新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

5月10日 その2 英語の略語

2021-05-10 17:11:49 | コラム
a.k.a.って何の事だったか:

つい先日採り上げたワシントンポスト紙がIOCのバッハ会長を“ripper-off”(=ぼったくり屋)と揶揄した記事の中に“a.k.a.”とあったので、一瞬「はて、何の事だったか」と当惑させられた。これは検索してみて、Weblioや英辞郎でその意味を確認できた。偽らざる感想は「20数年も英語の現場から離れていたために、akaを忘れていたとは不甲斐ない」というものだった。そこで、英文を読んでいると屡々現れる独得の略語を思い出すままに並べて、自分の記憶のためにも解説してみようと思うに至った。

a.k.a.
解説)これは既に解説したように“also known as”で「~としても知られている」か「別名は」という意味である。ワシントンポスト紙はa.k.a.のように全てピリオドが打ってあるが、Oxfordには素っ気なくakaとなっていて、例文には“Antonio Fratelli, aka “Big Tony”.とあった。因みに、ジーニアス英和にはakaが併記されていた。何の事はなかったので、akaだったら何度か辞書を引いて確かめたことがあった。初めて出会った時には「なんで英文に赤が出てくるのか」などと当惑した記憶があった。

a.s.a.p.またはasap:
解説)これは言うまでもないことで“as soon as possible”である。「できるだけ早く」とか「可及的速やかに」のことで、akaとは少し趣が違う略語だ。私は往年にはテレックスやファクシミリの文章の中では重宝に使っていた。

e.g.:
解説)これは“exempli gratia”というラテン語が基になっていて、英語にすれば“for example”である。Oxfordの例文は“popular pets, e.g. cats and dogs”となっていた。

etc.:
解説)経験した限りでは、これは一寸面倒な略号だった。これもラテン語で“et cetera”なのだが、アメリかでは“and so forth”と読んで、「~など」か「その他」の意味になる。ジーニアス英和の例文は“I spoke to Mary, Jane, etc.”とあった。Oxfordでは“Remember to take some paper, a pen, etc.”というのが出ていた。注意すべき点はetc.の前にかならずcomma、即ち「コンマ」を打っておくことだろう。今はそれを忘れても、ワードが直せと知らせてくれるが。なお、高速道路とは何の関係も無い。

i.e.:
解説)これもラテン語で、“id est.”の略である。英語に言い換えれば“that is to say”となって、即ち「即ち」なのだ。Oxfordの例文は“the basic essentials of life, i.e. housing, food and water”とあった。

NB:
解説)OxfordにはアメリかではN.B.とするとあるが、ジーニアス英和にはnb.もありとなっている。これもまたラテン語であり“nota bene”で、英語に言い換えれば“note well”であって「注意せよ」という意味だ。Oxfordの例文は“NB The office will be closed from 1 July.”とある。「事務所は7月1日から閉鎖されるので注意せよ」となるようだ。私は“1 July”というQueen’s Englishの表現が面白かった。NBアメリかではJulyが先になる。

OK:
解説)私は戦後間もなく英語で話すことを教えられたGHQの秘書の方には「OKは俗語だから極力使わないように」と指導された。だから永年アメリカ人の中にいても、殆ど使ったことがなかった。意味の解説は必要ないと思うが、元はall correctとおどけたものがoll korrectとなり、さらにOKとなったとされているようだ。“okayのように書くこともある。私は”all right“の意味でもあると解釈している。アメリカの英語では”OK’d“などと動詞のように使われている例もある。

ジーニアス英和の例文は“Are you doing OK?”とあり、Oxfordには“Shall we go for a walk?” “OK.”という使い方が出ている。


時事英語とカタカナ語

2021-05-10 09:01:15 | コラム
最近採り上げた英語とカタカナ語から:

今回は最近採り上げた時事問題としての英語とカタカナ語を振り返っててみようと思う。英語の中には日本語に訳されている例もあるが、英語そのものをカタカナ書きしたものが多いかと思えば、かなり考えて日本語にしてくれてあったので、元の英語の表現はどんなものだったかと考えさせてくれるような「英語のお勉強」のような例もあった。

