3月15日 キャッチ!
習近平指導部が成長の速度よりも質を重視する方針を掲げるなか
全人代で李克強首相は演説の中で
今後5年間の経済成長率の目標を年平均6,5%以上に引き下げる一方で
産業構造の最適化と高度化を加速すると強調した。
伝統的な労働集約型の工場で大量の製品を生産輸出することによって発展してきた中国企業。
いま人件費が高騰し工場の閉鎖や海外移転が相次ぐなか
どうやって生き残ろうとしているのか。
全人代の直前に広東省東莞で行われた中国政府主催のプレスツアー。
国内外の報道機関から60人以上の記者が参加した。
紹介されたのは工場の生産ラインを全て自動化した中国企業である。
携帯電話を作る工場。
去年9月に180台の産業用ロボットを導入し
かつて160人いた従業員はロボットを管理する技術者20人に減少。
ほとんど人手がかからないことから“無人工場”と呼ばれている。
日本円で約100億円の投資額のうち15億円を地元政府が補助。
さらに生産ラインのロボットやシステム全てを国内メーカーに発注し
国内産業の育成にも貢献しているという。
ロボットの導入で人件費の大幅な削減に成功し
不良品も減少。
利益は25%増加した。
工場の責任者は
生産ラインを改良し生産効率を上げればさらに利益が出ると見込んでいる。
(携帯電話 部品メーカー 黄河副総裁)
「現時点は完全には満足していません。
まだ改善すべきところがあります。」
中国政府は産業用ロボットの導入を積極的に支援していく方針である。
(広東省東莞市 徐建華書記)
「先進的な製造業を発展させ
金融支援や人材獲得によって産業構造の高度化を実施する。」
一方独自の技術を開発することで活路を見出す中国企業もある。
広東省深圳でオフィスで使われるOA機の心臓部にあたる部品を製造するメーカー。
280人の従業員を束ねる 付学森会長。
高画質のプリントに必要な精密部品の生産で抜きんでた存在だが
近年ライバル企業が次々と参入し危機感を募らせている。
(OA機器部品メーカー 付学森会長)
「競争は激しくなりましたが市場の拡大は困難です。
高い技術がなければ生き残れません。」
従業員が少ない中小企業が技術力を高めるにはどうすればよいのか。
付さんが参考にしたのは
小規模ながら高品質の製品を生み出し続ける日本の中小企業である。
現場に蓄積された専門的な技術を
積極的に開発に役立てる日本の製造スタイルを取り入れることにした。
競争に勝つため精密部品の精度を倍以上に高めようと考えた付さん。
生産ラインで働く経験豊かなエンジニアの意見を設計の細部に取り入れて
工作機械を改造。
工作機械の能力を限界まで引き出し
業界の常識を超える最新の部品を作り出すことに成功した。
(OA機器部品メーカー 付学森会長)
「中小企業は大企業より柔軟性があるので素早く行動することができます。
これから中小企業にとって技術革新がカギになります。」