読書。
『白河夜船』 吉本ばなな
を読んだ。
吉本ばななさんの、
まだデビューから早い時期の短編を三つ収録したもの。
白河夜船ってことわざなんですね、
はじめてしったです。
目に映るものなどもふくめて、
こころの動きや揺れなど、
かすかなくらいのところをとらえるのがうまいなあと思いました。
ぼんやりしたものに無理に言葉を与えて、
強引に輪郭を与えないんですよね。
さてさて、
思うに、ひとの意識の持ち方って、
現実と自分をどうフィットさせていくかによって
変わってくるのではないでしょうか。
あの出来事、目の前のモノ、他人、などをはっきり分化するタイプと、
境界を曖昧にした比較的未分化な状態を受け入れるタイプ。
それで、後者は超自然性と親和性がある。
『白河夜舟』の三つの短編それぞれ、
未分化の川に浮かんでいるかのよう。
未分化ならではの、
時間や空間のはてしなさ・深さの上になりたつ物語なのかもしれない。
超自然性をただのオカルトと決めてしまうのは、
分化タイプのとらえ方ですね。
茫洋とした未分化さの視界に見えるのは、世界の得体の知れなさ。
このあいだ量子論的な意識の考え方を書いた本を読んだけれども、
さっき、「そういえば、手塚治虫の『火の鳥』にコスモ・ゾーン
というのがでてきたっけな」と思い出しました。
コスモ・ゾーンこそ、量子論的な意識のとらえ方かもしれない。
この場合の意識は仮に魂と考えてもよさげです。
手塚先生は量子論的な議論にも明るかったのかもしれないですね。
そんなコスモ・ゾーン的な、
なにか意識や魂というものをつなぐ
地下世界なのか天上世界なのかがあるようにして物語を編むのが、
吉本ばななさんってうまいのです。
わざと、そういった世界を作り上げるのではなく、
それは作家として、
それ以前に、ひとりの人間としての思想なんだと思うのですが、どうでしょう?
ぼくはけっこういろいろな本に比較的柔軟に対応できるタイプの
読書人だと自負しているところがあります。
まず、毛嫌いしません。
それでも、これは違うぞっていうものはありますが、
小説に関しては、編集者の力添えも強力なのでしょう、
だから、そんなにみょうちきりんなものは市場にでてこないと見受けています。
第一印象で、オカルトだ、と見えるものにも、
ちょっと何作か、時間をかけてひも解いていくと、
その豊饒ななにかに触れることができたりします。
ぼくは小さい頃はUFOだとか幽霊だとか好きだったが故に、
その後、アンチテーゼにはいって拒否反応を起こしがちですが、
こうやってほぐされていくこともあるなあ、と
今回の『白河夜船』で感じました。
『白河夜船』 吉本ばなな
を読んだ。
吉本ばななさんの、
まだデビューから早い時期の短編を三つ収録したもの。
白河夜船ってことわざなんですね、
はじめてしったです。
目に映るものなどもふくめて、
こころの動きや揺れなど、
かすかなくらいのところをとらえるのがうまいなあと思いました。
ぼんやりしたものに無理に言葉を与えて、
強引に輪郭を与えないんですよね。
さてさて、
思うに、ひとの意識の持ち方って、
現実と自分をどうフィットさせていくかによって
変わってくるのではないでしょうか。
あの出来事、目の前のモノ、他人、などをはっきり分化するタイプと、
境界を曖昧にした比較的未分化な状態を受け入れるタイプ。
それで、後者は超自然性と親和性がある。
『白河夜舟』の三つの短編それぞれ、
未分化の川に浮かんでいるかのよう。
未分化ならではの、
時間や空間のはてしなさ・深さの上になりたつ物語なのかもしれない。
超自然性をただのオカルトと決めてしまうのは、
分化タイプのとらえ方ですね。
茫洋とした未分化さの視界に見えるのは、世界の得体の知れなさ。
このあいだ量子論的な意識の考え方を書いた本を読んだけれども、
さっき、「そういえば、手塚治虫の『火の鳥』にコスモ・ゾーン
というのがでてきたっけな」と思い出しました。
コスモ・ゾーンこそ、量子論的な意識のとらえ方かもしれない。
この場合の意識は仮に魂と考えてもよさげです。
手塚先生は量子論的な議論にも明るかったのかもしれないですね。
そんなコスモ・ゾーン的な、
なにか意識や魂というものをつなぐ
地下世界なのか天上世界なのかがあるようにして物語を編むのが、
吉本ばななさんってうまいのです。
わざと、そういった世界を作り上げるのではなく、
それは作家として、
それ以前に、ひとりの人間としての思想なんだと思うのですが、どうでしょう?
ぼくはけっこういろいろな本に比較的柔軟に対応できるタイプの
読書人だと自負しているところがあります。
まず、毛嫌いしません。
それでも、これは違うぞっていうものはありますが、
小説に関しては、編集者の力添えも強力なのでしょう、
だから、そんなにみょうちきりんなものは市場にでてこないと見受けています。
第一印象で、オカルトだ、と見えるものにも、
ちょっと何作か、時間をかけてひも解いていくと、
その豊饒ななにかに触れることができたりします。
ぼくは小さい頃はUFOだとか幽霊だとか好きだったが故に、
その後、アンチテーゼにはいって拒否反応を起こしがちですが、
こうやってほぐされていくこともあるなあ、と
今回の『白河夜船』で感じました。