みどりの野原

野原の便り

9月22日 寄生虫

2012年09月22日 | Weblog
「寄生虫を好きになって帰ってください」と講師は言われるが・・「寄生虫」はあまり気持ちのいいイメージではない。
以前、お隣のご主人がピンセットで金魚に寄生したのを捕っておられたイカリムシ。
ハラビロカマキリのお尻から出てくるハリガネムシ。昔は人のお腹にも寄生したカイチュウやサナダムシ(見たことはないが)これらは私が知っている寄生虫。
特に自分に害がなければ関心も薄い。

先ずは寄生虫の定義から。
医学でいう時と、生態学で言う時では定義も違う。また広義に言う時と狭義でも違うらしい。
今日は主に「一般的に主に魚などに寄生する多細胞の動物」としての寄生虫のお話。
まだまだ解明されていないことも多いとのこと。

一口に寄生虫といっても、ミクソゾア動物・扁形動物・線形動物・鉤頭動物・節足動物など多岐にわたる。

中間宿主(第1宿主また第2宿主など)~終宿主など生活環の中で宿主が必要なもの。
終宿主だけを必要とするもの。宿主は必要としないものもいる。
生活環が複雑なものが多い。

寄生虫はすべて悪いかといえば、必ずしも宿主にとって敵ではなく、ほとんどのものが無害の居候型。
中にはイカリムシのように、魚を弱らせるものもいる。(魚にとって敵)
又、条虫(寄生虫)とイトヨ(魚)の関係のように、条虫に感染したイトヨは非感染のものより警戒心がなくなり、終宿主であるカモメに捕食されやすくなるという。

前に昆虫に寄生する虫の展示で見た「寄生虫が宿主を都合よいように操る」というのを思い出した。

中には重金属を蓄積するものがいて環境によっては「味方」になりうるものもいるらしい。
とにかく寄生虫は特別な存在ではなく、ごく普通にいるものだと言われる。

日本からトキが絶滅した時、トキを宿主とする寄生虫トキウモウダニも絶滅した。
中間宿主のないトキは中国から迎え入れるとダニも復活(2種類の内1種類が見つかったそうだ)

又、ヤマメに寄生していた寄生虫は別の河川から持ってきたヤマメには寄生できなかったという。
無秩序の放流・人為的撹乱は寄生生物にも影響を与える。

そして、寄生虫を保全しようと思えば「宿主も含めてすべてが健全に生息できる環境」が必要なんだということもわかった。

日本のレッドデータブックの中に寄生虫も入っているのも初めて知った。

「生物の多様性の保全が目的ならすべての種が考慮されるべき。寄生虫にも等しい権利を!」とどこかに載っていたらしい記事を紹介された。声なき寄生虫に代わる声?

寄生虫が絶滅したって影響ないと思っていたが、人と虫の関係と同じくみんな地球の住人なんだと少しは理解できた。

むつかしい話も多かったが、寄生虫側にたった話がおもしろかった。
「寄生虫が好きになる」ところまではいかなかったが・・。
コメント (2)
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