新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

19万人以上もの感染者の発生は緊急事態じゃないのか

2022-07-23 09:17:49 | コラム
岸田さん、しっかり検討して確固たる対策を打ち出して下さい:

先ず、結論を述べておこうと思うのだ。私は岸田総理には山積する当面の喫緊の課題の中から、どの事案を最優先事項にされるかだと思っている。検討されるならば慎重でも結構だが、瞬時の決断をお願いしたいのだ。スタートアップ担当大臣とやらを任命している時期かなと思っている。

NPBは26日と27日にオールスターゲームを開催すると言っていた。彼らは陽性者等が多数発生したジャイアンツの対ドラゴンズの試合を中止すると発表して「ジャイアンツに阿った決定だ。スワローズは監督まで罹患しても残った選手で試合をやって5連敗していたのに」と厳しい非難を浴びた。それかあらぬか、昨日になって原監督も罹患し、その数は選手以外も含めて73名と発表した。後難など恐れずに言えば「試合中止を正当化したかったのか」となる。

一方では大相撲は7だったか8部屋だったかが休場し、21名の関取が休場となって、審判部長までも休場という事態になったそうだ。土俵では「両力士不戦敗」などという前代未聞の事態が生じたと報じられていた。歌舞伎でも何名かのスター的役者が感染して興行を中止すると発表されていた。

目を海外に転じれば、アメリカのオレゴン州の感染対策がどうなっているのか知らないが、世界陸上に参加した我が国の有力な選手たちにも無念の感染者が出たそうだ。

私には何か言うべき知識も何もないが、昨日のように未だ政府が公認したとも思えない第7波の到来で19万人以上の感染者が出てしまったのが、感染力が強いので要注意と専門家が指摘したBA.5の為なのか、一般の人たちが「ただの風邪」と舐めた結果なのか、行動制限も何もなくして競技場や劇場等を満員にさせることを厭わず、「景気回復乃至は現状以上の悪化を食い止めたい」と、政府が目指した結果なのかどうかは解らない。あるいは全部が該当するのかも知れない。

ただ一つ言ってもそう見当違いではないのかも知れないと思うことがある。それは「大きな会場に沢山の観客を入れて、選手はロッカールームに、芸能人は楽屋にと言わば閉鎖された空間に集める形態を取っていることだ。野球でもサッカーでもドーム競技場があるし、映画・演劇・音楽の閉鎖空間に大勢が集まるのだ。観客はチャンとマスクを着用し、声を出さないという条件も課されてはいるが。

私にはこれらが感染の場なのかどうかは解らない。だが、NPBと相撲と歌舞伎からは纏まった数の感染者が出ている。「いや、そこでの感染者よりも家庭内感染の方が多い。だからこそ東京都では連日3万人以上もの感染者が出ている」と言われるかも知れない。さらに、発熱外来は予約で一杯の状態のためにPCR検査を受けられれば超ラッキーだ」などという声も聞いた。

私は「何処で、誰がどのように行動しているから集団感染の原因となっているのか不明だ。だから現時点では行動制限はしない」と言っていられる事態ではないと思っている。これまでに政府が出来たことは「緊急事態宣言発出」と「蔓延等防止何とか」で、それらが良かったのか、何処まで効果があったのか判然としていない気がする。だが、外食と外飲み業者から恨まれたのは確かだった。小池都知事が歌舞伎町を浄化された後では、新宿区の感染者が激減したのは間違いない。

要するに、如何なる手を何時、何処で打てば最も効果的かが、為政者の側で未だに把握できていないのではないかと思って見ている。その為だろうが、尾身茂氏を総理大臣の隣に立たせてCOVID対策を語らせて「政治家」のようにしてしまったのが、得策だったとも思えない。その結果なのか、岸田内閣になってからは尾身氏が表舞台に登場することなく、代わって国立感染研の脇田所長という研究者が専ら責任ある広報担当に如きになっておられる。

私は、安倍内閣以来の政府の方針が「未だ嘗て無かったCOVID-19に襲われたのだから、政治が先頭に立って有効な対策を打ち出せないから、専門家の意見を聞いてそれに従って対策を講じていこう」との姿勢に徹していた気がしている。その「未だ嘗て無かった」ものが3年も経ってしまったのだ。確かに後から後から変異株が現れて、それに対して後手となる対策を打ち出してきただけだ。だが、菅前首相はワクチン接種を強引にと言って良いほど強力に推進された。

