読書。
『「出会い」の不思議』 河合隼雄
を読んだ。
ユング派心理学の日本での第一人者であった
河合隼雄氏によるエッセイ集。
人、本、言葉、家族、など「出会い」にまつわる
内容のものが多く集められています。
河合隼雄さんの著作には、
いくつか、若い頃から触れています。
そうやって、考え方を多少なりとも知っていても、
まだまだいろいろと新しい発見があり、
揺さぶられたりする。
____
理解力の浅い人は、よく怒る傾向がある。
ものごとが「理解できない」ときは、
人間は不安になり、不安を打ち消すために感情を爆発させる。
_______
というのもそう。
うちの親父がそうだなあと思いつつも、
それだけじゃないことが、
その後の「しつけ」「父性」に関するところでわかることになりました。
著者は、吉本ばななさんと話をしたときのことを引き合いに出します。
ばななさんのお父様は、ご存知のように思想家の吉本隆明さんなのですが、
その吉本隆明さんは、ばななさんに、
「寝る時には雨戸を閉めなさい」というしつけをしていた。
ばななさんは高校生くらいになったときに、
「朝陽が部屋に射して目覚めるほうが自然なのでは」と思い、
隆明さんに言うと、それで言いあいになったそうです。
著者はそこで、大笑いして膝を叩いたそうです。
大切なのはこれだと。
子どもを育てるうえでは、なんでも自由というのはよくなくて、
「我が家ではこれはダメ」というルールは必要なんだそうです。
そして、そのルールはちょっと変くらいがよくて、
なぜなら、子どもがその変さに気づく歳になって、
親に反発するタネになるからだそうです。
そうやって、議論や言いあいをして、親子関係が昇華していくと
著者は述べていました。
まあ、でも、そんなにすんなり昇華するものかなあと疑問符は付きます。
こころのしこりになって残ることって多いと思うんですよ。
それにそういうのがきっかけで、
家を出よう、一人暮らしをしようと思ったりもする。
著者はそういうのも含めて、長いスパンで見て、
それでいいんだと言っているようでもあります。
うちのおやじも、そういう変なルールに固執するところがあり、
そこを論理的な話し合いでどうにかしようとぼくは試みるのですが、
これがうまくいかないのですね。
どうやら、そこには父性というのものがあるがゆえに、
親父は頑固なんだろうなあというのが見えてきました。
また、まったく別の話になりますが、
アメリカ・インディアンの神話の話もおもしろかった。
ジョシュア族の神話に、創造主が二人でてくるのです。
一方は名前があり、他方は名前がない。
名前のある方は、努力をして、
どうにか動物や人間をこしらえようとするのですが、
失敗に終わる。
他方の創造主は、三日間ずっタバコを吸っていると
家が出現し、その中から美女がでてくる。
名前のない創造主は、その美女を結婚して、
16人の子供を授かったのだそうです。
16人はインディアンのすべての種族の祖になった。
つまり、創造というのは、ひたむきにガリガリやって
無茶して努力してできるものではなく、
タバコを吸うという行為に象徴される行為によってなされる
ということが言われている。
著者は、昨今の禁煙の風潮によって、
「タバコを吸う態度」までなくすると、
人間のたましいに悪いのではないでしょうか、と
やんわりと禁煙の風潮に疑問を突きつけます。
そうなんですよねえ。
一般的に、詰め込み教育であったり、
馬車馬のように、忙しく働くのが正しい、みたいな考えであったり、
そういうのに僕なんかはよく出くわしますが、
そういうのでいいひとは良いかもしれないけれども、
思索したいひともいるだろうし、
それこそクリエイトしたいひとはそういうのが害になりますよね。
というか、これからの時代って、
ばたばた忙しいのが傍流になるんじゃないだろうか。
いや、傍流にしていくべきなんじゃないのか。
いずれにせよ、ひとつの価値観を強要するようなのは
よくないということですね。
と、まあ、いろいろ考えさせられて、
考えの基盤も揺らぐところがあり、
そのために寝ざめの悪い日もあったくらいの読書になりました。
でも、それはそれで、どっちかといえば、
よい読書体験だったと思います。
こういうのって実はありがたいんですよね。
20歳くらいのころは、ぐらぐら揺れたくなかったですが、
いまは、たまにならこういう揺れを感じたいくらいです。
