3月1日 おはよう日本
1匹の白い犬。
東日本大震災の半年後に宮城県からやってきた被災犬 クレア。
東日本大震災では飼い主と離れたり手放されたりした犬が数多くいた。
それを知った香川県獣医師会は
現地で被災犬を引きとり
香川県で新しい飼い主を探した。
被災犬クレアの新しい飼い主になった香川県丸亀市の大喜多由紀子さん。
「震災のときに前飼っていた犬が病気中で
震災の直後に天国に行ってしまった。
しばらく犬を飼うことは考えられなかった。
報道などで被災した犬や猫がすごく悲惨な状況に置かれているのを見て
この子をぜひ幸せにしたいと思いました。」
被災したクレアとの生活は大変なこともあった。
大きな音が苦手なクレア。
サイレンなどが聞こえてくるとパニック状態になってしまうのである。
(大喜多由紀子さん)
「ふだんはほとんど吠えたりしないんですけど
もしかしたら震災のときのサイレンの音とか記憶の中にあるのかなと思いまして
大丈夫って声かけて抱きしめると治まります。」
そんなクレアの楽しみは散歩。
散歩中に声をかけられることも多いという。
クレアが走っていった先にいたのは散歩中によく出会う老夫婦。
ふたりもクレアに会うのを楽しみにしている。
飼っていた愛犬が死んだ直後にクレアと出会い
その姿を重ねた。
「来てくれるだけで幸せ。
この子から元気もらえます。」
大喜多さんは震災にあったクレアが毎日穏やかに過ごせたらいいと考えていた。
しかしいま人を癒す存在になったクレアを見てその思いは変わってきた。
(大喜多由紀子さん)
「つらい思いをしたかわいそうな被災犬というふうに私自身が捉えていたんですけれども
今後もしクレアを必要としてくださったり
何かお役に立つ場面があるのでしたらば
徐々に何かできることがあればなと思うようになりました。」
大喜多さんはクレアを連れて近くの城東幼稚園を訪問した。
子どもたちの癒しになれるのではと考えたからである。
しかし大きな音が苦手なクレアは子どもたちの大きな声に緊張している。
大喜多さんは子どもたちにクレアが被災犬であることを伝えた。
「5年前に東北の大震災があったんですけれども
知ってる?
そう 東日本大震災です。
そのときに地震に遭いました。
いろんな人が助けてくれて丸亀までやってきました。」
真剣に大喜多さんの話を聞く子どもたち。
クレアも苦手だった子どもたちと戯れるまでになった。
「楽しかった。」
「うれしかった 来てくれて。」
「クレアちゃん また元気に来てね。」
(大喜多由紀子さん)
「震災でクレアの運命も大きく変わったと思うんですけれども
いろんな人に支えられて命をつないできたと思いますので
これからもしクレアが被災犬ということで
何かを伝えられたり感じていただくことがあるのだったら
どんどんそういう活動にも参加したいと思っています。」
震災から5年。
つらい過去を乗り越えつつある被災犬が人々に笑顔を届ける。