Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『ドン・キホーテ』

2009-07-11 22:42:30 | 読書。
読書。
『ドン・キホーテ』 セルバンテス 牛島信明編訳
を読んだ。

岩波少年文庫版の『ドン・キホーテ』です。
訳者によると、本当の『ドン・キホーテ』は前編と後編があって、
本書だと360pくらいの分量なのだけれど、
それは1/6くらいに短縮されたものらしい。
大長編なんだね、『ドン・キホーテ』って。

その名前をよく聞くけれど(お店の名前だったりもしますね)、
どんな物語かは知らなかった。
騎士道物語のパロディということで、
騎士道物語を読みふけり、没頭しすぎて、ついに騎士道物語を現実と
とらえてしまったある男が、騎士・ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャとして
従者のサンチョとともに遍歴の旅を重ねるコメディです。
こんなね、頭がおかしくなった主人公を笑いものにするような物語かと、
最初は読むのも、なんか疲れるし、これから読み進めるのもおっくうだ
なんて思って、ちょっとづつ読んでいったのですが、
読み進めてみると、そんな主人公や学の無い従者をバカにするようなだけの
物語ではないことがわかってきました。
人のあたたかみがあります。
ドン・キホーテも従者のサンチョ・パンサにも、ただの愚者ではなくて、
気の利いた聡明なところがでてくるし、そういう感じで読めて良かったです。
スペインの小説ということで、現代でも読まれている本だから19世紀くらいに
書かれたんだろうと予想していたんですが、実際は17世紀初頭に書かれた本でした。
訳者によって、文章を噛み砕いて綴られているとは思うものの、
名作は時を超えるんだなぁと感心してしまいました。
あとがきにも書かれているんですが、この物語は善悪二元論じゃないんですよね。
善いところも悪いところも、同じ人間に備わっている。
簡単に善悪に分かつような書き方がされていないです。
そのへんも現代人が読んでも面白いところなんじゃないでしょうか。
この本を読んだら、戦争に走ったブッシュ前大統領なんかをドン・キホーテだ
なんて揶揄できたかもしれません。
まぁ、彼が戦争物語に心酔していたかはわかりませんけれど。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする