ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

もうひとつ韓国のワイン事情 -韓国ワインを飲む

2015-09-04 18:33:06 | ワイン&酒
昨日お届けした 韓国のワイン事情に、もう少し話を付け加えたいと思います。

先日、韓国でのフランス料理のディナーを紹介しましたが、その時に出されたワインのひとつが 韓国産 でした。


M56 Elevation 2009 Grand Coteau 2009 (Daebu, South Korea)

ボルドー型のボトルに入っているので赤ワインかと思いきや、注ぐとロゼワインで、夕陽を思わせるような濃い色調。
香りも風味も、紫色のブドウジュース系のニュアンスがあり、どうやらヨーロッパ系ブドウのヴィティス・ヴィニフェラではなさそうです。
味わいもまったり系で、チャーミングで、ほの甘く、酸味も穏やか。アルコール度数12%。

調べてみると、キャンベル・アーリー種(Campbell Early)!
マスカットハンブルグ系のアメリカ交配品種で、日本にも川上善兵衛によって導入されています。
独特の風味(フォクシーフレーバー)があり、このロゼワインにもそれが出ています。



Daebuは、日本語表記では“大阜島/テブド”となります。国際空港のあるインチョンの南に位置し、ソウルから1時間ほどの距離にあり、干潟の潮干狩りや海水浴が有名な観光地のようです。英語表記ではDaebudo Island。橋が架けられているので、車で行けます。



テブドはブドウも有名で、50ものブドウ栽培者組合 Green Agriculture Associationがあり、そこが「Grand Coteau」という名前でワイン造りをしています。

このロゼは、2014年のAsia Wine Trophy でシルバーメダルを受賞しています。
赤ワインなど、他のラインナップもあるようです。

観光地にある、この「Grand Coteau」が今後どう変化していくか、非常に興味があるところです。



他に韓国産のワインはないものか?…と、探しましたが、なかなか出合いのチャンスがなく、でも、意外なところで、こんなラベルのワインを見つけました。


Mulberry Premium Ohdi Wine (Buan, South Korea)

マルベリーとは“桑の実”のこと。
韓国の方に聞いたら、“Ohdi”(オディ)が桑の実だそうで、これは桑の実が原料でしたか!
シックなラベルの雰囲気から、プレミアムなワインを想像しましたけれど、大きな誤解でした(笑)
アルコールは12%。おそらく甘さのある味わいなのではと思います。

というのも、このボトルは、韓国滞在の後半に訪れた全州(チョンジュ)のオシャレなレストランの前にディスプレイされていた空きボトル の中から見つけたからです。


昨日紹介したMr. Jesse Jeongの話にあったように、やはりチリが多い!


右端のMadiranは濃厚でパワフルなフランス南西地方の赤 -ガッツリ好きにピッタリ!



チョンジュは文化財が多く、古い街並みが保存されている都市で、観光客が多く訪れます。
そのため、観光客相手の店が多く、飲食店も幅広く揃っています。



この空きボトルを見つけたのは、古い街並みが残るエリアのちょうど入り口のところにある、オシャレで洗練されたレストランの前。


この碑の斜め向かいにレストランがあります

世界各国から観光客が来る場所だからなのでしょうか、韓国の料理やお酒に飽きかけてきた外国人の目には、ここでなら馴染みのワインが飲める!と思わせてくれそうです。
いい場所に、効果的なディスプレイをしていると思いました



桑の実ワインで思い出しましたが、昨日のモスカート・ダスティの画像の中に、フルーツの絵の入ったものがありました。
MOSCATOという名前と一緒に、レッドラズベリー、ブルーベリー、クランベリーという名前が記載されています。



MOSCATO BLUEBERRYには、緑のブドウとブルーベリーのイラストがあり、もしかしてブルベリー入り?
フェアが始まる前の準備中のブースでテープが張られており、人が誰もいなかったので、写真だけ撮ってきましたが、イタリアのDOCDワインのモスカート・ダスティではなく、似て非なるフルーツワインなんでしょうね。

韓国では甘くてフルーティーなワインも好まれるので、“フルーツワイン”というカテゴリのニーズも多いのかもしれません。

そんなこんなで、ようやく、少しずつ韓国のワイン事情が分かり始めてきました。


コメント
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