2月24日 キャッチ!
ポーランドはリーマンショックやヨーロッパの信用不安が広がる中でも一貫してプラス成長を維持し
「EUの優等生」を言われてきた。
GDPの推移を見てみると
2004年のEU加盟以降
この10年で2倍になった。
しかし国民1人あたりのGDPを見てみると
EU28カ国中24位にとどまっている。
急速に経済成長したものの
その恩恵は一部の人たちだけが受けて
多くにはいきわたっていないと不満が高まっている。
そうしたなか去年10月に総選挙が行われ
当時の最大野党「法と正義」が圧倒的な勝利をおさめ
1989年の民主化後 初めてとなる単独政権を発足させた。
「法と正義」は11月の政権発足以降
矢継ぎ早に様々な政策を実行しているが
その政治手法をめぐっては国の内外から強い懸念が寄せられている。
去年11月に政権を発足させたシドゥウォ首相。
就任早々に一般家庭に児童手当を導入するなど
国民の生活に配慮した政策を実行している。
(ポーランド シドゥウォ首相)
「今ポーランドで起きている変化は
すべて有権者が望んだものです。
ポーランド国民は我々が示した政治プログラムの実現を望んでいるのです。」
一方で新政権は矢継ぎ早に政府の権限を強める政策も断行している。
まず憲法裁判所の判事の1部を政権に近い人物に代えるとともに
判決を出す際に必要な判事の数を引き上げた。
憲法裁判所は政府の権力の行使に歯止めをかける役割も持つ機関だが
この判事をめぐる人事改革に野党側は強く反発。
「政府に都合の悪い判決が出ないように裁判所を機能させなくするのが狙いだ」
などと訴えている。
さらに世論の形成に影響力を持つ公共放送にも改革の手を入れた。
公共テレビやラジオの総裁を解任。
新しい総裁は政府の担当閣僚が任命できるようにしたのである。
この決定で公共放送の独立が失われたと早くも批判にさらされている。
新しい総裁は
政府に批判的だと判断したジャーナリストを次々に解雇したからである。
そのうちの1人記者は
解雇された前の総裁の活動を支持すると表明しただけで突然辞めさせられたという。
(解雇された記者)
「これまで政府が公共放送に直接影響を及ぼすことは一切なかった。
公共放送の記者として公平な報道姿勢を貫いてきましたが
侮辱された気分です。」
これら一連の司法やメディアに対する政府の介入に
野党支持者は猛反発している。
1月23日には市民約2万人が集まった。
ワルシャワでは去年12月から毎週のように大規模な反政府デモが行われている。
(デモ参加者)
「政府に民主主義を尊重する気がないなら
私たちが守らなくてはなりません。」
デモを主催する市民団体を起ち上げた マテウス・キジョウスキさん(47)。
コンピューター関連の技術者だった。
活動の広がりによって今やポーランドの有名人である。
キジョウスキさんが起ち上げた政府を批判するフェイスブック上のグループのメンバーは現在5万人を超えている。
政府が現在の政治手法を改めるまで活動を続けていく考えである。
(デモ団体主催 M・キジョウスキさん)
「新政権は政治を変えられても
“法の支配”の原則までは変えられません。
政権をしっかりと監視していくことが我々の目的です。」