我が国の英語におけるローマ字の功罪:
ほんの昨日“job”を「ジョブ」と表記することに嫌悪感を示したばかりだ。このような本当の英語、と言うかどちらかと言えば、未だにアメリカン・イングリッシュよりも崇め奉られている感が濃厚なQueen’s Englishでも、この単語はカタカナ表記すれば「ジャブ」以外はあり得ないのだ。私は何の意義があってこれを「ジョブ」とするのかと憤っているのだ。
私はこのような発音とカタカナ表記になってしまう最大の原因はローマ字にあると、固く信じている。いきなり功罪の「罪」の方を取り上げてしまったが、私はヘボン式(Hepburnがどうして「ヘボン」になったのだろう。オードリー・ヘボンと何故表記しなかったのだろう」)か文部省式か知らないが、この表記の仕方を導入してあったことが、我が国の児童や生徒たちに早い時点でアルファベットに馴染ませておいた功績は十分に評価して良いと思っている。言うまでもないが「功」の部分である。
だが、このローマ字式読み方が余りにも広く深く浸透してしまったために、元の英語の発音とかけ離れたと言うか、不正確な表記も遍く行き渡ってしまった、私が経験してきた限りでは、その我が国独得のローマ字式発音でも諸外国でも十分に通用していたのだったが、私は以下に採り上げるような不正確な発音と表記は、決して是認する気にはなれないのだ。特にテレビ局は何処の何方に命じられたのか知らないが、このローマ字式の発音と表記に執着しているのは如何なものかと思っている。尤も、そうなっている原因は、学校教育の英語の至らなさにもあると思えるのだが。
そこで、ここに思いつくままに、英連邦王国のOxford辞典とも異なるカタカナ表記になっている例を挙げて行こうと思う。という事は、基準はOxfordの発音記号である。
“aluminum”:
この表記は「アルミニューム」だが、これは「アルミナム」なのだ。序でに採り上げておけば、symposiumは「シンポジューム」ではなくて「シンポウジアム」なのだ。何故か“u”を「ユー」としてしまったのはローマ字読みではないが、敢えて採り上げてみた。
“body”:
これは断じて「ボディ」とは発音しない。「バデイ」である。故に「ボデイブロー」は「バデイブロー」であり、そういう英語の表現はない「ボデイチェック」は「バデイチェック」となるべきだった。正しくは“body search”か“security check”なのだが、ここには「セキュリティー」は嘘で、正しくは「セキュアラテイー」という問題まで派生するのだ。
“casual”:
これは「キャジュアル」なのだが、何故か「カジュアル」になってしまっている。1996年の秋に初めてラジオに出るようになった頃に、放送開始の事前の打ち合わせで「キャジュアル」と言ったところ、キャスターさんに「カジュアルではありませんか」と指摘された。それでcasualが「カジュアル」だったと知り得たのだった。
“Gary”:
これもローマ字読みから外れるかも知れないが、「ゲーリー」ではなくて「ゲアリー」とすべきだと思う。“a”という字も曲者で、先ず素直にローマ字式に「ア」とは発音されないことをお忘れなく。
“holiday”:
これは「ホリデー」が既に戸籍を得て全国区だが、「ハラデイー」が最も英語の発音に近くなると思う。アメリカに行けばそら中にあるホテルは「ハラデイー・イン」であって、「ホリデー・イン」ではない。だが、そう言っても通じるからご安心を。
“impossible”:
トム・クルーズだったかが主演の「ミッション・インポッシブル」という映画がある。余りの事に泣きたくなった。“impossible”は「インパサブル」が最も英語に近い表記だ。どう発音しようと勝手だが、英語を母国語とする者たちに「日本では何を教えているのか」と思われはしないだろうが、せめて「インポシブル」くらいに止めておいて欲しかった。
“NATO”:
「ナトー」が遍く普及しているが、我が国以外では「ネイトー」が一般的だ。同様にNaomi Osakaは「ネイオミ・オサーカ」になっている。
“oasis”:
英語圏の國には「オアシス」は存在せず、「オエイシス」があるのだ。ここで採り上げておくと、ゴルフの青木功氏(Isao Aoki)は「エイオキ」なのだ。
“patriot”:
ここまで来れば、言うまでもなく誤ったカタカナ表記だと解って頂けるかも知れない。「パトリオット」ではなくて「ペイトリアット」が最も原語に近いのだ。「愛国者」になるのも面倒なものだと思っている。
“ultra”:
これは少し面倒かと思う。“u”の字を素直に「ウ」と読んだのだろうと思うが、この字も「ウ」とはならない例が多いのだ。“summer”を「スマー」と読む人はいないだろうし、“consultant”は「コンスルタント」ではないのだ。1966年頃のことだったそうだが「ウルトラマン」という子供向きの漫画(テレビドラマ?)が大当たりしていた。私は何の気にもとめていなかった。
だが、1978年だったかにシカゴのオヘア空港で思いがけない勉強をした。それは、その中の通路をウルトラマンの仮装をした子供が歩いていた。それを見た別の子供がウルトラマンを指さして「アルトラマン!」と叫んだのだった。それを聞いて、私は初めてあれが“ultra man”だったと知り得たのだった。
“vinyl”:
「塩化ビニル」なのだが、この言葉は「ビニール」となって、完全にほぼ全部のプラスティックス製品の代名詞となってしまった。PEもPVCもPVDCもPETも全て「ビニール」で括られてしまった。その結果、本家本元の「ヴァイニル」はすっかり忘れ去れてしまった。例えば「ビニール傘」などは典型的かも知れない。当初は本当に塩化ビニルが使われていたそうだが、今ではEVA(ethylene‐vinyl acetate copolymer)に取って代わられてしまっている。