私は岸田総理の優先事項のご判断に疑問を呈したいのだ。安倍晋三元総理の国葬を閣議決定されるのも重要なことだと解っている。元外務大臣の経験を活かされて外交面というか海外での会合に参加されるのも「岸田文雄内閣総理大臣ここにあり」と存在感を見せられるのも優先事項だろう。だが、そう努力しておられる間にも第7波は容赦なく襲ってきたし、物価は巧まずして大幅に上昇している、新自由主義を横目に見て。GXだったか担当相の任命が喫緊の課題とは思えないのだ。


新「後期高齢者医療被保険者証」を受領

2022-07-22 07:56:09 | コラム
来たる10月1日からの2割負担が現実のことになる:

安倍内閣時代の決定で「後期高齢者の窓口(っていったか)負担が令和4年(2022年のことらしいが、西暦に馴れた当方にはピンとこないので困る)から負担率が20%になる」とされていた。その発表があったのが何時のことだったかの記憶もないが「そんな頃まで俺が生きていられれば良いのだが」というのが感想で、殆ど現実のこととは受け止めていなかった。

ところが、つい数日前に新たな保険証が郵送されてきて、その記載事項を見ると有効期限が令和4年9月31日までとなっていた。「矢っ張り来たか」と感じた。即ち、新保険証は8月と9月の2ヶ月間しか有効ではないのだ。当アパートの自治会の会報でも「その点に留意されたい」と通告されていた。

この引き上げ率は円安その他の何とも抵抗しがたいと言うか、阻止できない理由での物価上昇率よりも峻烈な100%引き上げである。当時の政府だったか何処だったかの言い訳は「社会保障の医療費負担が増加の一途であり、特に高齢者が全人口の30%に迫る勢いでは、保険料の若年層の負担を軽減せねばなるまい」辺りだったかと記憶する。何だか「長生きをしているのが悪いことだ」と言っているかのように聞こえたのは、超後期高齢者の僻みか。

2006年から何度も心筋梗塞で入退院を繰り返し、2015年からは心不全にも襲われて、退院後も年に6回は循環器内科に定期検査と診断に通い、多くの薬を服用している身には、2割負担は生易しい事ではなくなる。現在は殆どの薬がジェネリックになっているが、一度の負担額は約3,000円である。と言うことは、10月からは年間の負担が18,000円増加して36,000円になるのだ。

この他にも年齢からして不可抗力に近い前立腺肥大で、年間3回は定期検査と診断に通院している。国立国際医療研究センターでも、掛かりつけのクリニックでも、患者の大半は高齢者である。恐らくその多くの方々は、年金に依存しておられるのだろう。その医療費と薬代が倍額になるとは、この「物皆上がる」時期にあっては生易しい事ではないと思う。

あの決定が為されたときには、誰もロシアがウクライナに侵攻するとは考えていなかっただろうし、COVID-19が某国から送られてくるとも予想できていなかったのだろう。今となっては安倍内閣の見込み違いとなってしまったのだ。この事態を「聞く力」を誇っておられる岸田文雄総理は、如何お考えなのだろうか。まさか「未だ聞いてないよ」と言われる気ではないだろうな。木原某官房副長官でも然るべき側近が「高齢者の竈から煙が上がっていない」と言上して貰いたいものだ。


7月20日のスポーツ

2022-07-21 10:15:25 | コラム
サッカーと野球:

本音を言えば、本日はこういう話題を取り上げている場合ではなく、第7波が本格化して、ジャイアンツでは菅野や岡本以下合計38名もの罹患者と濃厚接触者が出て、更に二軒の相撲部屋が休場に追い込まれたというような深刻な話題に持って行くべきだとは思う。だが、この対策問題は昨日に「岸田さん!頼みますよ」で取り上げたので、敢えて本日は論じないことに決めた。

パリサンジェルマン対川崎フロンターレのサッカー:
TBSが鳴り物入りで予告していたパリサンジェルマン対川崎フロンターレの試合を、全く何ら具体的な期待感もなく観ていた。期待感と言うよりも、シーズン開幕前にやって来たこの世界各国の代表選手を集めたという集団が、どのようなサッカーをするのかという疑問点はあった。

中継放映中にチラと出た上位3選手の年俸は具体的に覚えていなかった。検索すると、エムバペ(フランス生まれのカメルーン人か)が127億円、メッシが89億円、ネイマールが78億円辺りのようだった。当方にはこのような金額が高いのかどうかを判断する尺度の持ち合わせがないので、それに見合うサッカーってどんな物かという興味はあった。

