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韓国、パク・クネ大統領就任から100日目

2013-06-13 | ラジオ
現代の韓国政治においてはアメリカと同じような伝統がある。それは大統領就任から100日目をもって、一定の評価を下すというものだ。そして現職大統領の支持率をはかるための世論調査が行われる。
今のパク・クネ大統領も例外ではない。6月はじめ、ちょうど就任100日目を迎えた。ギャロップセンターの韓国支部が世論調査を行い、52%という前向きな数字が出てきた。数字は悪いものでもないが、特別良いわけでもない。
同じギャロップセンターが行った1998年の調査では、キム・デジュン大統領の100日目における支持率は62%だった。また1993年、今ではほとんど忘れ去られているキム・ヨンサム大統領は83%という記録的なものだった。
逆に最も低い数字だったのは、前職のリ・ミョンバク氏で、2008年、100日目における支持率は21%だった。

パク・クネ大統領にとって最初の100日は楽なものではなかった。おそらくそのなかでも、3月から4月にかけての北朝鮮との関係緊張は、その最たるものだっただろう。
北朝鮮側もパク新大統領の力を試すために、そのような行動に出たと考えられる。パク大統領の対応は悪いものではなかった。
ほかに重要な出来事といえば、パク大統領のアメリカ訪問があった。韓国大統領が最初の外遊先にアメリカを選ぶのは、すでに伝統となっている。全体として米韓首脳会談は成功裏に行われ、パク大統領の評判を高めることとなった。

パク大統領はまた、社会保障改革という公約に真剣に取り組んでいる。就任当初から、社会保障分野の大幅な拡大が進んでいる。今のペースで進めば韓国は事実上、北欧諸国と同じような社会福祉国家となるだろう。韓国において、このような議論はずいぶん以前から行われてきたが、パク大統領就任に伴って、この傾向は一段と加速することとなった。
もちろん失敗もあった。確かに専門家や一般人を含めた多くの韓国人らは、パク大統領の北朝鮮への対応に満足しているが、ケソン工業団地に関するあまりに強硬な態度は批判の対象となった。
北朝鮮が自国の職員を撤退させたことを受けて、韓国側も自らの職員を撤退させる決定を行った。これは一見すれば、シンメトリックな動きに見えるかもしれないが、工業団地の活動再開を考えれば、さらなる障害を生み出すこととなった。そもそも再開が可能なのかどうか、大きな疑問が残っている。
またアメリカ訪問のなかでも問題はあった。ユン・チャン・ジュン報道官が性的スキャンダルに巻き込まれ、おそらくそれは根拠のあるものだと考えられるからだ。また大統領府は、迅速かつ厳しく責任者を処罰しなかったとして非難されている。

最後に完全な社会保障システムを整えることは、多くの問題を生むことにもなる。しかしマスメディアなどでも盛んに論議が行われているなかで、パク大統領と関連した議論は見られない。
そのように見てきたが、全体としてパク大統領の最初の100日は目立った失敗も成功もなく、平均的なものとなったわけだ。リ・ミョンバクよりは上、しかしキム・デジュンやキム・ヨンサムよりは下、と言ったところだろうか。

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中央公論新社

6月4日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル