2月25日 キャッチ!
南アフリカ ヨハネスブルグ。
中心部にあるヒルブロウ地区は国内でも治安が特に悪い地域として知られている。
その一角にあるのがヒルブロウ・ボクシングジム。
30人ほどの若者がチャンピオンを目指し
毎日練習に励んでいる。
これまで多くのボクサーを育て
南アフリカチャンピオンも誕生している。
夕方になるとジムにやって来るのは学校帰りの小学生たち。
貧しい家庭の子どもたちにとってスポーツに接する大切な機会となっている。
子どもたちにボクシングを教えているのはオーナーのジョージ・コシさん(46)。
元プロボクサーである。
17年前にこのジムを設立した。
ジョージさんがボクシングを始めたのは16歳のとき。
ジュニアヘビー級のハードパンチャーとしてKO勝ちを重ね
南アフリカで最高6位にまで上りつめた。
ところがチャンピオンも射程に入った1997年
突然の悲劇に見舞われる。
帰宅したところを強盗の男たちに襲われた。
(ジム オーナー ジョージ・コシさん)
「連中に銃で足を撃たれ
目も撃たれて見えなくなった。」
瀕死の状態で外に投げ出されたジョージさんを病院に運んだのは
路上生活をしていた子どもたちだった。
一命はとりとめたものの
右目は失明し
足は重傷。
再びリングに上がることは出来なくなった。
チャンピオンになる夢を奪われ
失意のどん底に落とされたジョージさん。
それでも子どもたちに命を救われたことで
あきらめないことの大切さを実感したという。
(ジム オーナー ジョージ・コシさん)
「リングでも人生でも倒されることがある。
それでも立ち上がってあきらめないことが大事だ。」
指導者に転身したジョージさんは1人でも多くの子どもにボクシングの良さを伝えたいと
自分のジムに加え
他の地区でもボクシング教室を開いている。
この日ジョージさんが訪れたのは近くの公園。
たむろしている子どもたちの中にはアルコールやドラッグに手を出している子どもも少なくない。
幼いころ路上で暮らしていたこともあるジョージさんは
たくみに子どもたちを仲間に誘う。
この日は周りで見ていた3人の高校生たちが練習に飛び入りで参加した。
(高校生)
「初めてだったけどボクシングが気に入ったよ。」
(ジム オーナー ジョージ・コシさん)
「ボクシングをやれば犯罪に近づくことも少なくなる。
だから子どもたちにやって欲しい。」
ジョージさんが抱くもう一つの夢は
ジムから世界チャンピオンを誕生させること。
いま最も期待をかけているのがモラピリ・コテ選手である。
才能があるにもかかわらず伸び悩んでいた彼を
ジョージさんが発見し自分のジムに去年勧誘した。
すでに両親を亡くした独身のコテ選手に生活全般のアドバイスも授けている。
現在 ジュニアバンタム級8回戦で戦うコテ選手。
3月には大事な試合を控えている。
(プロボクサー モラピリ・コテ選手)
「ジョージは両親みたいな存在だし
本当にすべてを受け止めてくれるよ。」
(ジム オーナー ジョージ・コシさん)
「彼はとてもハングリー精神がある。
チャンピオンになれるよう支えていきたい。」
悲劇から立ち直り
ボクシングを広めようとするジョージさん。
若い世代に人生に立ち向かう勇気と希望を与えている。
2月25日 おはよう日本
10年ぶりに散策が公開された「スター・ウォーズ」。
作品の中で縦横無尽に飛び回る宇宙船は細部まで作り込まれている。
この映画の製作チームの1人 成田昌隆さん(52)。
成田さんは約40年前の作品で使われた模型や新たなデザイン画をもとに
CGコンピューターグラフィックスで新たな宇宙船を作り出した。
こだわったのはディテールである。
アンテナやエンジンの形状など徹底的に作り込み
実在するのではと錯覚するほどの本物らしさを追求した。
(成田昌隆さん)
「基本的に小さい部分は
モデラー(造形作家)がすべて自分でデザインしてはめていくんですね。
それが難しいところでもあって醍醐味でもあるんです。」
愛知県出身の成田さんは模型と映画が大好きな少年だった。
大学卒業後 証券会社でIT技術者として働いていた成田さん。
転機となったのはアメリカの駐在員になったことだった。
渡米後再開した模型作りで全米の大会に出品したところ
最優秀賞を受賞した。
大好きな模型作りの技術と
IT技術者として培ったコンピューターの技術。
2つを組み合わせればハリウッドでも通用するのではないか。
そう考えた成田さんは家族と相談して
45歳のとき会社を辞めることを決意した。
(成田昌隆さん)
「CGの仕事ができるという保証は全く無かったわけで
でもその時はそんなふうに全く思わなくて
自分はこれがやりたいんだ、と。」
ハリウッドでにある映画の視覚効果の学校に入学し
CG制作を学んだ成田さん。
模型作りで培った本物らしさへの徹底的なこだわりが強みとなり
めきめきと頭角を現した。
その成田さんがあこがれ続けていたのが中学生の時観た「スターウォーズ」だった。
その「スターウォーズ」の生みの親 ジョージ・ルーカス氏が設立した視覚効果の会社 ILMに入社。
今回の新作を任された。
第1作の公開からリアルタイムで作品を見てきた成田さん。
宇宙船を構成する部品を1つ1つを細かくデザインする。
(成田昌隆さん)
「アンテナがぶつかって外れるシーンが過去の作品にある。
だから今回の作品では無くなった想定で新しいアンテナを作ったんですね。
ですから今回は四角。」
見る人にリアルティを感じさせるディテールが随所に表現されていて
成田さんならではの世界観が体現されているという。
(成田さんの上司 デビッド・フォグラーさん)
「出来る人は限られているがマサ(成田さん)はそれが出来るんだ。
あの宇宙船の仕上がりは彼によるものだ。
とにかく最高の出来だね。」
成田さんは「夢に向かって踏み出すのに遅すぎるということはない」という。
(成田昌隆さん)
「最初から自分なんかダメだと思わずに
何とかできるんじゃないか
頑張ればできるんじゃないかと思うことは絶対大事だと思いますね。
やっぱりあきらめない。」