この3人以外も皆飛び抜けて上手いのだろうが、テレビの画面では誰がどのように凄いのかが分からなかったのが残念だった。しかしながら、エムバペの身体能力と球扱いの技術がずば抜けていることだけは解った。だが、私の目には誰も真剣になって「やってやろう」とか「目に物見せてやろう」という気迫を見せていたのではなく、今時分は安全にやっておこうという慎重な球回しに徹していたかのように見えた。結果的にスピード感が無かったと思う。

しかし、川崎の連中は「ここで世界最高の選手たち相手に頑張って、我々にだって出来ることを見せてやろう」という勢いで、必死になって当たっていくので、大物3人は何度か当たれては倒されていた。

私の目には川崎の選手たちには悪いが「先方は手抜きではないまでも、本気では当たってきておらず、相手の顔を潰さない程度にあしらって、最低の得点で勝っておこう」というサッカーをやっているように見えた。だから「今、シュートすれば良いのでは」という好機が来ても敢えて蹴らなかったように見えた。

川崎は流石にJリーグの王者だけあって、大敵を相手に必死の攻防を展開していた。私の目には際立って見えたのは、記憶違いでなければ嘗てはG大阪にいた家長の上手さだった。だが、彼らは攻めようにも何も、苦しい守りの態勢から出ていくので、殆ど人数が揃わなかったので、前半には左側から得点の好機が2~3度巡ってきたが、イタリア代表のGKの上手さに阻止された。サンジェルマンが何処まで本気なのかが不明だったので、川崎の力が何処まで通用したかは解らなかった。

ところが、後半にはサンジェルマンが各国の代表選手ではあっても、ここでは二軍の選手である連中に切り替えると、彼らはここで目立ってやろうとしたのか、一気にスピード感溢れるサッカーに変わって、川崎の方にも勢いが出てきた。それこそ「何処まで太刀打ちできるのか」という視点から見ていられるようになった。感心したことはと言えば、ドイツ代表選手が二軍だったということ辺りか。

ではあっても、興行主が何処の何方か知らなかったが、あの3人とその他の各国代表選手がどれほど上手いのかの大凡の見当は付いただけでも収穫があった。双方の間には年俸の差ほどの実力差があったのだろうとは思うが、何となくサンジェルマンの一軍が本気でやってくれなかったのが、残念だったと言える気がする試合だった。

告白すると、川崎が1点取ったときは、裏番組だったスワローズがジャイアンツを振り切る村上のホームランの場面に出会って、喜んで観ていた。野球を見ていた訳は「サンジェルマンが2対0で押し切ると思っていた」ので。

スワローズ対ジャイアンツ:
「多数の感染者が出て苦しんでいたスワローズが、何処まで立ち直れたかを見ようと思った」と言えば格好が良いが、中継放映があったのがこれと西武対ロッテだけだったので、前者を選んだだけのことだった。

ジャイアンツが苦し紛れに使ったのだとみている重信がドン詰まりのヒットで先取点を取った辺りで、未だスワローズは無理かなと思って、サッカーに集中することにしていた。あれはハーフタイムの時だっただろうか、ジャイアンツは登板過多ではないかと思わせる鍬原を出してきたのは「無理があるのじゃないか」と思わせてくれたが、案の定追加の2点を取られた。これも投手コーチの失態だと見たが、次なる失敗は一軍初登板というクロールを出したことだった。

解説の館山昌平が「村上はそのコースに来る球をわざとタイミングが合っていないかのような空振りをしてみせる技巧が備わってきた」と、その前の打席の時に褒めていた。村上はクロールが作ってしまった走者一・二塁の場面で登場し、矢張り外寄りの高目を空振りした。すると、クロールが次に同じ所に投げたので、村上は「待ってました」とばかりに一撃。彼はホームランを確信したので直ぐには走らず、バット高々と掲げて見せてから走った。館山は「格好良い」と叫んだ。

私はジャイアンツの力不足と言うよりも「現時点ではこれほどの勢いの違いが出ているだけ」だと見ている。同時に、今朝ほど感染したと発表された4番打者の岡本和真が2割4分台の打率でホームランも21本に止まり、村上の32本に遙かに引き離されてしまった辺りにも、ティームとして勢いの差が明確に出てしまったのだと思っている。

岡本はそれでも昨日は2本のヒットを打ち、館山が「復調の兆しが見えた」と言ってくれたばかりの感染である。オールスターを休んで治すべきではないか。しかしながら、スワローズに14ゲームも離された5位に落ち込んでは、残る50数試合で追い付く算段が原監督にあるのだろうか。二軍に置いていた外国人投手をあの場面で使うことを提案した(のだろう)コーチ陣の責任は重いのではないか。

