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『才能を磨く』

2019-01-06 00:19:11 | 読書。
読書。
『才能を磨く』 ケン・ロビンソン ルー・アロニカ 宮吉敦子 訳
を読んだ。

邦題がよくないですね。
表紙に書かれている、「Finding Your Element」と、
そのサブタイトル的な「How to Discover Your Talents and
Passions and Transform Your Life」
のほうが断然しっくりくる内容です。

つまり、才能を磨くためにどうすればいいかではなく、
自分の持っている素質、才能を見つけよう、
そして見つけたら追求しようというスタンスについて書かれています。
自分にあったものを見つける、それを見つけた状態が、
「エレメントにある」と著者は表現しています。

「エレメントにある」ことがなぜ大事なのか。
著者自身や他者の経験談、心理学などに基づいた説明をしながら、
人生論や幸福論に繋げて証明していきます。
ときにエクササイズの名の元、
エレメントを見つけるために読者に自分を分析させるページが出てきもします。

プロローグから「エレメントは」なんて文章なので、
最初はスピリチュアルな本だったかな?と疑ってかかったのですが、
読み進むにつれてそうではなく、
レトリック的でもある上手な表現なのがわかります。

本書で述べられるエレメントとは、
僕がよく書いたりする、
「他律性を嫌い、できれば自律性でもって生きる」
ことも含まれていると思いました。
人のいいなりになって生きていかないこと、
お仕着せを拒否すること、
そういったことが幸せに繋がるという僕なりの幸福論ですが、
著者が述べているいろいろな角度からみる幸福へのスタンス、
エレメントのスタンスとはとても似ていました。

たとえば、引用でこのような言葉があります。

「幸福とは、人生はすばらしく、
生きる価値があるという感覚と結びついた喜びと充足感の経験である」

また、没入感、フロー体験といった、
時間を忘れて物事に打ちこむ状態も幸福感にあることが述べられていて、
これは若い頃に読んだヘッセの『幸福論』にも書かれていたことだし、
納得して読んだことを思い出しました。
そして、そこにも、お仕着せではない自律的な行動ゆえに
得られるものなのがわかると思います。

それと、本書のいいところは、
障壁があってもエレメントを探せるし追求もできることを
きちんと書きしるしているところですね。
言い訳にしてしまうようなことがあっても、角度を変えて見ること、
またその障壁に制限されてしまっても100%圧迫されるものではないこと、
そういうことをあらためてわからせてくれました。
こういったことは、自身で自身に言い聞かせはしますが、
他者の理知的な言葉で聞かされると効果が違いますよね。

とまあ、いろいろ書いていってネタバレしてもしょうがないので、
このへんにします。
一回限りの人生ですからね、生きてるなあという感慨を持ちたいものです。
また、輪廻転生を信じる人であっても、
しっかり生きないと来世に生まれ変われないともいうじゃないですか。
徳を積む、人生修養を積む、そうしなさいといいますよね。
そう考えたときに、エレメントにある人生を送れたならば、
しっかり生き切れたことになるでしょう。

良書だったので、ぜひおススメしたく思います。
年始まもない時期から良いものとの出合いが続いて嬉しいです。


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