVID-19制圧対策が行き届いていない現状では、止むを得ないのかも知れない。だが、この状況をご注進とばかりに反日的なマスコミが海外に発信すれば(いや、するだろう)、我が国のマスコミ等が最も気にする外国での評判が悪くなるだけではないのか。既に海外からの観客をゼロにした上で無観客開催ともなれば、それだけで我が方は数百億円の収入を失うのではないか、既に実行した膨大な投資に上乗せして。

ではあっても、IOCは開催すればNBCから予定の中継報道の権利金が入るのだから、何らの心配なく強行開催に踏み切るだろうとしか思えない。IOCは自分たちの収益になりさえすれば、開催国がどれほどの損害を被ろうと問題無しという気なのだろうか。だが、果たしてNBCが無観客スタンドが写るだろうオリンピック・パラリンピックを嬉々として中継するだろうかと、私は考え込んでしまう。我が方のオリンピック担当大臣(政府)、組織委員会、JOC等々は、バッハ氏と腹蔵なく意見交換する気なのだろうか、またはそういう話し合いが許されるのだろうか。

オリンピック・パラリンピックの開催の為には、何ものにも妨げさせないという事になるのだろうか。既に採り上げたが、NYKのクルース船は1名の陽性者が発生してツアーを中止して横浜に帰港した。MOのクルーズ船は陽性者が出ていなかったにも拘わらず、横浜市の要請を容れて帰港するそうだ。では、オリンピックで1名でも何でも、選手か関係者の中から陽性者が出れば、如何に対応するかの取り決めが出来ているのだろうか。その前にPCR検査の性質上では前日の陰性者が出航後の1日目に陽性となっていた事を考慮するのだろうか。

国内では既にNPBで西武ライオンズと日本ハムファイターと読売ジャイアンツとヤクルトスワローズで複数の陽性者出て、試合を延期した例が出ている。Jリーグでも陽性者が出ていた。私は陽性者が出た事は恥じでも屈辱でもないと思っている。だが、こういう事実を見てオリンピック・パラリンピックの場合には、如何に対応するかをIOCと真剣に打ち合わせをしておくべきだろう。だが、私はあのバッハ会長にそこまでの実務を論じ合える準備があるとは思えないのだ。いや、彼が単独で来るのだったら無理があると思う。疫学やウイルスの専門家と話し合うべき事柄だろうから。

その前に、組織委員会やJOCにその道の専門のお医者様か学者がいるのかと気になってしまう。厚生労働省から何方か専門家が派遣されているのだろうか。誤解を避けたくて言っておくと、私はオリンピック・パラリンピックの開催を否定するものではない。だが、何としても開催する為には上記のような克服しておくべき材料というか難問があるという点を述べただけだ。