しかも、38名の感染者等を出してしまって、どうする気なのだろうか。これはNPB全体の問題ではないのか。昨夜の国立競技場でも開業以来の6万数千人の観客が入ったと報じられていたが、それで喜んでいても良い問題なのだろうか。私には良く解らない。岸田さんの決意のほどを伺って見たい気がする。


岸田さん!お願いしますよ

2022-07-20 08:29:10 | コラム
近頃気になる事:

行動制限:
「病床が逼迫ならば」と、後藤厚労相が記者会見で語られたと報道された。条件付きの行動制限だった。「何だかなー。それではまたもや後手ではないかな」と感じた。菅前首相以来「経済を回す」というか「回そう」とする方向に傾いているようだ。だが、既に野球でも相撲でもサッカーでもラグビーでも観客席は満員御礼状態だ。現代の若者には通用しないだろう言葉で言う「流行歌手」のコンサートやツアーは花盛りの感がある。

現実には、複数の相撲部屋は集団感染(「クラスター」なんて言わないよ)が発生全員休場だし、確か西武、ソフトバンク、ヤクルト等々が10~20名もの監督・コーチ・選手が感染したか濃厚接触者となり、ティームの体を為さなくなって連敗している。東京都では8日連続で1万人超えの感染者が発生している。それでも「病床逼迫ならば」と来た。源から断とうというのではなく、対症療法だと言っているのと同じだ。

飲み屋を制約しようとするのよりもマシかも知れないが、3年経っても未だ対応策が固まって老いない。満員の観客が集団感染の原因になっているかなどは、感染させられる側にいる私には解らない。だが、3回目のワクチン接種が捗っていないというのも不思議な現象に思える。菅前首相は強力に推進されたではなかったか。まさか、前任者の手法は採らないなどとおっしゃるではあるまいな。行動制限でも何でも「慎重に検討」していて良い時期ではないと思うのだが。

国語教育の質が低下したのでは:
私は「我が国では英語が話せないのでと嘆く人が多いが、あれは見当違いだろう」と何度も指摘してきた。それは「我が国は世界でも希な国で、如何なる高度な先進技術だろうと何だろうと、外国語の仲介を不要とするほど自国語で勉強できるような国だから。英語無しでも十分にやっていける」と主張してきた。それは「話せるようにならない教え方をしてきたのだから」なのだが、その陰には「充実した国語教育が必要」だとも信じていた。

ところが、遺憾ながら妙に英語教育熱が盛んになったお陰で、国語、特に漢字の教育が等閑にされている気がしてならない(このソフトは「等閑」ではなく「劣悪」とせよと言ってくるが)。そこに、昨日非常に気になったことがあった。それが競技会(界)からの引退を表明の記者会見で、羽生結弦君が「まだまだ未熟」と言っていたことなのだ。これが言葉というか、漢字を重複して使っていることを認識できていないのが悲しかった。

この手の漢字の意味が解っていない言葉の重複は、テレビで頻繁に出てくる。アナウンサーたちがそういう勉強不足(恥さらしでもう良いだろう)の原稿を躊躇せずに読んでいるのが残念なのだ。他の例を挙げれば「後で後悔する」、「挙式を挙げる」、「後ろから追突する」、「点差は三点」、「奪三振を奪う」という具合だ。私はカタカナ語問題で何度も「英語教師よ、恥を知れ」と指摘したが、ここでは「国語教師よ、恥を知れ」と言いたくもなる。

USTRのカーラ・ヒルズ大使は「アメリカでは初等教育の充実と識字率の向上が必要」と指摘されたことは、繰り返し指摘した。この指摘を我が国の国語教育に当て嵌めれば「識漢字率の勉強と向上に向かって、小学校から国語教育の質を改善していく必要があるだろう」となるのだ。それとも、テレビ局員にあらためて初等国語の勉強をさせるべきか。


日本国とその国民を骨抜きにする教育制度

2022-07-19 16:35:32 | コラム
憲法改正だけで良いのか:

安倍晋三元総理が不幸にも不運にも凶弾(私は凶弾とした)に倒れられてしまったので、私はこれから先に岸田総理以下がどれほど安倍元総理の遺志を引き継ぎ、且つ参議院銀選挙の勝利を追い風にして、憲法改正に邁進されるかに大いなる関心(と期待)を持っている。私の持論は「憲法改正を議論すること事態が無駄である。最低でも改正、全面的に書き直しても良い」なのである。

