(2008年5月29日掲載)
前号までのあらすじ
ジュータンは音もなく、ふわふわと浮き上がり、お城の方へと向かった。
が、
「あぁぁ、これは・・・」と大先生は声を上げた。
(物語6へつづく)
「あぁぁ、これは・・・」
お城へ向かったジュータンが突然急降下したのだ。
「大先生、申し訳ございません。どうもうまく動かないのです。」
「動かないと言うのはどうしてなのですか?」
「どうも、私の意志が通じないようで・・・。」
ジュータンはこの男の「意志」で動いているらしい。ふわふわと浮かんでいるかと思うと突然、急降下、急上昇を繰り返す。
「何とか、なりませんかぁぁぁ。」
「しっかり私につかまっていてください。うぅーん!」
大先生は男の体にしがみついた。男は何かを念じていた。
「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄。舎利子。色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。受・想・行・識亦復如是。・・・・」 「般若心経を念じて何とかなりますか?」
「とりあえず何か念じませんと。どうも調子が悪いな・・・。舎利子。是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減。是故空中、無色、無受・想・行・識、無・・・」
「雑念があるとうまく動いてくれないようなのです、大先生。」
「わかりました。とにかく早くお城へ・・・」
・・・・・・・・・
こうして何とか二人はお城へたどりついた。
物語7へ続く