『「出会い」の不思議』 河合隼雄
を読んだ。
ユング派心理学の日本での第一人者であった
河合隼雄氏によるエッセイ集。
人、本、言葉、家族、など「出会い」にまつわる
内容のものが多く集められています。
河合隼雄さんの著作には、
いくつか、若い頃から触れています。
そうやって、考え方を多少なりとも知っていても、
まだまだいろいろと新しい発見があり、
揺さぶられたりする。
____
理解力の浅い人は、よく怒る傾向がある。
ものごとが「理解できない」ときは、
人間は不安になり、不安を打ち消すために感情を爆発させる。
_______
というのもそう。
うちの親父がそうだなあと思いつつも、
それだけじゃないことが、
その後の「しつけ」「父性」に関するところでわかることになりました。
著者は、吉本ばななさんと話をしたときのことを引き合いに出します。
ばななさんのお父様は、ご存知のように思想家の吉本隆明さんなのですが、
その吉本隆明さんは、ばななさんに、
「寝る時には雨戸を閉めなさい」というしつけをしていた。
ばななさんは高校生くらいになったときに、
「朝陽が部屋に射して目覚めるほうが自然なのでは」と思い、
隆明さんに言うと、それで言いあいになったそうです。
著者はそこで、大笑いして膝を叩いたそうです。
大切なのはこれだと。
子どもを育てるうえでは、なんでも自由というのはよくなくて、
「我が家ではこれはダメ」というルールは必要なんだそうです。
そして、そのルールはちょっと変くらいがよくて、
なぜなら、子どもがその変さに気づく歳になって、
親に反発するタネになるからだそうです。
そうやって、議論や言いあいをして、親子関係が昇華していくと
著者は述べていました。
まあ、でも、そんなにすんなり昇華するものかなあと疑問符は付きます。
こころのしこりになって残ることって多いと思うんですよ。
それにそういうのがきっかけで、
家を出よう、一人暮らしをしようと思ったりもする。
著者はそういうのも含めて、長いスパンで見て、
それでいいんだと言っているようでもあります。
うちのおやじも、そういう変なルールに固執するところがあり、
そこを論理的な話し合いでどうにかしようとぼくは試みるのですが、
これがうまくいかないのですね。
どうやら、そこには父性というのものがあるがゆえに、
親父は頑固なんだろうなあというのが見えてきました。
また、まったく別の話になりますが、
アメリカ・インディアンの神話の話もおもしろかった。
ジョシュア族の神話に、創造主が二人でてくるのです。
一方は名前があり、他方は名前がない。
名前のある方は、努力をして、
どうにか動物や人間をこしらえようとするのですが、
失敗に終わる。
他方の創造主は、三日間ずっタバコを吸っていると
家が出現し、その中から美女がでてくる。
名前のない創造主は、その美女を結婚して、
16人の子供を授かったのだそうです。
16人はインディアンのすべての種族の祖になった。
つまり、創造というのは、ひたむきにガリガリやって
無茶して努力してできるものではなく、
タバコを吸うという行為に象徴される行為によってなされる
ということが言われている。
著者は、昨今の禁煙の風潮によって、
「タバコを吸う態度」までなくすると、
人間のたましいに悪いのではないでしょうか、と
やんわりと禁煙の風潮に疑問を突きつけます。
そうなんですよねえ。
一般的に、詰め込み教育であったり、
馬車馬のように、忙しく働くのが正しい、みたいな考えであったり、
そういうのに僕なんかはよく出くわしますが、
そういうのでいいひとは良いかもしれないけれども、
思索したいひともいるだろうし、
それこそクリエイトしたいひとはそういうのが害になりますよね。
というか、これからの時代って、
ばたばた忙しいのが傍流になるんじゃないだろうか。
いや、傍流にしていくべきなんじゃないのか。
いずれにせよ、ひとつの価値観を強要するようなのは
よくないということですね。
と、まあ、いろいろ考えさせられて、
考えの基盤も揺らぐところがあり、
そのために寝ざめの悪い日もあったくらいの読書になりました。
でも、それはそれで、どっちかといえば、
よい読書体験だったと思います。
こういうのって実はありがたいんですよね。
20歳くらいのころは、ぐらぐら揺れたくなかったですが、
いまは、たまにならこういう揺れを感じたいくらいです。