ほんの昨日“job”を「ジョブ」と表記することに嫌悪感を示したばかりだ。このような本当の英語、と言うかどちらかと言えば、未だにアメリカン・イングリッシュよりも崇め奉られている感が濃厚なQueen’s Englishでも、この単語はカタカナ表記すれば「ジャブ」以外はあり得ないのだ。私は何の意義があってこれを「ジョブ」とするのかと憤っているのだ。
私はこのような発音とカタカナ表記になってしまう最大の原因はローマ字にあると、固く信じている。いきなり功罪の「罪」の方を取り上げてしまったが、私はヘボン式(Hepburnがどうして「ヘボン」になったのだろう。オードリー・ヘボンと何故表記しなかったのだろう」)か文部省式か知らないが、この表記の仕方を導入してあったことが、我が国の児童や生徒たちに早い時点でアルファベットに馴染ませておいた功績は十分に評価して良いと思っている。言うまでもないが「功」の部分である。
だが、このローマ字式読み方が余りにも広く深く浸透してしまったために、元の英語の発音とかけ離れたと言うか、不正確な表記も遍く行き渡ってしまった、私が経験してきた限りでは、その我が国独得のローマ字式発音でも諸外国でも十分に通用していたのだったが、私は以下に採り上げるような不正確な発音と表記は、決して是認する気にはなれないのだ。特にテレビ局は何処の何方に命じられたのか知らないが、このローマ字式の発音と表記に執着しているのは如何なものかと思っている。尤も、そうなっている原因は、学校教育の英語の至らなさにもあると思えるのだが。
そこで、ここに思いつくままに、英連邦王国のOxford辞典とも異なるカタカナ表記になっている例を挙げて行こうと思う。という事は、基準はOxfordの発音記号である。
“aluminum”:
この表記は「アルミニューム」だが、これは「アルミナム」なのだ。序でに採り上げておけば、symposiumは「シンポジューム」ではなくて「シンポウジアム」なのだ。何故か“u”を「ユー」としてしまったのはローマ字読みではないが、敢えて採り上げてみた。
“body”:
これは断じて「ボディ」とは発音しない。「バデイ」である。故に「ボデイブロー」は「バデイブロー」であり、そういう英語の表現はない「ボデイチェック」は「バデイチェック」となるべきだった。正しくは“body search”か“security check”なのだが、ここには「セキュリティー」は嘘で、正しくは「セキュアラテイー」という問題まで派生するのだ。
“casual”:
これは「キャジュアル」なのだが、何故か「カジュアル」になってしまっている。1996年の秋に初めてラジオに出るようになった頃に、放送開始の事前の打ち合わせで「キャジュアル」と言ったところ、キャスターさんに「カジュアルではありませんか」と指摘された。それでcasualが「カジュアル」だったと知り得たのだった。
“Gary”:
これもローマ字読みから外れるかも知れないが、「ゲーリー」ではなくて「ゲアリー」とすべきだと思う。“a”という字も曲者で、先ず素直にローマ字式に「ア」とは発音されないことをお忘れなく。
“holiday”:
これは「ホリデー」が既に戸籍を得て全国区だが、「ハラデイー」が最も英語の発音に近くなると思う。アメリカに行けばそら中にあるホテルは「ハラデイー・イン」であって、「ホリデー・イン」ではない。だが、そう言っても通じるからご安心を。
“impossible”:
トム・クルーズだったかが主演の「ミッション・インポッシブル」という映画がある。余りの事に泣きたくなった。“impossible”は「インパサブル」が最も英語に近い表記だ。どう発音しようと勝手だが、英語を母国語とする者たちに「日本では何を教えているのか」と思われはしないだろうが、せめて「インポシブル」くらいに止めておいて欲しかった。
“NATO”:
「ナトー」が遍く普及しているが、我が国以外では「ネイトー」が一般的だ。同様にNaomi Osakaは「ネイオミ・オサーカ」になっている。
“oasis”:
英語圏の國には「オアシス」は存在せず、「オエイシス」があるのだ。ここで採り上げておくと、ゴルフの青木功氏(Isao Aoki)は「エイオキ」なのだ。
“patriot”:
ここまで来れば、言うまでもなく誤ったカタカナ表記だと解って頂けるかも知れない。「パトリオット」ではなくて「ペイトリアット」が最も原語に近いのだ。「愛国者」になるのも面倒なものだと思っている。
“ultra”:
これは少し面倒かと思う。“u”の字を素直に「ウ」と読んだのだろうと思うが、この字も「ウ」とはならない例が多いのだ。“summer”を「スマー」と読む人はいないだろうし、“consultant”は「コンスルタント」ではないのだ。1966年頃のことだったそうだが「ウルトラマン」という子供向きの漫画(テレビドラマ?)が大当たりしていた。私は何の気にもとめていなかった。
だが、1978年だったかにシカゴのオヘア空港で思いがけない勉強をした。それは、その中の通路をウルトラマンの仮装をした子供が歩いていた。それを見た別の子供がウルトラマンを指さして「アルトラマン!」と叫んだのだった。それを聞いて、私は初めてあれが“ultra man”だったと知り得たのだった。
“vinyl”:
「塩化ビニル」なのだが、この言葉は「ビニール」となって、完全にほぼ全部のプラスティックス製品の代名詞となってしまった。PEもPVCもPVDCもPETも全て「ビニール」で括られてしまった。その結果、本家本元の「ヴァイニル」はすっかり忘れ去れてしまった。例えば「ビニール傘」などは典型的かも知れない。当初は本当に塩化ビニルが使われていたそうだが、今ではEVA(ethylene‐vinyl acetate copolymer)に取って代わられてしまっている。