“ripper-off”:
これなどはかなり工夫をした日本語になっていた。元はと言えば「ぶったくり、ぼったくり」を表す“rip-off”だったのだが、ワシントンポスト紙がご丁寧に“er”を付けて「ぼったくる人」として、IOCのバッハ会長を批判した表現だった。中々公的なななどでは聞こえてこない俗っぽい表現なので、私にはワシントンポスト紙がこのような表現を使ったことから、バッハ会長に対する敵意のようなものすら感じさせられた。Oxfordの例文には“$70 for a T-shirt! What a rip-off.”となっていた。こういう感じで捉えておくと良いだろう。類語に“highway robbery”というのがある。

“get the hell out of here”:
これは、フィリピンの外務大臣が近海を荒らす中国の漁船群に向かって言ったことを「失せやがれ」と訳して報道されたので、私が元の表現はこれではなかったかと推理したものなので、正確かどうかは保証の限りではない。だが、典型的な汚い言葉(swearword)である“hell”を入れたことで「失せやがれ」の感じを出したつもりなのだ。もし、外務大臣ともあろう者が本当にそう言っていたのであれば、些か品位を欠くと思う。だが、フィリピンの中国に対する感情が良く表されていたと思う。良識ある者として「出ていけ」は“get out of here”と言って貰いたい。

ヘイトクライム:
私は当初はこれは我が国で創造されたカタカナ語かと疑っていた。しかし、良く調べてみれば、歴とした英語の“hate crime”だったと確認できた。その意味するところは「憎悪犯罪」であり、その為に起きる犯罪のことで、人種差別、宗教差別、gayに対して等であるようだ。最初から「憎悪犯罪」としてくれれば良かったのにと思うが、カタカナ語にした報道機関の連中は漢字ばかりの訳語では視聴者や読者が理解できないとでも気を遣ったのだろうと解釈することにした。そうする前に「憎悪犯罪」とは如何なるものかを別途解説すれば良かったと思う。

嘗て、台湾人に「貴方の顔付きは世界中何処に行っても外省人で通用するだろう」と保証された私は、その後にアメリカで何度も何度も中国人かチャイニーズアメリカンに見間違えられた。今やアメリカに行く用事も無いし、気楽に行ける身体でもないから良かったが、私などは現在のアメリカに行けば、その標的にされるのではないかと密かに怖れている。

アスリート:
このカタカナ語はオリンピック・パラリンピックの開催が迫ってきてから「運動選手」を完全に亡きものとしてしまった感が濃厚だ。曰く「アスリート・ファースト」、「アスリートの為に」という具合である。英語の“athlete”には勿論「運動選手」という意味はある。だが、Oxfordが最初に載せているのは「スポーツで競争する人」である。そして3番目に「身体能力に優れた人」とある。私はずっとこの意味で「あの選手は実にアスリートだ」というように使ってきた。矢張りここでは素直に「選手たち」か「選手第一」とした方が良いと言いたくなってしまう。

なお、余談だが、この単語のアクセントは「ア」というか“a”のところに来るのだ。

マウンテイング:
やや上記の言葉とは趣が異なるが、敢えてカタカナ語の「マウンテイング」も採り上げておこうと思う。その理由は「中々日常会話には出てこないような“mount”という動詞を使ってカタカナ語にしてしまった語彙の広さと、発想力に敬意を表するところにある。私は検索してその意味を確認できた次第だった。それは「マウンティングとは、自分の方が相手よりも立場が上であること、また優位であることを示そうとする、行為や振る舞いのこと。特に、対人関係において、自分の優位性を示そうと自慢したり、相手を貶したりすることを指す。」となっていた。

各種の「ハラスメント」(harassment)の前に「パワー」だの「モラル」だのを置く造語の大量生産にも恐れ入っているが、私にはこの流れはひとえに「単語の知識を重要視する我が国の英語教育が為せる技だ」と理解している。