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中国の改革はどこに向かうのか

2013-06-10 | ラジオ
中国では第18期中国共産党中央政治局常務委員会の第3回全体会議に向けた準備が進んでいる。会議では社会経済分野における改革について、一連の新しい文書が承認されると見られている。
一方のイデオロギー分野については、大きな改革は見込まれていない。逆に第5世代の指導者らがリベラルであるという、かつての期待は裏切られつつある、とアジア・アフリカ諸国大学のアンドレイ・カルネエフ副学長は指摘している。
第4世代の指導者らの課題は、社会経済的発展における様々な歪みや、矛盾を調整することにあった。政府は社会における緊張の度合いを下げ、社会的調和を目指した。一部の政治学者らは、北京政府の緩やかで、かつ慎重な左旋回を指摘していた。象徴的だったのが、胡錦濤国家主席が、かつて党中央委員会の所在地であった、河北省平山県西柏坡を初の公式訪問先に選んだことだ。

逆に2012年末から2013年はじめにかけて習近平氏が権力に就く際には、小平氏の有名な1992年、南巡講話が想起されたものだった。
当時、1989年の天安門事件以来はじめて、経済の自由化が再開された。昨年、薄熙来とその重慶モデルが崩れたことで、中国国内での左翼の影響力が大きくそがれていた。この背景により、大きな構造改革および政治改革が始まるという期待が高まった。
しかし今のところ、そのような期待は実現していない。逆に、いつもながらの風紀粛清、さらにはイデオロギーの引き締め強化さえ最近では指摘されているのだ。
またソ連共産党崩壊から教訓を得るべしとの声が強まっており、立憲主義が資本主義社会のイデオロギーだとして批判を受けている。
中国では七不講という言葉が現れており、これは議論してはいけない7つのテーマを表している。具体的には、普遍的価値、報道の自由、市民社会、市民の権利、党の歴史の誤り、特権貴族的資産階級、司法の独立について話してはならないという意味だ。

これは恐らく単独の事象ではなく、新しい指導部がこれ以上の社会政治的自由化に、歯止めをかけようとする政策の一環だろう。つまり中国共産党が権力を独占し、改革および社会発展のイニシアティブを、とり続けるということだ。
しかし専門家の中には違った見方も存在している。つまりイデオロギー的に左傾化することによって、経済の自由化を推進しやすくなるというのだ。
自由化は国家財政や貨幣流通、土地の利用権、生産価値の再評価、行政手続、収入の再分配システム、登記制度などの分野に及ぶはずだ。すでに第18期中国共産党中央政治局常務委員会の第3回全体会議を前にして、専門家らが準備を進めているということだ。
その意味で小平が進めた経済が他の一切を圧倒するというものが、習近平政権の特徴になるかもしれない。

しかし指摘しておかなくてはならないのは現代の中国は、小平時代とは大きく異なっているということだ。インターネットやソーシャルネットワークの登場、中産階級の増加などは中国社会を変貌させた。社会は小平の不争論をすでに拒否しているのだ。つまり中国で改革を行いながら政治的安定を保つためには、何か新しい方法を見出さなくてはならないということだ。

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6月3日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル