Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『日本の「安心」はなぜ、消えたのか  社会心理学から見た現代日本の問題点』

2009-05-30 23:46:20 | 読書。
読書。
「日本の「安心」はなぜ、消えたのか
 社会心理学から見た現代日本の問題点」山岸俊男
を読んだ。

なるほど、と思わせられるところがたくさん出てきます。
この著者の「安心社会から信頼社会へ」という本も以前、読みましたが、
そっちのほうはけっこう難しかったし、内容もあんまり覚えていません。
それに比べて、こっちの本は、内容もしっかりしているし、読みやすいです。
あとがきで著者が書いてらっしゃいますが、「論理を明確にすれば分かりやすくなる」
というのが、これまでの書き方だったのが、ちょっと違う書き方をしたそうです。
それが功を奏しているように思いましたが、
読んでいてつっこみたくなる所も多々ありました。
読み終えてほとんど忘れちゃったけど。

読んでいる人じゃないと、わからないかもしれませんが、
たとえば、市場の倫理(信頼社会の倫理)と統治の倫理(安心社会の倫理)
というのが、人類の持つ二種類のモラルの体系だとあります。
そして、その二つを混ぜて使ってしまうと、
「救いがたい腐敗」が始まってしまう、とある。
それで、現代の日本は信頼社会へ移行しようとしている時期なのに、
安心社会のモラルを使おうとしている、それが腐敗を生み出す、みたいなことが
書かれています。それなのに、安心社会であったかつての日本では、
本田宗一郎や松下幸之助などの市場の倫理にかなう価値観を持った人が成功し、
かれらの本も売れた、と書いてあります。え?腐敗は?と思ってしまいます。
どうも、読んでいて考えてしまいましたが、安心社会ベースで信頼社会の倫理が
混じってくるのはOKで、信頼社会ベースで安心社会の倫理が混じってくるのは
NGみたいな感じなんですよね。そのへん、もうちょっと詳しく書いて欲しかった。

また、企業による「賞味期限偽装」や「耐震強度偽装」というような最近の問題
については、「安心社会から信頼社会への過渡期だから」というような観点で
語られていますが、冒頭で著者自身が述べている、「高度成長期の公害問題」
についてはその後、触れられていません。

そういうところがちょっと不満ではあったけど、
それは読み手である僕の読解力に問題があるやもしれないことを、
ことわっておきます。

とはいえ、面白い本です。
じっくり読んでしまいました。
「武士道」だの「品格」だのが時代錯誤だということが書いてあって興味深い。
さらに、日本人の性質を、実験をして明らかにしていくところなどは唸らせられます。
人間の心は環境に左右される、というような論旨も納得させられます。
星をつけるならば、満点でしょうね。一読の価値、あります。
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犬サンコチラ、手ノナルホウヘ

2009-05-30 21:26:38 | その他
犬を飼ったことがないのでわかりませんが、
外でつながれているタイプの彼らはいつ頃寝て、
いつ頃起きているんでしょうね。
日中、ヒマそうだもんなぁ。
「飼い殺し」って言葉もあるからねぇ。
「今日ハ、寝テバカリイテ、短イ一日デシタ」っていう犬もいるだろうね。
糞尿の始末が面倒くさそうだけど、それがなかったら
すごく気軽にペットを飼えるんだろうなぁ。
って、うちの人が「死ぬからいやだ」とか「アレルギーが」とかいうから
無理ですけれど。
近くを通り過ぎる人にたいして、一生懸命ほえるけども、
やっぱりそれだけヒマで、その一瞬に全力をかたむけるエネルギーが
有り余っているということなのかしら。
というか、犬の習性っていうか、本分なんでしょうが。
そういう、小屋につながれていて、よく吠えるタイプの犬に限って、
鎖をほどかれて自由に散歩しているときは、おとなしかったりしますよね。
「すんません」みたいな感じで、そそくさと小走りでどこかに行く。
以前、車で徐行していて、そういう犬がいたので停車して、
ドアをあけて声をかけてやって、それから車を発進したら、
うれしそうに、タタタタッてついてきたけど、車のスピードが上がると、
残念そうに走るのをやめた犬がいました。
人間が犬を好きっていうのもあるけど、犬も人間が好きだっていうのは
おもしろいですよね。異種の生物で相思相愛だもんね、性欲じゃなしに。
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