郷土芸能大会当日。
舞台袖で出番を待っていたら、お囃子をやっている卒業生が挨拶に来てくれた。
(私はこの卒業生のいた中学校では担任をしていないので、
「教え子」とは言わずに「卒業生」と言っている。)
すぐに卒業生のどの代だか分かったが、「いくつになったの?」というと、
「28です」と答えてくれた。顔も細面になり綺麗な女性に成長していた。
笛を吹くことを伝えると、「何本ですか?」と聞くので、「四本」と答えた。
二、三話してから、出番。
何度も練習したのは、先日のコンサートのとき、繰り返しを間違えたので、
笛でも大きな間違えをするのではないかと心配して練習したのだった。
本番では、全体としては間違えずに演奏出来たが、演奏後、テンポが速かったと言われた。
気持ちに焦りがあったと思う。息切れもした。
舞台袖に戻ると、先ほどの卒業生から「勉強になりました。私も頑張ります」
というようなことを言われ、意外に思った。
彼女たちの属している社中の笛の方が上手だと私は思ったからだ。
箕輪囃子の知り合いの方が聴きに来てくれて「よかったよ」と言ってくれた。
自分たちの普段の出来と、他の人たちが聴いているのとでは、
印象が違うようだということが分かり、少しホッとした。