新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

遅ればせながら第1回目のワクチン接種を受けて

2021-05-30 11:21:53 | コラム
非常に物思わせられる経験だった:

第一には高齢者を優先して接種できるように努力をしてくださった菅内閣と、東京都庁と新宿区役所の担当者の方々に心から御礼申し上げるべきだと痛感した。我々夫婦は6月中に2回目までを受けられるようになったのだ。何故そういう事を言うかと言えば、その高齢者が集うその接種会場に行ってみなければ、事の次第は解らないと感じたからだ。

私は掛かりつけのクリニックが「ワクチンが来ないから」という極めて解りやすいようで解らない理由で予約をキャンセルされた後では、区役所に電話かPCで予約を申し込む機会を逸していたのだったが、その期日を3日過ぎた後で、駄目で元々と知りつつ電話で2時間ほど挑戦して、29日の最後の一口の予約が取れるという幸運に恵まれただけだった。

その接種会場という現場で見た何とも形容しがたい状況に接して、「STAFF」と記した腕章を巻かれた女性の係員の方々の整然とした取り仕切り振りと、会場の設定から痛感したことは「矢張りインフルエンザのワクチン接種のように区役所から通知が来て、掛かりつけの個人の医院やクリニックで接種を受けられるようになるのが理想的であろう」ということだった。

現時点ではCOVID-19という未知のウイルスに襲来されて、言わば急場凌ぎの対策を取らざるを得なかった事態であり、ワクチンも輸入に依存せざる状況下にあれば、その遅れを非難攻撃するのが適切であるとは思えないのだ。とは言うが、厚生労働省の輸入業務を任せたことは適切ではないが、今に至ってもそれを非難する意味はないと思っている。

今回の経験を奇貨として、何れは実用化されるだろう国産のワクチンを十分に活用して、インフルエンザのワクチン接種のような次元にまで持っていって貰えれば最善だろうと考えた次第だ。恐らく、このウイルスを年内に完全に制圧は出来ないだろうし、空港等での水際対策が甘い以上、現行のような大・中・小の会場で接種する事態は可及的速やかに解消した方が良いと思った。

その理由を昨日の僅か1時間にも満たなかった経験から述べていこうと思う。

私は徒歩でも20分は要しない会場にバスを利用して行ったので、予約時刻の13時よりも30分近くも前に到着したが、これは予定の行動だった。即ち、週刊誌等から得た知識で櫻井よしこさんと林真理子さんは30分前に到着されて色々と(誤ったカタカナ語に言う)メリットがあったと述べておられたからだった。区役所の7階建ての地域センターの1階ロビーには男性のSTAFFが待ち構えていて、13時の予約であると確認された後で、私は1名の先客と共に用意された折り畳み椅子に座るよう指示された。

10分後に5階に上がるよう指示されて、そこでも係員の指示を待って欲しいと言われた。その辺りまでは事の実態は解らなかった。だが、5階で到着順に着席を指示されてからは、どういう事になっているのかは直ぐに解った。それは、後から後からエレベーターで上がってこられる75歳以上の高齢者たちに中には、歩行もままならずに歩行器を利用される方と、介添え役の補助でやっと到着順に座る椅子まで動ける方と、12時45分なのに13時30分や45分の予約の方々がおられたのだった。

88歳の当方はお陰様で自力で会場まで来て5階まで上がってきたが、75歳以上ともなればそうは簡単には行かないということだった。しかも、この地域センターは早稲田通りから坂道を下ったところにあるので、帰り道は坂を登っていかねばならないのだから、介添え役の補助は必須だろうと解るのだ。

13時の5分ほど前にSTAFFの女性から「先着4名様はエレベーターで7階に」と指示された。私よりも先着だった男性の老人が真っ先に乗った。ところが、4名様の指示が聞こえていたのかどうか、STAFFが制止する間もなく、5人目に老女が乗ってこられた。しかもこの方は7階で一番先に降りたので、先頭を切って検温と手の消毒に向かってしまった。

私はこういう高齢者の集団がどれほどこういう場での行動に馴れていないかと、行動の基準が把握できていないことを、嘗ては公認会計士さんたちの指導を受けに行っていた確定申告の会場で経験していた。それ故に「なるほど、矢張りここでもこういうことになるのか」とあらためて認識させられた。それは、問診と接種を受けた後でもSTAFFの指示に従って順番待ちをして2回目の予約の手続きをして貰うために着席して順番を待つのだが、ここでも無秩序な混乱が生じていたのも止むを得まいと思っていた。

最終的には副反応とやらが生じないかを見るために、胸に退散して良い時刻が記入された「ポストイット」を貼って待っているのだ。だが、その意味が理解できないご老人などは、スタスタと帰って行ってしまったりするのだった。これらの小さなと言うか大変なというか知らないが、混乱の状態を管理しておられるSTAFFの方々は、恐らく一日中の立ち仕事だろうから、さぞや大変な負担だろうお察ししながら、接種後15分ほど座っていた後で指定された時刻になり「異常はありません」とSTAFFさんに申告してから帰路についた。

早く会場に到着したので、後から来られる高齢者の様子を観察する時間があった訳だが、思うように動けなくなっておられる高齢者の方々が自力で予約を取られたとは、到底考えられない状態にあると見た。恐らく、ご家族や親類縁者の助けがあったのだろう。事実、我が家でも家内の来月2日の予約は長男のPCから確保した貰ったのだった。

冒頭に申し述べたように、6月中には夫婦で接種を終える段取りが出来たことは本当に有り難いことだと、本気で言っている。事実、昨日1回目の接種を終えただけで、何ら具体的な効果はないと承知していても、全国的に1回目を終えた人の比率が6%であり、その輪の中には入れたと知っただけでも、精神的には計り知れないほど気が楽になってきているのだ。

因みに、2回目として会場で指示されたのは来たる6月19日の同時刻で同会場である。ワクチンの効果が本格的になるだろう7月になれば、少しは強気になれて京橋の馴染みの理髪店には行けそうだと心待ちしている。菅さん、河野さん、有り難う御座いました。

余談だが、STAFFと表記された腕章には、カタカナ語排斥論者としては限りない違和感を覚えたのだった。即ち「新宿区」か「新宿区役所」としてあった方が高齢者には解りやすないのではと思うから言うのだ。