Miaou:猫と一緒にフランス語

長い道のりを猫と共に行きつ戻りつ

「悪人」観てきた

2010-09-21 19:59:48 | 映画
深津絵里さんが、モントリオール映画祭で主演女優賞を獲られるまで、知らなかったこの映画。やはりインターナショナルな映画祭で受賞すると、そのアナウンス効果は抜群だ。
ワイドショーでは、映画祭の様子やら撮影現場の紹介などをひっきりなしにしていた。
そして、そのアナウンス効果で観にいくことを決めたわたし。

観にいく前に、ちょっと予習をと思い、映画のオフィシャルサイトを観たら「誰が本当の”悪人”なのか」というコピーが出ていた。
それは映画を観て考えましょう、と出かけたわけだ。

主演の妻夫木聡君がよかった。
以前「闇のこどもたち」で報道カメラマンを演じた彼を観たけれど、そのときはまだ、若いさわやかな男子がハードな世界に立ち向かっているようで翻弄されている役をそこそこ演じていたという印象、しかし今回は何といっても主役だ。祐一は長崎の海辺の小さな町で、解体業に従事しながら、祖父母と共に暮らす。どこにどんな希望があるのかないのかもわからない。そんな祐一の心の変化を表情に見事に出していた。分かりやすかった。
妻夫木君に何か賞をあげたい!


もう1人の主役の深津絵里さん。これが主演女優賞の演技かぁ・・・と思いつつ観た。
佐賀の限られた世界で子供のころからずっと過ごし、紳士服量販店の販売員として来る日々を送る光代。
そんななか、携帯の出会い系サイトで祐一と知り合った。
あんまり言うとこれから劇場へおでかけになる方に申し訳ないね。

映画を観終わり思ったこと。それはこの映画の中で、これっぽっちも悪人でない人っていたのかな?と思った。
人間なんて、優しい自分や寛容な自分、残酷な自分、底意地悪い自分、非情な自分、狡猾な自分などなど、たくさんの面を持っている。
いつどんな状況の、どんなきっかけで、それらのどれが突出してくるかなんて、神のみぞ知るだろう、きっと。
全能の自分がそれらをコントロールできたら自己嫌悪も後悔も感じなくて済むだろうなぁ。
”悪人”になることもないだろうなぁ。

いい映画だった。観てよかった。
久石譲さんの音楽もよかった。
セットの作りこみも。大道具さんや小道具さんのお仕事もすばらしい!

ぽろぽろと泣く映画ではないが、唯一ウルルときた場面。
それは、祐一(妻夫木君)が光代(深津さん)の足を、焚き火で温めたお湯で手当てしてあげているところ。
やらされるでも、やらせるでも、やってもらうでも、やってあげるでもなく。
そんなピュアな印象を受けたもので・・・・。

ところで、私にとってのヒーリングムービーである「めがね」の中で民宿ハマダを経営されてるかた、この映画にもご出演だった。祐一の叔父役で。光石研さん。シブイ!