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“居場所がない”10代 ラップで叫ぶ思い

2016-03-07 07:30:00 | 報道/ニュース

2月22日 おはよう日本


JR川崎駅前に集まる若者たち。
ラップは普段口にすることのない自分の境遇や思いについて
即興で出た言葉を1対1でぶつけあう。
♪ 俺の学費は 大抵 自分のバイト代から出してる
  お前とは違う
♪ 汗水たらし 世の中で俺らだって頑張ってる
  なのにバッドボーイだったり 白い目で見られる
  だって日本ってそうでしょ
学校や年齢はばらばら。
しかしほとんどの若者に
1人親の家庭をからかわれたり容姿で差別されたりした経験がある。
「僕はいろいろと親に迷惑かけてきたんで。」
「自分の伝えたい思いがいろいろあって
 自分のこともラップなら伝えられると思って。」
この集まりを開いている田中優作さん(21)。
家庭や学校に居場所がないと感じている彼らにとってこうした場所が必要だと考えている。
(田中優作さん)
「学校の先生や親に言えないことをラップにして言って
 解決出来なくも言えることが大切なんで
 そういう場所なのかなって思って
 聞いていれば人間が変わるかなって。」
実は田中さんも10代のころ家族のことで悩みを抱えていた。
田中さんが小学生のとき両親が離婚。
父親も母親も家を出ていった。
以来 祖父の平吉さんに育てられ
今では平吉さんの営む建築関係の会社を手伝っている。
親がいないことを言われるのが嫌で田中さんは中学校に行かなくなった。
生活は荒れ
けんかに明け暮れる日々が続いた。
(祖父 平吉さん)
「中学時代が一番 誰も身内のいうことを聞かなかった。
 大変だった。」
しかし当時の田中さんには不満を誰かに伝えるすべは無かった。
(田中優作さん)
「学校も行かなかったし
 言える人がいなかった。
 ただため込んでけんかとかそういう事してストレス発散して
 八つ当たり的なこと多かったんで
 今思えばバカだなって思うんですけど。」
そのころ出会ったのがラップだった。
自分の人生を否定されたように感じていたこともラップにすれば誰かが聴いてくれる。
田中さんはその魅力にのめり込んでいった。
♪ 親父がいなくなった中1
  何もなくなっちまった 雰囲気
  殴る母親 別に関係ない
  DVだろうが 真髄つくことはない
  どんなでもいいや 言葉吐けば 全部変わった
(田中優作さん)
「世間から見たら自分がやっていることって相当バカじゃないのっていうことだと思うんです。
 それを歌に変えると聴いてくれるじゃないですか。
 自分にしか書けない歌詞があるし
 人それぞれ自分にしか書けない歌詞があるんで
 自分は誰かが聴いてくれるのが一番でかいです。」
2年前 田中さんが友人と路上でラップを始めたところ次第に若者が集まるようになった。
毎週1回のラップを待ちわびている少年がいる。
山内博仁さん(16)。
去年友人とともに訪れたとき自分の境遇を歌うラップに魅力を感じ
通うようになった。
♪ 地獄に落ちたまま それで終わりか
  はい上がる クモの糸
(山内博仁さん)
「自分が体験したことが武器になるのがラップだから
 俺はこうしようと
 それが原動力になることもあります。」
山内さんの家族は両親と兄、妹の5人家族だった。
山内さんはサッカーを教えてくれるやさしい祐孝さんのことが大好きだった。
しかし祐孝さんは山内さんが小学6年生のとき癌で亡くなった。
家族の大きな支えを失った山内さんたち家族の生活は一変する。
(山内博仁さん)
「みんなはお父さんがいてお母さんがいるっていう家庭が
 俺は違うんだなっていう感覚になっちゃいましたね。
 だから他の人と同じようなことはできないし
 周りの人と全く同じような生活ができないし。」
将来に不安を感じた山内さんは中学に入ってたびたび学校を休むようになる。
夜 友人たちと出歩くことが次第に増えていった。
1年前に同世代の少年たちが起こした事件は他人事ではないと感じている。
(山内博仁さん)
「遊びが悪いことだったり
 どこかで仲間でたまって悪いことしたりってなっちゃっているんですよ。
 その気持ちも俺も分からなくはないんです。」
ラップと出会い自分のことを歌ううちに山内さんの生活は変わり始めた。
今では家計を助けるためにアルバイトをしながら定時制高校に通っている。
ラップを通して自分と同じような境遇の若者に出会えたことが何よりの支えだと感じている。
♪ みんな川崎来てくれるマイメン(親友)
  仲間がいるぜ
  やることをやって お前も立ってる
  おれも立ってる 同じだぜ
  これができなかったら おれはヒップホップが続けれねえ
(山内博仁さん)
「同じ境遇の人はいっぱいいます。
 母子家庭の人もいっぱいいるし
 自分と同じ大変な思いをしている人もいるわけだし
 だから同じようなことをやっている仲間でおれは気が許せます。」
田中さんは去年の事件が起きてから
この場所が重みを増していると感じている。
(田中優作さん)
「普段 友達とあんまり言い合うことってないと思うんです。
 ラップで言えばラップなんでどっちも嫌な思いしないで
 そう思ってたんだって
 友達関係も深まると思うし
 後輩先輩関係なく言いたいこと言ったり楽しくやれば。」
様々な悩みを抱える若者たちにとって
本当の自分を隠さずに出せる場所になっている。
♪ 俺らは真っ暗
  ここの川崎からエネルギーもらって
♪ 俺のスタイル 一番光ってんじゃん
  間違いなく 俺が一番星さ


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