だが、それだけでは嘗ての進駐軍に陰に陽に、裏に表に我が国とその国民を骨抜きにしようと企んだ、教育の手法と教育制度の改悪をも徹底的に是正する必要があると信じている。私が今日までに何度か二十歳台の人たちに「私は旧制中学に入学して云々」と語りかけると、怪訝な顔をされてしまう。そして「キュウセイって何ですか」という質問が飛んでくる。

そこで、私は昭和20年(1945年)5年制の中等学校に入学した。その終戦前までは、その先に3年制の旧制高等学校ある。此の高等学校では多くが全寮制であり、そこに天下の秀才たちが集まって切磋琢磨して良く勉強し、知性と教養を磨き、そして旧制の大学に進むのだった。言ってみれば当時の英才教育だった。

我々はその旧制高等学校に憧れて、日夜勉学に励んだのだった。又、当時は中学校の4年と5年からは海軍兵学校と陸軍士官学校に進学できて、将来の軍幹部が養成されていたのだった。陸軍幼年学校には中学2年から受験できていた。私は終戦時に中学1年制だったので、幼年が校にも海軍予科兵学校にも届かなかった。

所が、中学校3年が終わる3月のことだった。突然、3年生全員が講堂に集められた。何事かと思えば、校長先生が「学校制度が変わって来月から此の学校は新たに神奈川県立湘南高等学校になる。君たちはその新制の高等学校の1年生になるのだ。従って、君等はその新制高校に併設された湘南高校併設湘南中学校を、本日を以て卒業するので、これより卒業式を行う」と来たのだった。一同呆気にとられるというか、俗っぽく言えば「狐につままれたよう」な感にとらわれていた。

そして、良く事態を把握できていないままに、4月から高等学校生になってしまった。だが、その高等学校は中学入学前に憧れていた、当時の表現である「弊衣弊帽」で今時こんな事を言っても通じないだろう「金色夜叉」に出てくるマントを羽織り高歯の下駄を履いて歩くこともない、先月まで通っていた中学の延長の場で勉強するのだった。

話はこれだけに終わらなかった。それは、新高等学校1年生に配布された新しい教科書の内容を見た一同は「何だ、これは。我々を馬鹿にしているのか」と叫んだのだった。叫ぶ理由は「その内容が全ての教科において、中等学校の3年までに勉強してきたことよりも遙かに易しいというか、程度が低くなっていたから」である。要するに「これらの何処が鳴り物入りの新制高等学校で教えることか」との疑問と憤怒の表現だったのだ。

大体からして、後に知り得たことで如何にも新鮮な制度の如くにマスコミも持て囃した「六三三制」即ち、小学校が6年、中学が3年、高校が3年という制度は、その時の進駐軍で教育を担当していた者の出身のアメリカの一州における制度をそのまま押しつけたのだった。何れにせよ、種々雑多の人種と民族が集まっているアメリカの子供たちを学ばせている制度を持ち込んだのだった。

私はこれまでに何度も嘗てのUSTR代表だったカーラ・ヒルズ大使が「アメリカの労働力の質の向上のためには、初等教育の充実と識字率の向上が絶対必要」と公開の席で認められた、アメリカの民度に合わせた教育制度を我が国に持ち込んで、何とかしてでも日本国民の民度(程度でも良いか)を下げようとした作戦だったとしか考えられないことだった。彼らはこのようにして「旧制高等学校」を排除したし、旧制帝国大学をも葬り去ったのだった。

このような進駐軍の日本国と日本国民骨抜き作戦を褒め称え、軍国主義を悪し様に罵っていた報道機関があった事も忘れてはなるまい。そのような報道機関は、当然のように憲法改正に反対し、それを推進された安倍晋三元総理の足を、ことあるごとに引っ張ったのだった。私は現在の報道機関の連中は、そのころの骨抜きを目指した教育制度の下で育ったのだから、あのような姿勢というか精神から抜けきれないのだと思っている。

矢張り、憲法だけではなく教育制度の改革も必要な気がするのだ。私は中学と高校で3年ずつぶつ切りにする制度は教育の一貫性が欠ける気がしてならないのだ。元に戻したい気がする。ある旧制高等学校ご出身の財界人は「旧制高等学校は残して置くべきではなかったか。あの学校で切磋琢磨した3年間の勉強は人生における貴重な経験だった」と、しみじみと回顧しておられた。