
基本的に子どもたちに
「この世は生きるに値するんだ」
ということを伝えるのが、
自分たちの仕事の根幹に
なければならないと思ってきました。
この言葉は、映画監督の宮崎駿さんが、自分の映画づくりを振り返って言われたものです。
私は、この言葉はそのまま教育にも通じると思っています。
三中の中にも、さまざまな理由で人との出会いにつまづき、不遇な幼少期、小学生時代を過ごしてきた生徒が、今までにもいましたし、今もいます。
人に裏切られたり、学校の先生に失望してきた生徒がいます。
その子たちは、一様に人間不信に陥っています。
そうであるのなら、せめて「人って信頼に値する」と実感して卒業させたいと、私は強く思います。
この3月に卒業したある生徒は、途中からの転入でした。
学校を転々として、先生からは問題生徒とみなされ、ぞんざいに扱われてきました。
三中に転入してきたときは、教師不信のかたまりのような生徒でした。
気にいらなければ、ものにあたるし、教職員にも悪態をつくような生徒でした。
(途中は省略しますが、)
しかし、三中の教職員は粘り強くかかわりつづけました。
その子は、卒業前に担任に感謝の気持ちを伝える手紙を渡しました。
「こんなわがままな私を見放さず、最後まで面倒をみてくれて、ありがとう。感謝の気持ちしかない。」
手紙文には、こう書かれていました。
卒業式の日には、式終了後、卒業式の立て看板の前で3年教職員と記念写真を撮りました。
その子は、いま、高校に通っています。
この実例を踏まえるなら、学校で、子どもたちに伝えることのもっとも大切なことは、「人は信頼に値する」に集約されると考えます。