Fish On The Boat

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『増補 日本の神様』

2016-11-18 15:31:37 | 読書。
読書。
『増補 日本の神様』 畑中章宏
を読んだ。

仏教に仏像があるように、
神道など日本古来の神様信仰にも神像があります。
その神像の紹介をしながら、
日本の神様をみていく、軽い読み物でした。

学校で習ったと思いますが、
神仏習合といって、
明治時代までの日本では、神様と仏様が一体化して
あがめられていたと言います。
日本にもともといた八百万(やおよろず)の神様を、
中国から伝来した仏教が、
その布教に利用するように取りこんだようです。
神社やお寺がいまのように比較的それぞれ分離して
存在しているのは、神仏分離が明治時代に行われたせいです。

ぼくが以前読んで知ったものとしては、
神社の中や神聖な場所では、
何も置かずに空間だけがあけられておいて、空っぽにされている。
それはなぜかといえば、
その場所に人の目には見えない神様が降臨するからでした。

本書ではそういった言及はなかったんですが、
代わりに、神様が宿る「依り代(よりしろ)」という考え方が出てくる。
木が一番多いようなのですが、石だとか滝だとか、
そういったものに、神様が乗り移る、というか、宿ると考える。
それで、神像もそこらで生えていた木の形質を利用して
ざっくりと彫られたものが多いようでした。

なかでも、円空という江戸時代の仏師が、
多作で、神像のような仏像のような、とにかく
ありがたくて民衆を助けるための像を12万体も彫った
という記述がおもしろかったです。
なんだか、信用できるなあと感じさせられます。

本書は、もしもどこかの博物館で
「神像展」というものが開催されたら
こういう感じなのではないだろうか、
という印象を受ける体裁の本になっています。
楽しんで、学んで、難しいことはやらない入門的な説明を受ける感じ。

八幡の神様は戦いの神様で、
稲荷の神様は商売の神様で、
天神は学問の神様で、
というように、そういった基本的な神道的知識も学べました。

2時間あればじっくりよめてしまう、
字の大きい本でした。
中学生くらいが(小学生でも)寝転んで楽しめると思います。
こういった知識のないオトナもおもしろく読めるでしょう。
ぼくはおもしろかったです。


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